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17

Dec.

2018

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23 Jul. 2018

カンヌで賞賛された世界の最新LGBTQキャンペーン5選

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世界的な社会課題としてますます注目が高まっている「LGBTQ」の問題。

広告業界でもここ数年、そのクリエイティビティを活かしてLGBTQの人々が抱える諸問題を解決していこうと世界中で様々なキャンペーンが展開されています。今回は、世界最大級のクリエイティブの祭典、カンヌライオンズ2018(CANNES LIONS 2018 INTERNATIONAL FESTIVAL OF CREATIVITY、2018年6月18日~22日開催。以下カンヌライオンズ)の入賞作品の中から、世界のLGBTQをテーマにしたキャンペーンをピックアップしてご紹介します。


Destination Pride (ブランド:PFLAG Canada、国:カナダ)

動画はコチラから。
今回、多くの部門で評価されていたカナダのLGBTQとその家族を支援するNPO「PFLAG Canada」が行ったキャンペーン。LGBTQのシンボルである「レインボーフラッグ」をモチーフに「結婚の平等」「法律の整備状況」など、各都市のLGBTQに対する取り組み状況についてわかりやすくデータビジュアライズ化している作品。国や地域によっては同性愛が処罰の対象となるなど、当事者にとっては旅行先の地域が彼らにとって安全かどうかは死活問題なので、渡航前にサイトで調べられるというアイデアがすばらしいと思いました。また、データを美しいクリエイティブに昇華させた点も高評価で、「クリエイティブデータ」「デザイン」など3つのゴールド、4つのシルバー、6つのブロンズを獲得しています。


Nike Australian Marriage Equality Swoosh Vote (ブランド:NIKE、国:オーストラリア)


2017年、オーストラリアでは「同性婚」の是非を問う国民投票が行われました。ナイキはお馴染みのロゴ「Swoosh(スウォッシュ」を投票のチェックマークに見立てたビジュアルで同性婚支持のキャンペーンを展開。シンプルなアイデアですが、ブランドロゴから伝わる強いメッセージが一瞬で見た人の心を揺さぶります。「アウトドア」でゴールド、「デザイン」でシルバーを獲得しました。2017年9月から11月の二か月間に渡り行われた国民投票では、全人口の79.5%にあたる1,270万人が投票に参加。賛成61%、反対38%で「賛成多数」という結果になり、これを受け、同年12月に正式に同性婚が合法化されました。


True Colors (ブランド:Grupo Gay da Bahia、国:ブラジル)

動画はコチラから。
フィルム部門でシルバーを受賞した作品。父の日に合わせて公開された本作は、実在するトランス男性とその子どもの生活を子どもの視点から描いた作品。強い絆と深い愛でつながる親子の姿を垣間見ることで、いろんな家族のカタチがあっていいんだ、と思わせてくれる作品。トランスジェンダーへの偏見が強いブラジルで、当事者の権利向上に向けて一石を投じた作品です。


PRIDE JERSEY(ブランド:AIG、国:日本)


こちらは日本からの作品。「プロダクトデザイン」「PR」の2部門でシルバーを受賞しています。レインボーのすべての色を混ぜ合わせると黒になるという現象に着目し、黒の生地を引っ張るとレインボーカラーが浮かび上がるという特殊な布を開発。ラグビーチーム「ALL BLACKS」のユニフォームに採用することで差別に立ち向かう姿勢を表現しています。2019年には日本でラグビーのワールドカップも開催されるので、これをきっかけにスポーツ界でも理解が広まることを願っています。


Sindoor Khela – No Conditions Apply(ブランド:Times of India Group、国:インド)


最後にご紹介するのは、「グラス(Glass:The Lion For Change)」(ジェンダーに関する諸問題を革新的なアイデアで解決した作品を称える部門)と「ダイレクト」でゴールドを受賞したインドのキャンペーン。400年続くインドの既婚女性だけが参加できるお祭りを、独身でも、レズビアンでも、トランスジェンダーでも、セックスワーカーでも、どんな女性も受け入れるお祭りに変えた革新的な作品。普通に考えて、400年の伝統を打ち破るって相当すごいことですよね。LGBTQに関わらず、どんな人も参加できるという点もすばらしく、額につける赤い丸を二つにすることで新しいシンボルにするというシンプルなアイデアもGOOD。



冒頭の写真は、審査の途中で休憩していた「グラス(Glass:The Lion For Change)」部門の審査員のみなさんに声をかけて記念撮影をして頂いた時のもの。カンヌではどの部門でもジェンダーバランスを意識した審査員構成になっていましたが、同部門の審査員は特に多様性に富んだみなさんで構成されており、右から2番目の方はなんとトランス女性の方!世界的な広告賞の審査員にトランスジェンダーの方がいらっしゃることを初めて知り、うれしくなりました。

今年は、カンヌライオンズ全体として、キーワードの一つに「ダイバーシティ&インクルージョン」が挙げられており、「LGBTQ」「ジェンダー」「人種」「障害」などを扱ったキャンペーンが部門を問わず多く入賞していました。今年から「サスティナブル ディベロップメント ゴールズ(SDGs)」の部門が設立されるなど、カンヌでのソーシャルグッドの流れはますます加速していきそうです。その背景には、世界がかかえる社会問題をクリエイティブのチカラで解決していこうというカンヌからのメッセージがあるように感じました。個人的にも広告業界に身を置く一人として、私にできることは何かを改めて見つめ直す貴重な機会となりました。

取材・文: Sera / 中田せら
Reporting and Statement: sera-nakata
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