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Dec.

2021

interview
3 Aug. 2021

【Twitter-Women取材】学び合う女性エンパワーメント

國富友希愛
コミュニケーション・プランナー
國富友希愛

社会の中で頻繁に耳にする「女性活躍」という言葉。企業の中においても、女性エンパワーメントの取り組みを必要とする場面が増えてきたのではないでしょうか。“Twitter-Women”という社内組織に関わりながら、女性エンパワーメントの道のりを歩んでいるTwitter Women JapanのYuriさんに、エンパワーメントの重要性や実現に向けた具体的な取り組みについてお話を伺いました。

#TwitterWomen

Twitter-Women(@TwitterWomen)は、世界中のTwitter オフィスを超えて比較的古くから存在する有志的な横断組織です。私は去年の春から正式にTwitter-Womenに所属しています。Twitterに入社して4年目ですが、実はTwitter-Womenを目にしたのがきっかけで、Twitter社で働くことに興味を持った経緯があります。Twitter-Womenの魅力を一言でいうと、女性が直面する課題について秘密結社みたいにならずに“堂々と”語り合える場がある素晴らしさだと思います。

#堂々と

2019年の12月のことです。Twitter-Womenに本格的に関わる以前に、シンガポールにAPAC(アジア太平洋地域)のTwitter社員の有志が集まり、公共政策について議論する機会がありました。具体的には、NPOと一緒にキャンペーンをつくりあげるワークショップで【Campaigns For Change】というものです。ワークショップに協力してくださるNPO全てがWomen’s issues(女性課題)に関わる団体でした。インドやシンガポールなど多くのオフィスから女性社員だけでなく男性社員も多く参加しました。他国の同僚たちは性別に関係なく、堂々と臆することなく、“アクティビスト”として各国の視点から女性エンパワーメントを語っていて「フェミニズムを堂々と語って何が悪いの?女性エンパワーメントは、今すごく大切なトピックだよ」という空気に触れて驚きました。ワークショップの打ち上げで、各国のさまざまな職種の同僚たちと、各国の女性課題やジェンダーギャップについて語り合い大変盛り上がったのですが、そこで、日本のことをすごく心配されてしまいました。「日本はジェンダーギャップが低位だけど、日本ではそれを払拭するためのどのような取り組みが行われているの?」「ジェンダーギャップに対して、何もしてないように見えるのが心配だけど、まさか本当に何もしていないわけはないよね?」といった質問を受けました。私にとってその体験は、女性エンパワーメントとの向き合い方を変えるターニングポイントになったと思います。ひとつは、これは1人でやる活動ではなく、たくさんの人を巻き込んでムーブメントにしていきたいということ。もうひとつは、クリティカルに“堂々と”この課題と向き合うことにしたことです。

#わきまえない女

昨年は#わきまえない女が、世界中で話題になりました。日本の状況が海外の同僚に知れ渡り「日本ひどくない?」と声をかけられたこともあります。海外から注目され、ときには後ろ指さされる状況の中で、真摯に課題に向き合う姿勢を持ちたいところですが、そこには、クリティカルだと思うことがあっても堂々と公にできない、という日本ならではのカルチャーの壁があります。匿名性の高いSNSにおいてもそれを実感することがあります。要因のひとつに、アンコンシャス・バイアスがあると思います。例えば、私自身が内面化してしまっているバイアスの一例に、女性エンパワーメントの活動にアライシップを取ってくださる男性に対して、必要以上に「ありがとうございます!」と称賛してしまうことがあります。そんなことって結構ありませんか…?アライの姿勢を表明するだけでは何もスタートしていないのですが、喩えて言うと「よくぞ仲間に加わってくださいました!こちらへどうぞ!お菓子とお茶も用意してます!」というへりくだり方をしてしまうことに無自覚だったりするのです。男性が、女性が直面する課題に対して「よし、いっちょ手を貸すか!」みたいな感じで参加してくれて、女性が「ありがとうございます!」と言って、気づいたら男性のために事が働いているみたいな、構造的な歪みを私たちはたくさん見てきました。その歪みに陥らないようにするのはどうすればいいのかをよく考えています。アンコンシャス・バイアスを伴った根深いカルチャーを、アップデートしていく方法を模索する中で、三つほど関わらせていただいている事例をご紹介します。

#女の子だから

©Twitter

ひとつめは、国際的な女性支援を行われているプラン・インターナショナルさんと2019年10月の国際ガールズデーを記念した#女の子だからキャンペーンです。NPOの活動をストレートに伝えるだけでなく、幅広い人々に波及して、多くの人たちを巻き込むための接着剤となる共感ポイントを共に探らせていただきました。ディスカッションする中で出てきた「女の子だから」という極めてフラットなフレーズが、Twitter内でネガポジ解析をすると、ネガティブな使われ方をすることが多いという気づきがありました。要は、女の子だから~ができない、などの抑制的な言葉になっているのです。これからは「女の子だから」の後にポジティブな言葉が続く世の中にしたいという思いがありました。このキャンペーンを契機に、クライアントにも、今回のようなTwitterの中で発見できるインサイトを混ぜてご提案させていただいています。

©Twitter

#SeatsForWomen

©Twitter

二つめに、韓国のキャンペーン、女性議員の議席を増やすためのムーブメントである#SeatsForWomenをご紹介します。2020年4月の総選挙に合わせ、Korean Women’s Associations United という韓国の女性団体の連携とコレクティブ・インパクトを目指すアンブレラ組織と共に取り組みました。女性の議席数が少ないと言っても、クオータ制が整備されており、日本よりは女性議員比率が高いです。#SeatsForWomenでは、ストレートなハッシュタグで「あなたの周りにあなたの職場とか学校に女性リーダーは何人いますか」という質問を投げかけています。もちろん何人いるかどうか、という具体的な数字を知りたいのではなく、女性リーダーが現実に周りに何人いるか?その少なさを考えるきっかけを作りたかったのです。周りのリーダーの数を考えてもらって、ネクストステップとして、韓国の女性議員数が何パーセントかをキャンペーンの中で聞くことに繋げました。身近なところから、国レベルのところに広げていく。このキャンペーンそのものが議席数アップに直結することはありませんでしたが、「女性議員が少ない、なぜか?女性議員が必要だ」という会話が生まれ、それが可視化されたことに意義がありました。韓国は今、女性課題に声を上げる人がすごくたくさんいますね。マイクロ・アグレッションの理解や、周囲のサポートの必要性について啓蒙も進んでいます。私は韓国のルーツをもっているのですが、韓国人の母は、本当におせっかいで(笑)、人の問題にしょっちゅう首を突っ込んで、人助けを積極的にする人です。アジュンマ(韓国の女性に対してよく使われる呼び方)のオープンなスタンス、シスターフッドの芽生えの速さ、助けを求めることと助けることの互助力の高さを、同じような文化圏にあるからこそ、日本でも参考にしていきたいです。

©Twitter

#次の人のために

韓国のフェミニズム文学で取り上げられる問題って、日本の話かな?と思うぐらい身近な問題ですよね。『82年生まれ、キム・ジヨン』で知られる著者の『彼女の名前は』に出てくる問題は、例えば、女性が防犯上危ないところには住めない、という話であったり、会社のセクハラ問題に対してどうすれば声をあげられるか、といったエピソードですが、ほとんどの内容に共感できます。そして、韓国の文学やフェミニズムの共通意識には、“次の人のために”というものがあります。自分が我慢したら、次の人がまた我慢しなきゃいけない。場合によって我慢は重なって重くなっていく。だからこそ声をあげる、という心の葛藤に共感するのです。次の人のためにアプローチする意識の目覚めや、ペイフォワードな精神を大切にしていきたいです。アンコンシャス・バイアスを自分にプログラムして内面化してしまったことで、声をあげることがめんどくさくなってしまい、ときには我慢もしてしまうのですが、その些細な我慢がもしかしたら、次の世代の人たちに、もっと大きな我慢させちゃうかもしれないと気づいて、はっとさせられることがあります。私自身の不勉強や過去の失言を思い出しては日々反省もしています。

#PoweredByTweets

©Twitter

3番目に#PoweredByTweets(パワードバイツイーツ)をご紹介します。NPOを広告主に、広告クリエイターの皆様に、社会課題を解決するアイディアを募るコンペをやっています。今年の夏開催のテーマは「女性エンパワーメント」。そして女性エンパワーメントに関連するNPOさんに絞りました。絞るまではどんな反応出るんだろう、と心配もしていましたが、社内の同僚や上司たちは「いいじゃん!これ!」と背中を押してくれて。審査員に女性を増やすことも賛同されました。女性エンパワーメントにフォーカスする行為は、勇気がいることですが、私としては大変意義を感じています。なぜ今、女性エンパワーメントがテーマになるのか?なぜ今まで当たり前のようにテーマにされなかったのか?そんな理由についてもクリエイターの皆さんには、何か感じていただける部分があるかもしれません。

©Twitter

#聴き合う組織

昨年、Campaign Asiaが主催しているWomen Leading Change Awards 2020のDiversity Championというカテゴリーのショートリストに入れてもらったことがあります。受賞には届かなかったのですが、この背景には理解ある上司の存在があります。私が何かをやったというよりも、部下の話を聴き理解をする上司の存在、建設的なTwitterの社風のおかげでした。I&Dに向き合う姿勢を評価して、その価値を認め、意義づけしてくれる上司がいるからこそ、日々積み上げてきたことが報われたりします。Twitter社にはさまざまな種類の1on1的なやりとりがあります。もちろん業務の話もしますが、プライベートのことを相談する機会もありますし、各リージョンのTwitter-Womenに所属する同僚と話すこともできます。日本ではあまり知られていないインドのフェミニズムの話も面白いです。

#LearnFromEachOther

エンパワーメントの取り組みをすることができるのは、別に自分だけが頑張ったわけじゃない、ということを日々感じています。違和感やより良くなるためにできることについて発言できる立場にいることが、実は大変ラッキーな特権だったりするのではと思うのです。私は特権をもっていて、その特権を先程お話ししたように“次の人のために”精神で活用していくことができれば、ムーブメントが続いていくのではないでしょうか。Twitter Women Japanで最近できた活動方針は、Learn from each otherです。私自身も、女性も男性も、きっと誰しも「学びたい」という気持ちをもっています。その成長マインドセットをうまく利用しながら、オープンに、学び合うチームにし、女性エンパワーメントの機運を高めたいと思います。

■中川百合(なかがわゆり)氏プロフィール
Twitter Japan株式会社 Twitter Nextチーム シニアブランドストラテジスト。外資系広告代理店やニュースメディアでのコミュニケーションプランニング経験を経て、2018年Twitter Japanに入社。現在は、多様な業種の広告主に向けたTwitterのキャンペーンプランの戦略立案・アイディア支援をするチームでブランド戦略ユニットをリード。イギリスやスペイン、韓国、オーストラリア、シンガポールなど多様なオフィスの同僚たちとの日々のコミュニケーションも欠かさない。家庭内での担当業務は掃除、洗濯と渉外。

 

エンパワーメントに重要なのは、あらゆる性別の人がつながりを持ち連携できる環境を育むことだと感じました。そして、Yuriさんの伝える“次の人のために”のように、次世代の成功を願い、支援することもエンパワーメントの鍵になります。互いに学び合うことで築く女性エンパワーメントに、cococolorでも取り組み続けたいと思います。

 

取材・文: 國富友希愛
Reporting and Statement: yukiekunitomi

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