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Nov.

2018

column
23 Oct. 2018

ネパール訪問記 ~YouMe Schoolに行って触れ、考えた多様性~

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10/9公開の「ネパールに学校をつくる夢が支援してもらえる理由、それは「かわいそうだからではなく、面白そうだから」に関連し、今回はネパールに複数校展開されているYouMe Schoolの視察の様子をお届けします。

今回の視察は、同じ会社で働くライさんの活動を知ったソフトバンク勤務の有志9人が、実際にネパールの学校を見て、現実を知ったうえで支援をする目的で行ってきました。4日間で視察したのは、「YouMe Schoolコタン校」「ドルシム村(ライさんの実家)」「Budhanilkantha School(ライさんの母校)」「Deerwalk Institute of Technology(ネパール最大のIT系の大学)」の4か所です。
現在、YouMe Schoolは新たな形態の学校建設に向けたクラウドファンディングを行っています。興味を持たれた方はぜひ、覗いてみてください。

 

YouMe Schoolコタン校までの道のり

YouMe Schoolの1校目のコタン校はその名の通り、ネパールのコタン郡にある。

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空港のあるカトマンズからは、車で約8時間。
カトマンズ寄りの道は、断崖絶壁が多いものの舗装された比較的きれいな道だった。ドライバーの方が、「この道は日本が作った道なんだ。ネパールが作るとこんなにきれいな道にはならない」とすごく嬉しそうに、ニコニコしながら教えてくれた。こんなところで、自分の国の知らない姿を知ることができたことが単純に嬉しかった。コタン郡寄りの道は、「道」ではあるものの舗装されておらず、がたがた道や川を渡るような道もあった。そんななか、ドライバーの方ができるだけ衝撃が少ない場所を選びながら進んでくれ、日本とはまた違う種類の運転の上手さがこの国では求められるのだなと感じた。

この場所は特にカーブがきつく事故が多かったので、壁に鏡をたくさん貼ったそうだ

この場所は特にカーブがきつく事故が多かったので、壁に鏡をたくさん貼ったそうだ

カトマンズとコタン郡の間の道のりで、特に感じたのは「車が通れる道」と「ごみ問題」だった。
コタン郡寄りの道は、舗装されておらず車で通るのも過酷ではあったが、「車が通れる道」があることで、歩くより明らかに往来が楽になり、頻繁になる。その一方で、人や物の往来が頻繁になるからこそ、発生していると思われるのが「ごみ問題」。道の途中で見える谷に、プラスチック製品などのごみが大量に投げ捨てられていた。
便利にするということと同時に、そこから派生するであろう状況を想像して、どこまでその状況への対応を考えることができるかも大切なのではないかと感じた。そして、これはネパールだけではなく、日本でも発生している問題なのではないかと思う。

カトマンズーコタン郡の道で。自然が豊かで、本当にきれいだった

カトマンズーコタン郡の道で。自然が豊かで、本当にきれいだった

 

YouMe School コタン校_訪問

YouMe School コタン校は、ライさんが2011年にYouMe Schoolの第1校目として作った学校だ。最初は、手作りの校舎で先生1名、生徒8名からスタートし、今では2階建ての立派な校舎で先生14名のもと、180名の生徒が日々精いっぱい勉強している。この学校で勉強するために、毎日片道2、3時間かけて通学してくる子どもたちもいる。
私たちが訪問した日も、たくさんの子どもたちがニコニコしながら登校していた。「Good morning!」と声をかけると、どんな小さな子でも、恥ずかしそうに、でも嬉しそうに、右手を胸にあてて頭を下げながら「Good morning!」と返事をしてくれた。

集団登校の様子

集団登校の様子

登校風景で印象的だったのは、みんながリュックを背負って登校していることだった。学校指定のバッグがあるわけではないのに、みんなリュック。山道をあるいて登校するためだと思うが、足元はサンダルの子たちもいるのに、バッグはみんなリュックであり、通学においてすごく重要なものの1つなのだなと感じた。また、日本のランドセルの文化も同じように、子どもたちが学校に通って学ぶことを支えているのだなと思った。
私たちが訪問した日は、YouMe FEST 2018(文化祭)が開催されており、日頃学んでいる伝統的な踊りなどをみんな笑顔で見せてくれた。

民族衣装を着て笑顔で、日ごろの成果を披露!

民族衣装を着て笑顔で、日ごろの成果を披露!

ご家族の方も見に来られており、自分の子どもの出番になると嬉しそうに食い入るように見学されていた。親の気持ちは、日本もネパールも一緒なんだなと思うと嬉しかった

ご家族の方も見に来られており、自分の子どもの出番になると嬉しそうに食い入るように見学されていた。親の気持ちは、日本もネパールも一緒なんだなと思うと嬉しかった

文化祭の発表内容もさることながら、すごいと感じたのは、長時間の来賓のあいさつの間も、子たちがしっかりと座って話を聞いていることだった。1人1人のスペースは狭く、小さな子どももいるにも関わらず大半の子たちが、ぐずったり、席を立ったり、寝たりすることなくしっかり座って話を聞いていた。今の日本の学校では見られない風景だと思う。子どもたちが、「学校」をどんな風に捉えているのかが違うのではないかと感じた。

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日本からインターンに行っている大学生の秋田さん

YouMe Schoolの子どもたちにも多様性に触れてほしくて、自閉症アーティストわたる君の生き物がたくさん描かれたノートをお土産に持っていった

YouMe Schoolの子どもたちにも多様性に触れてほしくて、自閉症アーティストわたる君の生き物がたくさん描かれたノートをお土産に持っていった

 

ドルシム村でのこと

 YouMe School コタン校を見学させてもらった後、ライさんの実家を訪ねるため、学校から徒歩でドルシム村まで歩いて向かった。

大人にもハードな通学路が続く

大人にもハードな通学路が続く

日本で、「2、3時間かけて歩いて登校してくる子どももいる」という話を聞いたときは、「山道を走れる車もあるんだから、スクールバスを用意すればいいのではないか」という話がでた。しかし、実際にYouMe School コタン校からドルシム村までの道のりを歩いてみて、自分がどれほど現実を知らなかったのかを思い知らされた。そもそも、車やバイクが通れるような道が無いのだ。道が無いのにスクールバスなんて無理だ。
そんな道のりを、小さな子どもたちが私たちの数倍のスピードで登ったり降りたりしていた(しかも、サンダルの子もいた)。追いつけない私たちを、途中の木陰で大きな葉っぱでぱたぱたと仰ぎながら、すごく楽しそうに話をしながら待っていてくれた。そんな様子から、「通学に2、3時間もかかる」という事実が、つらい姿ではなく、学校に行って勉強できて楽しい姿に見えてきて不思議だった。

ライさんの実家では、村の大勢の方が集まって、歓迎の会を行ってくれた。ここでは、基本的に自給自足であり、
日本からも、さまざまなお酒やお菓子を持っていったが、一番「なにこれ?」という目で見られていたのが、かりんとうだった。真っ黒の物体が、口に入れると甘いというのが不思議だったのか、口に入れた瞬間、皆さんが微妙な表情になっていた。
歓迎の会では、村の若い人たちが円になって民族の踊りを踊って歓迎してくれ、最後には私たちも円の中に引っ張ってくれ一緒に踊らせてくれた。言葉は通じないけれど、踊りを教えてもらいながら、目を合わせて笑いあっていると話ができている気分になるような一体感が、すごく心地のいい時間だった。

歓迎はたくさんの人でと、村の人たちが集まり、若者たちが踊りを披露

歓迎はたくさんの人でと、村の人たちが集まり、若者たちが踊りを披露

 

Budhanilkantha School(ライさんの母校)の訪問

ライさんの母校であるBudhanilkantha Schoolを、ライさんに加えこの学校を卒業した先輩2人(トランさんとアシスさん)とともに、見学もさせてもらった。この学校はイギリスの名門イートン・カレッジの姉妹校の全寮制で、ネパール全国から非常に優秀な生徒が集まっており、質の高い教育が提供されている。実際に、寮の中を見学させてもらい、寮にいた生徒から話を聞くこともできた。

正直驚いた。私たちが話を聞いた生徒はみんな英語を難なく使いこなし、私たちからの質問にもしっかりと答えてくれた。それだけではなく、寮の中には、素敵な絵画などの美術作品が飾られており、それらはすべて生徒の作品だという。さらに、生徒やライさんたちがグラウンドでサッカーを始めたのだが、これがみんなとても上手だった。

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身体能力の高い在校生と卒業生

なぜ、みんなこんなに優秀なのか?と、一緒に見学に付き合ってくれた卒業生のアシスさんに尋ねたところ、「この学校は、なんでもコンペティションさせるからかな?」という回答が返ってきた。この学校では、勉強やスポーツに限らず、例えば寮での生活態度や寮の中の整理整頓などの管理状況もチェックし、その中から優秀な寮を決めるようなイベントがあるそうだ。たしかに、寮の中にトロフィーのようなものがたくさん飾ってあった。

寮の中に飾られていた絵画。この寮で暮らす生徒が描いたもの

寮の中に飾られていた絵画。この寮で暮らす生徒が描いたもの

もちろん、競争させることだけで優秀な生徒が育っているわけではないと思う。ただ、生徒たちが話している時の表情を見ていると、競争することを生徒たちがネガティブにとらえていない印象だった。日本では、ゆとり教育など、近年、どちらかというと競争を避ける傾向にある。さまざまな国の背景があるとはいえ、競争を避けるのではなく、競争をどう楽しく教育の中に取り入れるのか、という視点も大事なのではないかと感じた。

授業は英語で行われるため、生徒たちはおのずとグローバル社会に対応できるようになっていく

授業は英語で行われるため、生徒たちはおのずとグローバル社会に対応できるようになっていく

Deerwalk Institute of Technologyの訪問

ライさんの先輩であり、Budhanilkantha Schoolも一緒に訪問したトランさんが勤めている会社が運営しているのが、Deerwalk Institute of Technologyという大学で、この大学も訪問させてもらった。Deerwalk Institute of Technologyはネパール最大のIT系の大学であり、優秀な卒業生の多くがこの大学の運営会社に就職する流れができている。

青を基調とした非常にきれいな建物

青を基調とした非常にきれいな建物

ここでも感じたのが、競争について。大学やオフィスの壁に、さまざまな盾が飾られていて、その盾の内容を見ると、勉強や仕事に関することではなく、ダンスやカラオケといった娯楽に関しても、コンペティションを行って、表彰している様子が伺えた。
いろんな分野で楽しく競争して、それが娯楽以外の競争にいい意味でつながっているのではないかと感じた。

また、ライさんが現在クラウドファンディングで実現を目指している、遠隔ライブ配信を活用したオンライン学校が実現した際には、講師の手配の協力をしてくれるとこの学校が約束してくれているそうだ。

学校を運営する会社がカフェも運営。。学生と社員が飲食できる場所を設置

学校を運営する会社がカフェも運営。。学生と社員が飲食できる場所を設置


最後に

今回のネパールの旅、全体を通じて感じたのは、ネパールの人たちはよくしゃべって、よく笑う。そして、仲間の絆がものすごく強いということだった。
この旅の間、YouMe Schoolの生徒や先生、YouMe Nepalやライさんを応援している方々、ライさんの親族の方々や母校の先輩たち、車のドライバーの方々など本当にたくさんのネパールの人たちと触れ合う機会があった。その中で感じたのは、ネパールの人たちはよくしゃべって、よく笑うということ。あいさつも含めてよく話をする。ほとんどネパール語しか話せない、ドライバーの方はネパール語でひたすら話しかけてくれた。

そして、よく笑う。会話の内容が分からず、ついていけないこともあったが、笑って話をされると、自然とこちらも笑ってしまうものなのだなと思った。特に、子どもより大人の方がよくしゃべって、よく笑っていた。あんなに楽しそうな大人の姿を見ていたら、子どもたちは大人になることがきっと楽しみになるだろうなと思った。
そして、仲間の絆がものすごく強い。この旅の間、いろんな方々が私たちをサポートしてくれたのだが、特に、ライさんの母校の先輩たちが、ほとんどの場所に同行して、いろんな話をしてくれた。この先輩たちの中には、YouMe Nepalの関係者ではなく、ライさんと母校の先輩後輩という関係性だけという方もいた。すごいなと思い話を聞いてみると、ネパールの人たちは何かつながりがあるとすぐ家族のように仲良くなるそうだ。特に、ライさんの母校(Budhanilkantha School)の卒業生のつながりは強く、はじめて会っても同じ学校の卒業生というだけで、「何でも頼って!」となるそうだ。
もちろん、日本でも卒業生同士のつながりが強い学校はある。ただ、何日間もほとんど付きっきりの対応をしてくれるというのは、なかなか無いと思う。

普通の旅(ツアーや一人旅など)でも知らない国に行くことで、多様性に触れることはできる。ただ、その国の誰かの思いを知ったうえで、その思いに興味を持って(私の場合は、YouMe Schoolの子どもたちの笑顔)その国を訪れると、今までに考えたことがないような多様性に気づき、感じ、ワクワクできるのではないかと、今回の旅を通じで感じた。

さて、YouMe Schoolの新たな学校建設に向けた旅はまだ途中。興味が湧いた方はぜひ覗いてみてはいかがでしょうか。
私と同じように今まで考えたことが無いような多様性のワクワクに出会えるかもしれない。

取材・文: shiorinn
Reporting and Statement: shiorinn
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