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column
29 Aug. 2018

アンコンシャス・バイアスって悪いこと?

「アンコンシャス・バイアス」ってなに?

――――アンコンシャス・バイアス。聞きなれない言葉でしょう。

「アンコンシャス・バイアス」とは、日本語では一般的に「無意識の偏見」と訳されています。さまざまな人が一緒に働いて価値を生むダイバーシティー&インクルージョンにあふれた環境が、当たり前にあると言われる、米国のシリコンバレーで2000年頃に生まれた概念だと言われています。

アンコンシャス・バイアスだと言われる発言には、「若い人は発想が新鮮」「小さな子供がいる女性に出張は難しい」「日本人だから真面目」などがあります。このアンコンシャス・バイアスがあると、さまざまな悪影響が起こるとされています。例えば、女性の活躍機会を剥奪することにつながったり、男性の家事・育児参加を阻害したり、凝り固まった考えによってイノベーションが阻害されたり、グローバル化が遅れたり・・などです。

今、「アンコンシャス・バイアス」への関心は世界的に高まっており、グローバルではスターバックスの取り組みが話題になりました。2018年5月に、スターバックス店内での無意識の人種差別に対するデモが発生したことを受けて、全米8000以上の店舗を閉店しアンコンシャス・バイアス研修を行うといったニュースを耳にした人もいるかもしれません。

日本でもここ数年、グローバル企業を中心にこの「アンコンシャス・バイアス」に関連する研修やワークショップなどが行われるようになりました。今、多くの企業がアンコンシャス・バイアスによって生じる問題をなくすことを目的に、さまざまな取り組みを始めています。

電通×ソフトバンクの共同プロジェクトである越境ワーカー(※)でも、多様な個性を価値として活かす社会を目指すアクションを考える中で、「アンコンシャス・バイアス」という言葉に出会い、この概念と向き合うためのプロジェクトを発足させました。

(※越境ワーカー:電通リリースソフトバンクリリース

「アンコンシャス・バイアス」は、どう解決していくべきなのでしょうか。 

アンコンシャス・バイアスについて、熱い議論をする越境ワーカー

↑アンコンシャス・バイアスについて、熱い議論をする越境ワーカー

 

「アンコンシャス・バイアス」は悪なのか?

「アンコンシャス・バイアス」を知った私たちが最初に考えたことは、「アンコンシャス・バイアスは駄目なものだから、ちゃんとその概念を広めた方がいい。」ということ。そこで、まずは両社の社員に、「アンコンシャス・バイアスに気付いて、やめてもらうための研修やトレーニングキットを作ろう!」と意気込んでいました。

しかし、「アンコンシャス・バイアス」について、さまざまな記事を読み、様々な方のお話を聞き、議論をしていくうちに、そもそもアンコンシャス・バイアスは、無くさなければならない「悪」だというのは本当なのだろうか?という疑問がわいてきました。

例えば、先述の「小さな子供がいる女性に出張は難しい」というアンコンシャス・バイアス。「お子さんがいるから、出張は他の人にお願いするね。」と声をかけられた場合に、「私のプロジェクトだから、ちゃんと最後までやりたいのに・・」とがっかりする人もいれば、「助かった!今は子供と一緒に過ごしてあげたい。」と思う人もういるかもしれません。どう受け取るのかは、人によって違うかもしれません。

また、一般的な「無意識の偏見」という日本語訳も、変なのではないかということにも気づきました。

「偏見」の意味を調べてみると、「偏った見解。中正でない意見。」。一方で、「バイアス」という言葉の意味を調べると、「深く信じこむこと」であり、その根拠となるのが、先入観や固定概念、思い込み。

「バイアス」と「偏見」は大分意味が違う、ということが分かった私たちは「アンコンシャス・バイアス=思い込み、の方が近いかも?」と思いました。そういわれると、「アンコンシャス・バイアス」がもっとフラットな言葉のように見えてきませんか?

また、人が蛇を見ると「怖い」と感じるように、そもそもアンコンシャス・バイアスは、人間が生きていくために必要な、本能的に持っているものでもあるようです。

 

「アンコンシャス・バイアス」が無い世界は生きやすいのか?

「アンコンシャス・バイアス」を排除すれば、世界はもっと生きやすくなるというのは、本当なのでしょうか。

アンコンシャス・バイアスを「悪」として排除しようとすると、例えば「子供がいるからって配慮するのは、やめよう。しっかり残業してもらおう。」「シニア社員だからといって配慮するのはやめよう。デジタル業務もたくさん任せよう。」といったように、(極端な例かもしれませんが)思い込みから生まれる「思いやり」がなくなってしまうかもしれません。

例えば、電車の中で高齢者の方が立っているのを見かけたときに「お年寄りだから席を譲ってほしいというのは、アンコンシャス・バイアスかも?声をかけるのはやめとこう。」といったように、コミュニケーションを躊躇してしまうようになるかもしれません。

とはいえ、アンコンシャス・バイアスによって、行き違いが起こり、苦しい思いをしている人がいるのも事実。

では、どうすればいいのか?

私たちが出した結論は「本人がどうしたいのかを知ったり、すれ違いを解消したりするためには、コミュニケーションをとることでしか解決しないのではないか?」ということ。

 

越境ワーカーで取り組むこと

様々な企業が取組みをスタートさせていることからも分かる通り、世の中では「アンコンシャス・バイアスに気づこう」という動きが活発になってきています。今世の中にあるアンコンシャス・バイアスチェックテストや研修は、ネガティブな事象への「ブレーキ」として、非常に大切な取組みです。

ただ、その気づきが「コミュニケーション」の妨げになってしまうこともあるかもしれません。私達越境ワーカーのプロジェクトでは、全ての人が自分の心にあるアンコンシャス・バイアスと上手く付き合う方法を理解し、コミュニケーションを加速できるようにすることで、世の中をインクルージョンさせるために、コミュニケーションのブレーキ&アクセルの、「アクセル」を作ることを目指します。

挑戦したいこと:コミュニケーションの『アクセル』を作る。

それは、「アンコンシャス・バイアス」に気づいた先のコミュニケーション。

電通とソフトバンク、そして汐留エリアの複数の企業にまたがった越境ワーカーのプロジェクトだからこそできる、上手なアンコンシャス・バイアスとの付き合い方を次回以降発信していきたいと思います!

一緒に考えていただける企業の方がいらっしゃれば、ぜひ、ご連絡お待ちしております!

 

取材・文: cococolor編集部
Reporting and Statement: cococolor

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