激闘!ゆるスポーツ運動会2016
- 共同執筆
- ココカラー編集部
こんにちは!cococolor潜入調査員の川越です。
いろいろなイベントを通して、ダイバーシティを楽しく伝えていきたいと思います!!
「アディッショナル・ソープ!!」「ノン・マザーシップ!!」
ユニークなルールに、熱い声援。
今回は、今話題の”ゆるスポーツ”に潜入しました。
競技参加にあたっては、リストバンドをネットで事前購入して、チケットとなる仕組み。リストバンドは全8色、これがチームカラーになるが、どれが来るかは郵送されてからのお楽しみ。当日は参加者100名以上の超満員で、会場の都内フットサル場は色とりどりのリストバンドを着けた人で賑わいました。
<勝因は母性の強さ>
最初に始まったのが、4大ゆるスポーツ『ハンドソープボール』『ゾンビサッカー』『手錠バレー』『ベビーバスケ』の色別対抗戦。僕はベビーバスケで参戦です。
ベビーバスケは、バスケットボールをルーツとしながらも、ボールを赤ちゃんと想定してプレーする種目。なので、ドリブルはもちろん、パスカットで地面に叩き落すことも当然NG。チームで協力してパスを回してゴール・・ではなく、”ゆりかご“ に入れることでポイントを獲得していく。
なお、パスについても、赤ちゃんを扱っていることを忘れてはいけない。速度や回転が速すぎると、特製ボールが「えーん、えーん」と泣き出してしまう(泣いてしまったら、相手ボール)。
「”母性”の強さが勝ちにつながるって面白い。(20代女性)」
そう、この種目で重要なものはスピードやパワーではないのだ。事実、試合の中では、現役のバスケ経験者がボールを泣かせているのをよそ目に、自分のような運動が苦手な人間でも、ちゃっかり得点王になれたりする。
ゆるスポーツといっても割とハードなものから、声だけでプレーできるものまで幅広い。その中で、ベビーバスケは適度にハード且つ誰もが活躍できるスポーツである。
<優しくないとモテ(持て)ません>
ベビーバスケの対抗戦が終わったところで、友人が参加している『ハンドソープボール』を観戦に。ハンドソープボールは、僕がゆるスポーツにハマるきっかけとなった種目で、数ある種目の中で1番エキサイティングだ。
試合中のプレーヤーがボールをポロリ、すかさず「アディッショナル・ソープ!!(ソープ追加)」審判の声が飛ぶ。このスポーツでは、すごく滑るハンドソープをボールや手にたっぷり塗ってプレーするのだ。最初は、ボールを両手で持つことも難しいが、慣れてくると緩やかなパスワークができるようになる。ボールを落としたりパスキャッチに手以外の部分を使うとペナルティとしてソープが追加されるため、ゲームが白熱するほどヌルヌルが増していく。
「早いパスは、絶対にキャッチできないので、どれだけ優しいパスが投げられるかがキモです。(30代男性)」
ゲームを終えるとパスも表情も優しくなる。
<快感!ゾンビ体験>
「キャーァ!」ゆるゆるした雰囲気の中に響く悲鳴。そこには、人間とゾンビの熱戦が繰り広げられていた。
『ゾンビサッカー』は、鈴を着けた人間チームがキープするボールを、目を覆うゾンビマスクを着けたゾンビチームが奪う競技で、サッカーの練習で行われる ”鳥かご” に近い。また、人間チームは、ゾンビに捕まったり、エリア外にボールを出してはいけない。尚、ボールは位置が音で分かるよう、内臓スピーカーから人間の悲鳴が流れている。
ゾンビマスクを被ると視界は真っ暗で、不安で最初はほとんど動けない。しかし、音や触覚を頼りに一歩ずつ足を進めると、徐々に空間の把握ができてくる。普段使っていない感覚がフル動員されているのが分かる。
「だんだん、見えないことが楽しくなる。(20代男性)」
1回ゾンビを味わうと、人間には戻れない。
<はじめてのチュー>
最後に、今回初めて体験する『スカッチュ』。
正面のカメラで口元の動きを計測、舌を左右に動かすことで画面内のラケットを操作して、ボールが来たらチュー顏をして打ち返す。一見簡単そうなこの種目、やってみると意外に難しい。
「チューは上手いですが、舌の動かし方がまだまだですね。(スタッフ)」
表情へのコメントは、なんだか恥ずかしい。ゲームが終わると、顔の筋肉が疲れていて、小顔効果や誤嚥防止へつながるというもの頷ける。
「失敗したらスマイルで再チャレンジできます。(同スタッフ)」
勝っても負けても笑顔が生まれるスポーツだ。
<その他の種目>
「とんとんとんとん!」声で行う相撲。『トントンボイス相撲』
<運動会を終えて>
今回の運動会では、計8種(親子ゆるスポーツ含む)の種目が開催された。
普通、スポーツというと”活躍できる人”というのは種目に限らず固定化されやすい。体育の授業を思い出すと、サッカーが上手い人は、だいたいバスケットボールやバレーボールも上手かったりする。その逆も然りだ。
その点、ゆるスポーツでは、種目毎に腕力・握力・脚力・視力など、身体能力を一部制限するよう設計されたものが多い。その結果、活躍できる要素の幅が広がり、より多くの人が”自分の得意種目”を持ちやすくなる。ハンドソープボールではあまり活躍できなかったと言っていた車椅子の友人が、スカッチュでは殿堂入りしている様に。
「例えば、常設施設のような形で、日常生活の中でいつでも気軽にゆるスポーツを楽しめることが理想。(世界ゆるスポーツ協会 澤田代表)」
いつか、ゆるスポーツのテーマパークができるかもしれない。でも、それを待つしかないのだろうか。子供の頃、集まった友達に合わせてルールを変えたり、種目を変えたりして遊んでいたことを思い出す。“誰も仲間はずれにしない” その気持ちがあれば、ゆるスポーツはどこにでも生まれるのだ。
世界ゆるスポーツ協会
2015年4月に設立。「スポーツ弱者を、世界からなくす。」をコンセプトに、子どもからお年寄りまで、障がいのある人もみんなで一緒に楽しめるスポーツを創っている。
写真:越智貴雄
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