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Nov.

2024

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1 Sep. 2015

観戦の楽しさを、すべての人に。–IBSAブラインドサッカーアジア選手権2015が始まる!

スポーツの秋到来。あなたはプレー派、それとも観戦派でしょうか?

どちらのタイプの人にも楽しめる、刺激溢れるスポーツの祭典が、9月2日、キックオフを向かえようとしています。「IBSAブラインドサッカーアジア選手権2015」。会場は昨年世界選手権の舞台となった、国立代々木競技場フットサルコートです。

IMG_0520(日本チームの公式練習風景:8月31日)

スポーツ観戦の「バリアフリー」って?

ブラインドサッカーとは、フットサル(5人制のミニサッカー)をベースにルールが考案された、全盲の人たちを主な選手とするスポーツです。ゴールキーパーとガイドは晴眼者または弱視者で、「フィールドプレーヤー」は目の見えない人たち。彼らは通常、人が情報の8割を得ているという「視覚」が閉ざされた状態でプレーします。したがって、この競技では「音」が重要な道標に。転がると音が出る特殊なボールを使って、「ボイ(Voy)!:スペイン語で「行く」の意味」」という掛け声を掛け合いながらゲームが展開されます。
e1cbd79ccca78440aa22c087c4777be8(ブラインドサッカーのルール)

そこで観戦する側も、プレーヤーが「音」を見失わないように、思わず声が出そうになるのをぐっと抑えて、静かに観戦しなくてはならず、独特の高揚感を味わうことになります。そして、この大会では来場者がそんな観戦をさらに楽しめるような仕掛けも用意されているのです。

プレー”を体験し、世界観を共有する

会場にはブラインドサッカーを実際に体験できる「ブラインドサッカー体験会場」というコーナーが設置されています。目隠しをしてボールを蹴り合うことが一体どんなものなのか。実際体験してみることで、選手たちの体験する世界をよりリアルに想像することができて、共感も高まります。

DSC_4842(IBSAブラインドサッカー世界選手権2014に設置されたブラインドサッカー体験会場)

リレーションセンターの”おもてなし”に触れてみよう

そして、快適な観戦環境をサポートするのが、「リレーションセンターTASKAL」の存在です。障害のある方や、一時的に身体の機能が低下している人にも試合観戦を楽しめるようにと設置されたこの施設。車いすご利用の方への介助や手話通訳の提供、触って読む「触地図ガイドブック」や「3Dスケールモデル」の提供のほか、パンフレットの文字を拡大して読むための「拡大ガイドブック(ipad)」や筆談ツール、補助犬用のトイレと、サービスラインアップなどが充実しています。

A95P2224(リレーションセンターの様子)

リレーションセンターツールまとめ(リレーションセンターに用意されたさまざまなツール)

特に好評なのは音声による実況中継が楽しめる「音声ガイドシステム」で、数に余裕がある場合には耳が聞こえる人も借りることができるとのこと。ゲームのルール解説や選手やプレーに関する専門家のコメントが聞けて、観戦がさらに楽しくなることでしょう。

A95P2461(音声ガイドによる実況風景)

仕方がない”を問い直していく

これまで障害者スポーツは競技人口も観戦人口も少ない「マイナースポーツ」とみなされてきました。競技者の家族や支援者団体関係者などごく一部の人たちしか観にこないので、チケットもほぼ無料。宣伝やメディア掲載もあまりされません。

今回のアジア選手権を運営する日本ブラインドサッカー協会は、そういった「これまでの常識」を問い直すチャレンジに挑んでいます。チケットは有料。そして、これまで多くの施設が当たり前のように提供している「障害者割引」も無くしました。代わりに、障害がある人にも十分に観戦を楽しめる環境づくりに力を入れたのです。

リレーションセンターもその一つです。昨年開催された世界大会で、日本ケアフィット共育機構と連携して初めて設置したところ選手からも大変好評だったと、日本ブラインドサッカー協会事務局の山本康太さんは語ります。

「これまでは視覚障害を持った人が試合観戦に行くと”目が見えないのに、なぜ観にきたの?”というリアクションを受けたり、障害者だからというだけの理由で車椅子スペースに通されてしまうなど、窮屈な思いをすることが多かったそうです。リレーションセンターがあることで、視覚障害を持った人も”自分もお客さんなのだ”という気持ちで競技場に向かうことができて嬉しいという声を、選手からもいただきました。今後、こういったリレーションセンターの設置が他の競技にも水平展開し、障害がある人もない人も同じようにスポーツ観戦を楽しめる社会をつくっていけたらと思っています」。

DSC_7206(日本ブラインドサッカー協会(JBFA)事務局山本さん)

今回、日本ブラインドサッカー協会では、クラウドファンディングで出資を集めてリレーションセンターの設備を独自購入しようとしています。運営を担うスタッフはもちろん、ボランティアスタッフも日本ケアフィット共育機構から介助研修を受け「心を込めたおもてなしを提供したい」と、意欲を高めているそうです。

“混ざり合う社会”の実現に向けて
ブラインドサッカーがきっかけで導入された「リレーションセンター」。現在では東京ヴェルディの試合でも開設されています。障害がある人・ない人が「混ざり合う社会」を目指す日本ブラインドサッカー協会のチャレンジは、2020年東京パラリンピックに向けた先進的な動きとも言えるでしょう。

オーロラビジョン (1)(「味の素スタジアム」東京ヴェルディ戦にもリレーションセンターが設置されている(写真提供:日本ケアフィット共育機構)

2016年に開催されるリオ・パラリンピックの最終予選としても注目される、IBSAブライドサッカーアジア選手権2015。「この半年ほどで、日本選手のプレーは格段にレベルアップしました」「ダイアモンドというフォーメーションが、本当に美しくて!」と、運営スタッフの皆さんからも熱い推薦メッセージをいただきました。日本戦と決勝戦はライブ発信されるそうですが、もし可能ならば、是非とも球場に足を運び、新しい世界を体験してみてはいかがでしょうか。

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【大会情報】
タイトル:IBSA ブラインドサッカーアジア選手権 2015
日程:9月2日(水)~9月7日(月)
会場:国立代々木競技場フットサルコート
主催:IBSA ブラインドサッカーアジア選手権 2015組織委員会
     日本ブラインドサッカー協会
競技クラス:B1(全盲)クラス
参加国数:中国、韓国、イラン、インド、マレーシア、日本
大会事務局:日本ブラインドサッカー協会
〒169-0073 東京都新宿区百人町1-23-7 新宿酒販会館2階

【関連リンク】
IBSAブラインドサッカーアジア選手権2015
日本ブラインドサッカー協会
アジア選手権バリアフリーについて

取材・文: co-maki/今井麻希子
Reporting and Statement: co-maki-imaimakiko

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