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15 Jan. 2015

LGBTと社会をつなぐ
~ TSSAから振り返る2014年

2014年12月6日、ビルボードライブ東京にて、華やかな祝典が開催されました。

LGBT と社会の架け橋となり、性の多様性を受け入れる豊かな社会の実現に貢献した人たちを表彰する「GAP presents Tokyo SuperStar Awards(TSSA)」です。
国内唯一のLGBTアワードとして、早や5年目の開催となります。

<LGBTをめぐる社会の発展>
2014年は、LGBTと社会の関係を前進させる多くの出来事がありました。
米国では多くの州で同性婚解禁の動きが加速化。クロアチアでは、同性カップルに異性カップルと同じ相続権や社会保障、税控除を認めるシビルパートナーシップ法が可決。キリスト教カトリックの総本山とされるバチカン(ローマ法王庁)はカトリック教会が同性愛者を排除せず受け入れるべきとの見解を示しました。

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(著名人のLGBT支持の表明も目立った。写真は、コミュニティ賞を受賞した安倍昭恵首相夫人)

芸能界では、米オスカー女優で映画監督のジョディ・フォスターや米ファッションデザイナーのトム・フォード、英人気歌手のエルトン・ジョンらの同性婚が報じられました。また、カナダ出身の女優エレン・ペイジがレズビアンであることをカミングアウト。プロテニス界の元世界女王マルチナ・ナブラチロワがニューヨークで開催された全米オープン会場で同性の恋人に公開プロポーズを行い、大変な話題に。

 オリンピックの金メダリスト、豪イアン・ソープは、他人の基準を気にして自分自身のありのままの姿を受け入れられず、うつやアルコール依存症に苦しんだというこれまでの葛藤とともに、自身がゲイであることを告白。保守的と言われるスポーツ業界でのカミングアウトという勇気ある行動に、賞賛の声があがりました。

 ビジネス界からは、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)が、ブルームバーグ・ビジネスウィー誌に「ゲイであることを誇りに思う」という手記を発表。公の場で自身が同性愛者であることを初めて発表しました。
「もしアップルの CEOがゲイだという話を聞くことによって、自分自身を受け入れることに苦労している人が助けられ、孤独を感じている人が慰められるなら、私のプライバシーを犠牲にする価値があると考えた」という同氏の姿勢は、多くの人たちに勇気を与えるものとして、メディアにも大きく報じられました。

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(プレゼンターをつとめたタレントのMEGUMIさん)

<厳しい差別に非難の声も>
一方、LGBTにとって厳しいニュースも依然として存在します。ロシアでは2013年に「同性愛宣伝禁止法」が成立。人権侵害につながると世界各国から非難の声があがるなか、冬季オリンピックの開催地、ソチの市長が「ソチにはゲイはいない」と発言したことを受け、欧米諸国の首相らが開催式への参加をボイコットしました。エジプトでは同性愛者の結婚式の様子を動画撮影した男性8人が「風俗を乱す映像を流布した」として禁錮3年の実刑判決を受けています。

ウガンダではヨウェリ・ムセベニ大統領の署名で同性愛者に最高で終身刑を科す「反同性愛法」が発効。のちに同憲法裁判所により無効判決が下されましたが、性の多様性を求める人たちの生きる権利を奪うものとして、世界に大きな衝撃を与えました。同性愛が禁じられている国は、現在もまだ70カ国以上あると言われています。

<カルチャー分野でも注目>
そういった逆風にも負けず、LGBTを受け入れる文化的土壌は日本においても少しずつ成熟しつつあります。アーティストのMISIAが、レインボーウィークの応援ソング「HOPE & DREAMS」を今年5月にリリースし話題に。8月には結婚情報誌「ゼクシィPremier(プレミア)」が同性愛者カップルの結婚式を特集し、大きな反響を呼びました。

また、「同居人の美少女がレズビアンだった件。」(小池みき/牧村朝子)は、コミックエッセイというスタイルでレズビアン女性の生きる姿を率直な目線から表現。自分らしく生きる大切さを考えさせられたと、これまでLGBTというテーマに関心のなかった多くの人たちの共感を得ました。

映画「チョコレートドーナツ」は、同性愛に対する差別や偏見が根強い1970年代、障がいを持ち、母親に育児放棄されたダウン症の子どもと、彼を引きとり家族のように暮らすゲイのカップルの実話をもとにつくられた作品ですが、全米各地で観客賞を受賞する話題作となり、日本でも多くの人に支持され、現在も上映館を拡大するヒットが続いています。 

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(カルチャー賞を受賞したMISIAさんは、ハートフルなビデオメッセージで登場)

 
(MISIA「HOPE&DREAMS」MV)

 TSSAライブ(TSSA授賞式のあとは、東京ゲゲゲイ党やバビ江ノビッチ、misonoさんをはじめとしたスペシャルなライブで盛り上がる)

<自分らしい性を生きる自由が当たり前の社会に>
自分らしい性を生きること。それが祝福される背景には、そのことに対する偏見や理解の不足といった、社会的な壁の存在があります。「LGBTと社会をつなぐ」とは、「その壁を乗り越える、勇気ある行動」のこと。その勇気がつながりあっていくことで、いつか、自分らしさを認めることが当たり前の社会が広がっていくのでしょう。

TSSA2014のオフィシャルパートナー、Gapは創業以来カスタマーやエンプロイーの個性や多様性の尊重を理念に掲げています。LGBTイベントに合わせてマルチカラーのストライプに装うGapのロゴは、なんと日本発。一連のLGBTキャンペーンに携わっているギャップジャパン株式会社の永田龍太郎さんによると、今年4月の東京レインボーウィークを皮切りに日本でのLGBT応援活動を開始したところ、その姿勢に、多くの人から共感を示す声が寄せられているそうです。

また、TSSAの収益はすべて、NPOブリッジフォースマイルなど子ども支援に取り組む団体に寄付されます。それは、LGBTコミュニティから、未来を担う子どもたちへの間接的なエールとなるのです。受賞会場に溢れる笑顔や拍手。そこからは、そんな、LGBTの人たちの温かさや力強さを感じました。5回目を数えるこのイベントから、その名の通りこれからもLGBTの未来を切り開くスターが確実に生まれていくことでしょう。

2015年は、LGBTシーンにとってどんな一年となるでしょうか。同じ社会を生きる一員として、ひとりひとりが、多彩な未来を描いてゆけますように。

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(MCを務めた佐藤かよさん、プレゼンターを務めたおぐねーこと小椋ケンイチさん、misonoさんらがイベントを彩りました)  

<Tokyo SuperStar Awards 2014受賞者> 

  • コミュニティ賞:安倍昭恵氏
  • 海外賞:イアン・ソープ氏
  • カルチャー賞:「HOPE&DREAMS」MISIA、 2014年東京レインボーウィーク応援ソング
  • カルチャー賞:書籍「同居人の美少女がレズビアンだった件。」  小池みき(著)、牧野朝子 (監修)
  • メディア賞:ゼクシィPremier(プレミア)2014年8月23日号

 Tokyo Superstar Awardsオフィシャルサイト

(LGBT関連記事)

「ありのままの、自分を生きよう」東京レインボーウィーク2014

 

取材・文: co-maki/今井麻希子
Reporting and Statement: co-maki-imaimakiko

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