リーマントラベラー育休 in タイ vol.2
- クリエーティブ・プロデューサー
- 小川百合
インタビューの後半 は、いよいよタイでの育休体験とリートラ流の育休を楽しむコツについてお届けします。
―タイでの子育てで印象に残ったことはありますか?
たくさんありますが、一番は子どもフレンドリー。子育てに関する考え方が日本と圧倒的に違い「子どもをみんなで育てよう」というのがあり、誰もが笑顔で挨拶や握手をしてくれて、子どもはアイドルとして扱われます。僕が抱っこ紐で、電車に乗った瞬間に席を譲られることもありました。途中でマレーシアとベトナムへも行きましたが、どの国もそんな感じでした。
あと、レストランに子どもを連れて行きやすいです。ミシュランの星が付いているレストランにもベビーカーの持ち込みができました。おそらく日本だと子どもは預けて夫婦だけで行きますが、タイでは子どもも一緒に行けたのでびっくりしました。
そのミシュランのお店でも、店員さんが抱っこしてくれて、あと隣のテーブルの人に嫌な顔をされず、話しかけてもくれる。子育てしている人へのリスペクトなのか、非常に子育てがしやすいです。
ryman_traveler imstagramより
―日本の子育てと大きな違いがありますね。
日本だと予約の時に「ベビーカー入れますか?」と確認し、大丈夫だった場合でも「泣いたら必ず外であやしてください」と事前にお願いされたこともあります。そのような「ベビーカーお断り」のストレスは一切なかったです。
外食はストレスを発散できて生活も豊かになるのに、日本だと結構ハードルが高い。なので帰国する時、怖かったです。もう外食に一生行けないなみたいな。
―私も子育て中、子連れでの外食や移動は怖い時期がありました。
移動といえば、タイのデパートでは駐車場のエレベーターの近いところに子連れであれば止められるスペースが設置されていました。スーパーにはプライオリティーレーンがあって、そこは障害がある人だけでなく、子連れも先にお会計ができるんです。
子育てに対する周りの協力体制が日本と全く違って、家族だけでなくて、町の人だったり、商業施設だったり、手を差し伸べてくれる人やサービスがタイには無数にありました。
あと、タイはタクシーが安いです。だからベビーカーを簡単に乗せられる。渋滞はありますが、電車以外の選択肢があることも気軽に出かけられる理由のひとつでした。
ryman_traveler imstagramより
―日本だと、子育てに関することは女性優位に仕組みが作られていますがタイはどうでしたか?
日本だと女性用トイレにしかオムツ台がない場合があるので困る時はありますね。タイではそういった不便さとか、ジェンダー的な問題や格差はあまり感じなかったです。
デパートにはベビールームがあり、それ以外の場所ではもはやその辺でどうぞという感じで、僕が対応できないので、妻に代わってもらうみたいなシーンはなかったです。だからといって、子どもを抱いて一人で出かけている男性が多いかというと、そうでもないのですが。
―育休を経験されて、育休は取った方がいいと思われますか?
それぞれの人たちの抱える事情があると思いますが、僕は取った方がめちゃくちゃ楽しいよと言いたいです。子どもの成長を最前列でみられるので。
一日一日できることがどんどん増えていく感覚を、大人はもう忘れてしまっているので、そういう成長をみていると自分の意識の変化を感じます。「エレベーター全然ないじゃん」みたいな気づきから、世界の見え方が一気に変わり、自分の思い込みの世界から外へ出たような感覚が僕の中にはあって。だから、行ったことがある国もまた子どもと行ってみたいですね。今、僕は進化して見えてくる視点も違うので。
仕事か育児かを選んで選択肢が狭まったのではなく、視点がどんどん加わって自分が見えないところが見えるようになり、これまでに思いつかないことが思いつくなど、育休は仕事やキャリアにも必ず良い影響も及ぼすと思います。
ryman_traveler imstagramより
―仕事も旅もエネルギー全開な印象ですが、エネルギーマネジメントについて何か意識をされていますか?
心と体が整っているときほど大きくジャンプできるので、休むときは徹底的に休みます。ただ、だらだら休むのではなく、どう休むかを決めて休みます。
例えば、一日中だらだらドラマを見てしまったらちょっと罪悪感があるんですが、今日は何話見ると決めて見ると達成感もあり、ポジティブな気持ちになれる。同じ時間でも自分でコントロールすることで満足度を上げられます。
ryman_traveler imstagramより
―休むことも意識されているんですね。
休むことはとても大切にしています。育休中に一度、義理のお母さんが子どもを3時間預かってくれて、妻と二人でタイの水かけ祭りに行ったら、めちゃくちゃリフレッシュできて。「育休中は旅行に行きづらい」というのがあると思いますが、育休を取っているからといって、 休んではいけないことはないと僕は思っています。子育ては心身ともに調子のいい状態でする方が良いので、そのためには休みが必要だと思いました。子どもを預けて、数時間でも夫婦で過ごすことを積極的に取り入れると、育休をより楽しく充実したものにできると思います。
誰も育休中に休んでいいと言わないと思うので、僕は休むことでのポジティブな面を大切にし、休んでいいと伝えていきたいです。
―お子さんのことはもちろん、パートナーシップも大切にされていると感じます。インスタのお二人で船に乗った写真がとても素敵でした。
妻に撮ろうよと言われたんですが、視野を広げてくれる存在が妻であり子であると感じています。結婚してよかったのはそこにつきるかもしれません。 いろんな考え方がありますが、結婚したらできないことが増える、子どもが生まれたらできないことが増えるというより、それ以上に僕はできることがすごく増えて人生が豊かになりました。
ryman_traveler imstagramより
ーインタビューを終えてー
育休を取ることへの葛藤からタイでの育休体験について深くお聞きしましたが、インタビューを通して常に「尊重する気持ち」を大切にされていると感じました。それがリートラ流の人生を豊かに楽しむコツなのかもしれません。
自分自身の固定観念を壊し、新しい道へ進むのは「誰かの選択肢になるから」というリートラの熱い思いを受け取り、あなたの中にも新たな選択肢が加わったのではないでしょうか。
今後のインスタ投稿もとても楽しみです。
リーマントラベラー・休み方研究家
東松 寛文
週末で世界中を旅する会社員。10年間で81ヵ国192都市に渡航。3ヵ月で世界一周を達成し、地球の歩き方から旅のプロに選出される。テレビ東京「ガイアの夜明け」、フジテレビ「超絶限界」等メディア出演多数。著書「自分の時間の作り方」をはじめ3冊が日本と台湾で発売中。オーストラリア・ケアンズ&グレートバリアリーフ観光大使、岐阜県羽島市アンバサダーも務める。
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