cococolor cococolor

22

Nov.

2024

case
9 Aug. 2023

病気は眠らない。こんな時どうする?~24時間365日対応薬局という選択~

中曽根彩華
統合マーケティングプロデューサー
中曽根彩華

病院や薬局・ドラッグストアが閉まっている時間帯や仕事・育児・身体状態ですぐに病院にいけない時に突然の体調不良に悩まされたらあなたならどうしますか?

 

筆者である私自身は、現役で薬剤師として現場に携わっているのですが、このような事態になった際は

 〇我慢する

 〇救急車を呼ぶ

 〇『♯7119』の救急安心センターに相談する

に加え、最近では

 〇オンライン診療を活用する

方も増えてきていることに気づきました。

オンライン診療を受けた後、お薬はすぐに欲しいですよね。

実は今、夜間や休日であってもいつでもすぐにお薬を受け取れる体制が少しずつ整い始めているのです。

24時間対応のかかりつけ薬局の存在

厚生労働省が策定している、「患者のための薬局ビジョン」には、「かかりつけ薬剤師・薬局が持つべき機能」の1つとして「24時間対応」が示されています。

薬局の24時間対応はどのような需要があるのでしょうか?

本記事では年中無休、24時間365日処方箋の調剤対応*(以後24時間対応)を受け付けているアサヒ薬局の東條 剛治(ひがしじょう たけはる)さん(以下東條さん)に実態を伺いました。

*本記事での24時間対応薬局とは、一定の営業時間は定めているものの、問い合わせれば営業時間外でも薬局業務に対応してくれる薬局を指しています。

アサヒ薬局 東條 剛治さん

処方箋の24時間対応 どんな時に利用できるの?

実際に、どのような人が時間外対応*を活用しているのでしょうか?(*定めた営業時間外に調剤や服薬指導などの対応を行うこと)

東條さんが時間外対応をしたケースは以下があると言います。

    

特に、ケース6のような飲み合わせや薬の副作用に関する電話問い合わせは、夜間に限らず私自身も薬剤師として勤務している中で、対応することがあるのですが、かかりつけ薬局が閉まっている時間帯に問い合わせが殺到することがあるようです。

しかも、アサヒ薬局の周辺の地域の方だけではなく、北海道~沖縄まで全国から問い合わせを受けており、問合せ者も、処方箋を受け取った当事者の患者様だけでなく、医療機関や介護施設のスタッフ、ケアマネージャーなど多岐に渡るそうです。

一般的に薬局が閉まっている時間に、こんなにも多くの方が情報提供や処方箋対応を求めているのか、と東條さんご自身も24時間対応を始めて気が付いたと言います。

アサヒ薬局 店頭写真 年中無休と力強く掲載

時間外利用したい!となったら ~処方箋の有効期限内に問い合わせを~

では、いつも訪問する薬局が閉まっている時間等に、あなたがお薬の相談や処方された薬を受け取りたいとなったら、どうすればよいのでしょうか?

 

 ・まずは、24時間対応の薬局が近くにあるかWEBで調べてみましょう。

 ・近くに対応可能な薬局があったら、問い合わせ方法を確認します。基本は電話やメールで問い合わせを入れる薬局が多いです。

 

アサヒ薬局の場合は、電話もしくはLINEでの問い合わせを受けています。

ケース1~5のような処方箋の受付・対応はもちろんのこと、ケース6のような副作用や飲み合わせの相談はいつでも対応してもらえます。

家にあるお薬がどのような症状に対して効果的なのか、いつどのくらい使用すべきかというアドバイスもしてもらえます。

 

ただし、処方箋対応を依頼する際には処方箋の有効期限に注意しなければいけません。処方箋の有効期限は原則発行から4日間と国で定められています。この期間を過ぎている処方箋はどこの薬局でも受け付けることができません。しっかりと処方箋有効期間内であることを確かめてから利用するようにしましょう。

時間外対応でも保険適用が可能。病気は眠らない。

時間外対応であっても、もちろん処方箋を持って受付を行えば、保険適応は可能です。

ただし、通常の営業時間の場合と比べると、『調剤技術料』に加算が発生するため負担額が少し増える形にはなります。

深夜22時以降に対応した際の見積もり

とは言え一定の対象年齢は医療費無料の制度を取っている自治体ではその年齢であれば、変わらず医療費はかかることはありませんし、保険適応で処方を受けられるので、負担したとしても1回あたり数百円くらいの負担額の増加で利用できると理解しておくとよいでしょう。

―東條さん

病気は眠りません。薬局が開く時間まで薬をもらうことを待てない患者様だっているはずです。救える命を失いたくないです。必要な時は遠慮なく時間外対応薬局を頼ってください。」

年齢・性別・症状関係なく 誰でもいつでも安心できる薬局へ

―東條さん

「【かかりつけ薬局=患者様にとって、いつもいてくれて頼れる安心感のある薬局】だと思っています。

 前に勤務していた薬局で、居宅にて診察を受けている要介護の患者様の担当をしていたことがありました。

 その患者様に緊急でお薬が処方されたのですが、勤務先の薬局は閉局しており、結果として他の薬局からのお薬を貰わざるを得ない状況になったのです。

 これでは“かかりつけ薬局”としての役目を果たせていないのではないか?と強く疑問を持ちました。

 また、僕自身の家族も仕事で忙しく、開局時間内にお薬を受け取りに行けなかった経験がありました。

 今は共働き世帯が半数を超えてきています。同じように仕事をしながら開局時間内に薬を受け取れなくて困っている人がいるのではないか、と思い24時間・365日対応の年中無休薬局を開局しました。

 ですが、24時間対応でもお薬がなければ意味がないですよね。

 アサヒ薬局は何科も入っている大きな総合病院の前で開局しています。がん患者様に処方されるようなお薬から風邪に処方されるお薬まで、2000種類以上のお薬を揃えているので、できる限り多くの患者さんに対応できる体制が整えられています。

調剤室風景 お薬が360度にありました

 それから、自分の子供が薬局に行くといつも泣いていたんです。きっと薬局が怖いところだったのだと思います。

 なので、子供でも怖くない薬局になるよう、絵本やぬいぐるみを用意したり、子供たちの目線で話すことを意識したりしています。

 症状で辛い中、頑張っている子供たちの元気に少しでもつながる環境になれば嬉しいです。どんな人でも、いつでも、ここがあれば安心だと思ってもらえる、そんな存在になれたらと思っています。」

 

力になりたい薬剤師は、きっとあなたのすぐそばに。

昨今では、大きな病気を抱えながら、今まで通りに仕事をこなし、外来受診で治療をする患者様も増えてきました。そのため、従来の開局時間に縛られないサポートが調剤薬局にも一層求められているように感じています。

いつも診させて頂いている患者様のことは、つい気になってしまうという薬剤師はたくさんいます。私もその一人です。そういった想いから開局時間に縛られずにサポートできる調剤薬局も増えているのでしょう。

 

医師は専門とする診療科がある一方で、調剤薬局では様々な診療科の処方箋を扱っています。つまり薬剤師に診療科の壁はありません。様々な診療科にかかっている患者様の症状・生活情報・お薬を一元管理しながら向き合っています。

医師に症状の相談をすることはとても大切ですが、是非、頼れる「あなたの薬局」を見つけて、薬のことだけでなく体調のことや生活習慣など、気になることや心配なことがあれば、カラダのトータルケアを担えるかかりつけ薬剤師に相談をしてみるのもどうでしょうか?

より安心して過ごせる生活を手に入れ、あなたがずっとあなたらしい人生を生きられるように。

そう心から願い、力になりたい薬剤師は、あなたのすぐそばで待っていることでしょう。

 

【イラスト】並木万依

【協力】アサヒ薬局 (https://higashi-medical.com/

【参考資料】 患者のための薬局ビジョン 概要 (https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/gaiyou_1.pdf

取材・文: 中曽根彩華
Reporting and Statement: saikanakasone

tag

関連記事

この人の記事