「すべての人の美を支えるために」100人以上の社員ボランティアが参加: 資生堂 –東京レインボープライド2016-
- 共同執筆
- ココカラー編集部
終始大勢の来場者で賑わいを見せていたのは、今年で2年目の出展の、資生堂のブースです。「誰もが気軽に、メーキャップのアドバイスを受けられる場を提供するために」との想いから、参加したボランティア社員は、なんと100人以上。その背景にある想いとは何なのでしょうか。資生堂人事部の春日裕勝さん、中住純也さん、執行役員の副島三記子さんにお話を伺いました。
誰もがメイクを楽しめる場を提供
編集部:
東京レインボープライドには、今年が2年目の出展ですね。資生堂がLGBT支援の活動をされていることに対して、「意外」という印象を持つ方も少なくないのではないでしょうか?
春日さん:
はい、そのような感想をいただくこともございます。
編集部:
出展を決めた背景には、どのようなお考えがあるのでしょう?
春日さん:
資生堂は、性別・年齢・国籍に関係なく、すべての人の美を支援することを企業理念に掲げております。ですから、LGBT・性的マイノリティの方たちも、当然その対象に含まれていると、私たちは考えているのです。
編集部:
ブースには、かなり多くのスタッフの方が対応にあたっていますね。
春日さん:
今年はビューティーコンサルタント(デパートなどの店頭で対面販売を行う美容部員)が約70人、総合職の社員が40人と、100人を超えるスタッフがボランティアで参加しています。
編集部:
今回の出展のポイントは何ですか?
春日さん:
LGBTの方は、デパート等の化粧品売り場には立ち寄りにくいと感じることが少なくないそうです。そこで私たちは、どなたにも気軽に訪れていただけるメーキャップと美容相談の場をご用意しました。また、トランスジェンダーの方をモデルにお招きして、メーキャップ・ショーも開催しました。
編集部:
実際にメーキャップをしたお客様の反応はいかがでしたか?
副島さん:
普段はなかなか相談できなかった、ファンデーションの色やメーキャップの方法についてのアドバイスを得られたことが良かった、といった感想をいただきました。
編集部:
担当したスタッフの方からはどのような声が寄せられていますか?
副島さん:
スタッフは、目の前にいる方を美しくすることに、とても大きな喜びを感じています。お客様が綺麗になり、喜んでいる姿を目にすることから、嬉しい気持ちをいただいているようです。
編集部:
隣のブースでは、グループ企業のベアミネラル(米国発ミネラル化粧品ブランド)が出展されていますね。
春日さん:
ベアミネラルは、LGBTのメッカとも言われるサンフランシスコ生まれの企業で、本社スタッフにはLGBT当事者が非常に多く、LGBTコミュニティの間では知名度が高いと言われています。
編集部:
こういった企業がグループに存在することが、グループ全体に与える影響も大きいのではないでしょうか?
中住さん:
そうですね。この他にも、グループ企業の資生堂学園(美容技術専門学校)が、LGBTのカミングアウトをポジティブにサポートする「OUT IN JAPANプロジェクト」にヘアメーク協力をしています。
春日さん:
ご来場いただいた方から、資生堂グループとしての取り組みを評価するコメントをお寄せいただきました。グループ全体でこのような動きを進めて欲しいというお声も頂いています。
(インタビューに協力くださった執行役員の副島さん(中央)、人事部の春日さん(右)、中住さん(左))
社員のボランティア参加が、LGBT理解浸透の力に
編集部:
ブースで展示されている”With you! LGBT”というポスター(写真)は、今回の出展のために制作されたのですか?
中住さん:
はい。弊社のクリエイティブデザイナーが、ボランディアで作成してくれました。
春日さん:
その他にも、執行役員や、人事部長、現場でお客様と直接触れ合う美容スタッフなど、多様な部門の社員が参加しています。参加したスタッフは、訪れた方々が喜んでくださる姿に直接触れる体験を通じて、私たちの仕事の社会的意義やLGBTへの理解を深め、やりがいを感じているようです。
編集部:
ところで、社内でのLGBT支援の取り組みの状況はいかがでしょうか?
中住さん:
現在は、セミナーや人権研修の開催を通じて、社員向けの教育を進めています。制度面での対応も、今後検討していく予定です。
編集部:
社内でLGBTに関する取り組みを進める上で、こういったイベントに参加されていることの影響はありますか?
中住さん:
今回の東京レインボープライドに複数部門から100人以上の社員が参加したことは、今後、社内や現場でのLGBT理解の浸透に、きっといい影響をもたらすものと期待しています。社員がLGBTを正しく理解することは、お客様のニーズを知ることにもつながりますので、こういった活動に、これからも積極的に関わっていきたいと考えています。
編集部:
今後の展開もますます楽しみですね。今日はどうもありがとうございました。
参考: 資生堂
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