「Braille Neue」発明日記、その4。つまずき。
- 共同執筆
- ココカラー編集部
どうも。発明家の高橋鴻介です。
前回の続きで、Braille Neue日本語版の制作について書いていこうとおもいます。
神戸アイセンターで行われた『NO LOOK TOUR』のイベント中に、「名刺に入れたいので日本語版を作って欲しい」と言われました。しかし、日本語はとても複雑なので、その難しさについて話したところ、「カタカナなら、直線で構成される要素が多いので、いけるんじゃないか?」という声をもらいました。帰ってすぐに、今までと同じように、点を線でつなぐところからプロトタイピングをスタートしました。
まさに、失敗の連続
しかし、なかなかうまくいきません。
特に「メ」という字は、点字のなかでも6点すべてを使うので、かなりトリッキーな形になってしまいました。このままでは点字と墨字の可読性とのバランスを担保できないと思っていました。
過去の書体は、「文字らしさ」の宝庫
このままでは、なかなか日本語がカタチにならないことを感じて、過去の書体のリサーチをはじめました。例えばBraille Neue Standard(アルファベット)の中にある「T」という文字はスラブセリフ体という書体をベースに作っています。
スラブセリフ体とは、文字のストロークの端に「セリフ」と呼ばれる飾りがついている書体で、石や金属などの四角く幅の広い板を意味する「スラブ」を冠していることからも分かるように、全体的に太めで力強いイメージがあります。
ベーシックなゴシック体だけでは解決できない部分を、他の歴史ある書体の要素を用いることで乗り越えてきました。日本語フォントでも、同様に、アウトラインフォントという存在に気付きました。アウトラインフォントとは、文字の外郭をなぞったような形状をしている書体のことです。
何度もスケッチを繰り返す中で、タテ3点×ヨコ2点のグリッドの中ですべての文字を構成することに限界を感じていました。そこで、新しいグリッドを作り出し、アウトラインフォントとして日本語を完成させました。
そして社会実装へ
次回はいよいよ日本語、英語双方の社会実装編。渋谷にある100BANCHという施設に実装したことをきっかけに、いろいろな場所に広がっていった様子をレポートします。お楽しみに!
執筆者 高橋鴻介
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