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Dec.

2024

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12 Aug. 2021

家庭から一緒にはじめよう、持続的なまちづくり ~川崎市のフードサイクルプログラム「eco-wa-ring Kawasaki」始動~

 

みなさんは「コンポスト」をご存じですか。

コンポストとは「たい肥」や「たい肥をつくる容器」のことで、家庭から出る生ごみを投入してかき混ぜることを繰り返すと、栄養価の高いたい肥に変わります。
近年コロナ禍の巣ごもりの影響から、ごみ削減やフードリサイクルへの関心とともに、コンポストへの注目が高まっています。


LFCコンポスト[写真提供] ローカルフードサイクリング㈱


今回ココカラーでは、そんなコンポストという身近でエシカルなアクションを軸にしたプロジェクト「eco-wa-ring Kawasaki」への取材を通して、「持続的なまちづくりの在り方」を探ります。

 

「eco-wa-ring Kawasaki」とは?

eco-wa-ring Kawasaki(エコワリング川崎)とは、川崎市・株式会社電通・株式会社トラストリッジ・ローカルフードサイクリング株式会社が今年6月18日から共同で始めたプロジェクトで、ごみの減量や資源化、CO2の削減とともに、地域住民と企業間の連携や交流、そして地域コミュニティの活性化とまちづくり、SDGsへの貢献を目指すものです。
参加者は、家庭の生ごみをコンポストで有機肥料にし、家庭菜園・市内の連携農園・コミュニティガーデンで野菜作りなどを行います。

eco-wa-ring Kawasakiの仕組み(eco-wa-ring Kawasakiの仕組み)

本プロジェクトの共同推進者である川崎市環境局生活環境部減量推進課の内田洋平さん、“都市型”コンポストを開発するローカルフードサイクリング株式会社 の代表たいら由以子さん、株式会社トラストリッジが運営するサステナブルな暮らしをガイドするサービス「ELEMINIST」のプロデューサー 深本南さん、株式会社電通のプランナー 口羽敦子さんにお話を伺いました。

eco-wa-ring Kwasaki共同推進者の皆さん

(左から内田さん、たいらさん、深本さん、口羽さん)

 

プロジェクトに込めた想い

✓サステナブルな活動が一番サステナブルじゃない

「現状、市民の意識や行動をサステナブルに導くためにはお金と労力がすごくかかる。より手軽に人の行動と意識を継続的に変えていける仕組みがあれば一気に変わると思った。」

こう話す口羽さんの発案と声がけによって、今回のプロジェクトははじまりました。

✓「ごみを減らす」以上の目標

「川崎市として、ごみの削減と埋め立て地の延命化が課題であった。」

とプロジェクト参画の経緯を振り返る内田さん。

「子供たちに現在の環境を引き継いでいくためにも、資源循環や自然共生は大事なテーマであり、身近なところから、生ごみを減らすという取り組みは重要。さらに、SDGs17番目のパートナーシップという目標の通り市民と事業者と行政が共創することでのより高い啓発効果も期待している。」(内田さん)

 

共同プロジェクトだからこそ実現できること

✓川崎の食を良くする

「今の世の中は持続不可能」だと話すたいらさんは、都市型のLFCコンポストを主体として暮らしの半径2kmという距離感で実践する食の循環に取り組まれています。

「地域に根をおろして行政が主体的に行うプロジェクトは、住民と行政のごみ減量など地域をよくするという自己実現になると同時に、食をよくするという点に共感しました。」(たいらさん)

実際に、ある参加者は参加理由について次のようにお話していました。

「自分が小さい頃は家の前に空き地があって畑とかができた。今はそのような場所が少ないから、子供にも土や野菜と触れ合う機会を持ってもらえたらと思っている。」


コミュニティガーデンの野菜を収穫する参加者(コミュニティガーデンの野菜を収穫する参加者)

✓全国にコンビニの数以上にコンポストの拠点を増やす

サステナブルな暮らしをガイドするサービスELEMINIST。月間45万人の読者から頻繁に上がる声、それは「コンポストの拠点が欲しい」。

そんな地球環境にいいことをおしゃれに楽しみたいという読者のために、このプロジェクトに2つ返事で賛同したという深本さん。

「今後、全国にコンビニよりもたくさんコンポストの拠点ができてほしい。」(深本さん)

この発言にはその場で全員が拍手で賛同。その実現に向けてたいらさんはこう後押しします。

「土地があれば、あとは仕組みだけだと思う。都市生活者の中には、家は郊外でも生活は都市という人が多いので、そういう人たちと農園などをどうつなげていくかが重要。」(たいらさん)

✓地域コミュニティで地域課題を解決していく

持続的なまちづくりについて、内田さんは次のように捉えています。

「行政主体であった時代から、今は市民が主体性と影響力をもつ時代。行政が主導でやるというよりも、地域コミュニティや街が自発的にいい方向へ向かってことをサポートするという体制が望ましい。」(内田さん)

 

eco-wa-ring Kawasakiからつながる未来

最後に、このプロジェクトがより広がっていった先に期待することを伺いました。

ヨネッティー王禅寺にできたエコワリング キッズコミュニティガーデン

(ヨネッティー王禅寺のエコワリング キッズコミュニティガーデン)

✓世の中と地球にいいことを楽しく

「押し付けではなく、自分が楽しいことは自然にできると思う。私たちはこの循環を楽しい原体験にして、発信していくことで、次第に参加者が参加者へ伝えていくように広がっていけば嬉しい。」(口羽さん)

✓たのしい循環生活とパブリックヘルス

「このプロジェクトに関わることで健康になる、元気になる、寿命が延びる、病院に行く回数が減る、そういう風にしたい!」(たいらさん)

✓顔の見えない街から顔が見える街へ

「まったく知らない人同士が集まって活動がスタートし、参加者同士のコミュニケーションが活性化していくと、誰もが安心して暮らせる街になる。そうすると、その地を愛し、思いやりのあるまちづくりをする人が増えていくと思う。」(深本さん)

✓環境に良いことをこれからも一緒に

「川崎市はこれまで公害に対して市民と事業者、行政が一丸となって取り組んできた歴史がある。それゆえ、企業も市民も環境意識の高い人が多い。このプロジェクトを通して、楽しく、環境に良いことをやっている姿を内から発信して、どんどん広がっていってほしい。」(内田さん)

 

暮らしの中に、環境と人とのつながりを戻す

「世の中にあったらいいと思うもの」を実現させるために4団体が共鳴し、行政と民間と市民が協力する、それが自然に起きていることが印象的でした。
その想いや活動に共感して参加者が集まり、拠点がどんどん増えていくという循環が、インタビューをしながら目に浮かびました。

”コンポスト”と”地域”という身近なところから、お互いが自然に協力し合って、つながりと影響を生む。
かつては当たり前だった人と人、人と土が触れ合える場所が還ってきたという感覚を覚えました。
この循環が今後、地域の垣根を超えて、全国へじんわり広がっていくまで応援したいと思います。

 

参照リンク

eco-wa-ring Kawasaki HP 

LFCコンポスト 

ELEMINIST 


執筆者 稲野辺 海(Kai Inanobe)

取材・文: cococolor編集部
Reporting and Statement: cococolor

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