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Dec.

2024

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12 Aug. 2021

ヘルスケアにおけるダイバーシティを考えてみる vol.2 フェムテックの現在

平春花
ビジネスデザイン・プロデューサー
平春花

女性特有のヘルスケアの多様性

ヘルスケアにおけるダイバーシティを考えてみる vo.1では「体質と健康」について考えてきた。

https://cococolor.jp/healthcarediversity1_20210730

今回はヘルスケアダイバーシティの第二弾として、「フェムテックの現在」を取り上げていく。

その中でまずは、女性特有のヘルスケアの多様性について考えてみたい。

女性特有のヘルスケアというと月経にまつわる症状が代表として挙げられる。実は、男性には馴染みのない生理の症状には個人差がある。

また、個人差のみならず例えば「26歳を超えてからPMSが酷くなった」といった声があるように、年齢によってもその症状は多様化していく。
※PMSとは月経前、3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消失するものをいう。

(公益財団法人日本産婦人科学会のHPから引用http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=13)

今回は、そんな女性特有のヘルスケアと、個人や社会はどう向き合えば良いのか、また、それに対して企業はどのようなソリューションを生み出しているのか、紹介していく。

 

1.現代社会の月経への課題意識

vo.1でも取り上げたように、一般的に現代の女性は初経が早くなり、出産数が少なくなったりで、昔の女性に比べて5~10倍もの生涯月経数を経験することになる。つまり、月経の期間が増えることで月経による苦痛の期間が増えるということ。

さらに、女性の社会進出で、男性と同等の働きができるように健康を保つことを求められる中、月経をはじめとする各種の問題は現代に生きる女性の大きな課題となっている。

■社会の月経に関する課題意識

月経前や月経中に下腹部痛などの身体症状や、 いらいらなどの精神症状、人につらくあたってしまうなどの月経に伴う様々な不調による経済的損失は6828億円に上ると計算されており、(※1)その多くを労働損失が占める。

実際に女性従業員の5割が月経関連の症状、PMS、更年期障害などで職場で困った経験があると答えているが、一方、管理者の立場では、月経関連の症状などはあまり認識されていないのが現状としてある。(※2)

※1.2 :「健康経営における女性の健康の取り組みについて」

(平成31年3月)経済産業省https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/josei-kenkou.pdf

 

■生理休暇制度が機能していない現状

「FiNC」を利用する20代~60代以上の女性1,003名を対象に、FiNC総研によるインターネット調査によると生理休暇取得率はたったの7%に留まっている。

上司に生理ということが憚られ、生理休暇を使うことができず通常の休暇を取得しているのが12%。(※3)

※3:2021年4月 FiNC総研「「生理」に関するアンケート調査」

https://news.mynavi.jp/article/20210422-1876434/

 

このような現状があるが故に、管理者(コミュニティ)が女性の月経に対する課題意識が持てなくなっている。

また、個人の課題としては企業に生理休暇制度があるにも関わらず周囲(社会)の目を気にして生理休暇を取得できないということの他、自分の月経の辛さが周囲に比べてどの程度のものなのかがわかっていない、ということも考えられる。

 

2.課題解決のための3つのアプローチ

女性特有のヘルスケアの課題を解決するためには、

①個人が自分自身の身体の状態と向き合うきっかけを作る

②個人を取り巻くコミュニティ間での情報共有を可能にする

③社会全体の月経に関するタブー意識を取り除く

といった3つのアプローチがある。

次の段落からは、筆者も参加している電通内のフェムテック特化チームであるFemtech and Beyondの奥田涼さんのお話から3つのアプローチについて詳しく見ていきたい。(※4)

※4:ユニ・チャーム ソフィ 「#NoBagForMe」

https://www.sofy.jp/ja/campaign/nobagforme.html

 

①個人が自分自身の身体の状態と向き合うきっかけを作る
■自分の生理と向き合うためのプロダクト

★IoT月経カップ Loon-Cup

http://www.looncup.com/loon-cup

満杯になりそうなタイミングでのアラート発出の他、アプリと連携して出血量、スケジュール管理、血色モニタリング、サイクルトラッキング、基礎体温測定機能もある。(※6)

※5:「LOON CUP」
http://www.looncup.com/loon-cup

②個人を取り巻くコミュニティ間での情報共有を可能にする

■生理情報の共有

★ルナルナの機能アップデート

https://paircare.jp/

LINEで生理日を予測、パートナーとも共有できる「ペアケア」にサブスクプランが追加された。

ホルモンバランスによる体調変化や妊活をされている方向けに妊娠しやすい日をパートナーに共有する機能で、LINEならアプリなしでも男性に「生理」の情報を共有できる。(※7)


※6:「PAIRCARE

https://paircare.jp/

 

③社会全体の月経に関するタブー意識を取り除く

■生理について気兼ねなく話せる世の中を実現していくプロジェクト

★ユニ・チャーム ソフィ #NoBagForMe

https://www.sofy.jp/ja/campaign/nobagforme.html

生理が隠さ隠されないといけないという社会の意識を開放し、生理のことを公にしていこうというプロジェクト。(※8)

 このようなプロジェクトなどを通じて、「今自分に生理がきている」という話が気軽にできるようになることが理想な社会なのではないか。


※7:ユニ・チャーム ソフィ 「#NoBagForMe」

https://www.sofy.jp/ja/campaign/nobagforme.html

 

★国内事例 アスリート×生理

https://youtu.be/x7M8pv_p2pI

アスリートは本気でスポーツするから生理の調子悪いときはパフォーマンスが落ちることがある。

さらに管理を怠ると生理がこなくなることもあるが、「生理がこなくなって一人前だ」とも言われることもある。

しかし、無月経になってエストロゲンが減ると骨が弱くなるといった観点から今後はアスリートの生理をチーム内で管理していくという取り組みだ。

具体的にはコーチと話しをするワークセッションなどを実施しており、政府も目を向けているという。

 

★海外事例 スポーツx生理 共有アプリ FiTR COACH

コーチと選手が生理の情報を共有するアプリ。(※9)

生理の情報を共有するという文化を作るためにはまずは組織に課題として認識してもらい、このアプリを半強制的に組織に導入することで文化を作っていくというのは、良いアプローチでないだろうか。

 ※8:「FITR WOMAN」

https://www.fitrwoman.com/coach

Vo.2を通して考えたいことは、ひとえに月経といってもその症状は人それぞれであり、これまではその向き合い方が個人視点からしても社会視点からしても曖昧になっていたが、現代ではフェムテック文脈を通して様々なアプローチ方法がでてきたということだ。

自身の身体と向き合うことと社会のヘルスケアダイバーシティにおける課題を解決することは切っても切り離せない関係にあり、まずは自分の身体と向き合い、周囲の人の状態を理解するという意識を個人が強く持つことが、大きな経済損失を防ぐことの第一歩になるのではないか。

そしてそれは経済損失のみならず、私達一人ひとりがより生きやすい世の中を作ることに繋がるのではないか。

女性のヘルスケアダイバーシティを躍進していくため、チームであるFemtech and Beyondでは、個人だけでは解決できない組織の課題を定義し、ソリューションを提供していきたい。

そして、私自身、自分の身体と向き合うことと周囲の人の健康に気を配ることを忘れずに取り組んでいきたいと思う。

取材・文: 平春花
Reporting and Statement: harukataira

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