さあ、「社会」を「ルール」を変えていこう ―東京レインボープライド2021―
- ビジネスプロデューサー
- 秋田ゆかり
「“性”と“生”の多様性」を祝福するイベントである東京レインボープライド(TRP)。
記念すべき10回目の今年は4/24~5/5にオンラインで開催されました。
この記事では、4/24のオンラインパレード、4/24~4/25の2日間にかけて実施されたオンライントークイベント「#おうちでプライド2021」を中心にお伝えします。
「声をあげる。世界を変える。Our Voices, Our Rights.」
「同性婚を認めないのは《違憲》」
2021年3月17日に、札幌地方裁判所は同性婚を認めないのは、憲法14条の法の下の平等に反するとして、上記の判決を下しました。
まさに、「社会」が、「ルール」が、変わっていく兆しを見せた判決でした。
札幌地方裁判所の事例にもあるように、LGBTQ+の課題は徐々にLGBTQ+の認知・理解促進から、憲法や法律、学校・職場・地域の身近なルールも含む様々な枠組みを変えていくことに移り変わっています。
このような世の中の流れもあり、TRP2021は「声をあげる。世界を変える。Our Voices, Our Rights.」というテーマを掲げています。
「#おうちでプライド2021」では、このテーマを基にタレント・作家・モデル・大学教授など様々な分野から豪華ゲスト16名が参加し、SNSで寄せられた視聴者からの「声」やゲスト自身が変えたい社会やルールについてトークセッションが行われ、2日間合計で約160万人が「#おうちでプライド2021」を視聴するという盛りあがりをみせました。
(ゲスト出演をしたロバート キャンベルさん)
(ゲスト出演した長谷川ミラさん)
当事者も、アライも、行動を
同性婚・性教育・労働環境・恋愛・服装・言葉・学校・医療・地域格差・・・様々なジャンル、多様な人々から「#おうちでプライド」「#声をあげる世界を変える」というハッシュタグの下、4/24~4/25の2日間で多くの声がSNSとTRP公式HPで発信されました。
たくさんの声がSNSを通じて発信されたことについて、特定非営利活動法人 東京レインボープライド共同代表の山田なつみさんに話を伺うと、「想像以上の反響があった。また、長文で発信してくれるメッセージが多かった。」と驚きと共に伝えてくれました。
それほど、LGBTQ+を取り巻く世の中への違和感やルールを変えたい思いが、社会の中で強まっていることが分かります。
また、ここに集まった声の中には、当事者のみならず、アライの方の声も多くありました。
アライの輪を広げていく活動について、同じく共同代表の杉山文野さんがこう語ったのが、とても印象的でした。
「決してLGBTQ+だけを分かってほしいという訳でなく、みんな何かしらのマイノリティであり、だからこそ誰もが安心して暮らせる世の中になってほしいと思っています。当事者の方もそうでない方も、LGBTQ+にまつわるテーマについて考えることで、自分に置き換え、そしてアクションを起こしてほしいと思っています。」
「身近なことから変えていくにしても、当事者の力だけではなく、多くのアライの方々の理解と協力があったからこそ、ここまで大きな輪になっていると感じています。」
TRP2021でも、アクションを起こしていくために、若い世代に注目した新たな取り組みに挑戦していました。
(左から、共同代表の山田さん、杉山さんと司会のブルボンヌさん)
若い世代から発信!「 YOUTH PRIDE JAPANプロジェクト」とは?
「何かできることはありませんか?」
昨年に引き続きTRP2021もオンライン開催が決定し、リアルでのボランティア募集が中止になったことを受けて、若い世代からこういった声があがったようです。
「素直に発信してくれることに加え、発信慣れしている若い世代が主体的に動くことで、世代間の思いを共有してくれるのではないか。」
こういった思いの下、10代・20代のボランティアスタッフで構成されるYOUTH PRIDE JAPANは立ち上がったと、杉山さん・山田さんはプロジェクトに込めた思いを明かしました。
YOUTH PRIDE JAPANのオンライントークイベントでは、乙武洋匡さんやりゅうちぇるさんを交えたトークセッションが行われました。
トークセッションの様子(左から、YOUTH PRIDE JAPANのみーやさん、シマコさん、リリーさん、乙武さん、りゅうちぇるさん)
テーマはアライの悩みからセルフラブ(自己肯定感)の話など、若い世代が実際に抱えている悩みや困っていることを幅広く取り上げながら、等身大の言葉で語られました。
トークセッション後、りゅうちぇるさんから若い世代に対する大変興味深い考察を伺うことができました。
「若い世代の中で、幸せそうなスタイルで生きることが大切なテーマになっており、個人がどのような幸せをつかむかが重要になっている。」
「SNSに長けている若い世代は、LGBTQ+の存在を知ったり、リアルでなくても出会えたりする機会が多い。」
「だからこそ、当事者の方のとても幸せそうで、とてもカッコ良い生き方に出会うと若い世代は共感するのではないか。」
若い世代を中心に当事者の方が発信を積極的に行っていたり、アライの輪が広がったりしているのは、こういった理由があるようです。
あなたの「声をあげたい、世界を変えたい」ことは何ですか?
今回筆者は初めてTRPに参加しましたが、16名の豪華ゲストが参加したオンライントークイベントを中心に、幅広い分野のテーマが話されており、当事者の方も、そうでない方も楽しめるコンテンツになっていると感じました。
だからこそ、ここまで大規模なイベントに成長しているのだと思います。
また、TRP2021は昨年に続きオンライン開催となりましたが、エリアを問わず参加できることやオンラインだからこその手軽さが魅力になっています。
「今後リアルとオンラインの同時開催にも挑戦してみたい」と杉山さんは意気込みます。
東京レインボープライドの参加者がどんどん増えていくことで、発信力をさらに強め、様々な声を届けていく未来を見据えているようです。
2021年のオンラインプライドパレード・オンライントークイベント「#おうちでプライド2021」は終了しましたが、「社会」を、「ルール」を変えていく闘いはこれからも続いていきます。
あなたの「声をあげたい、世界を変えたい」ことは何ですか?
筆者はカミングアウトが必要のない世界を目指し、「社会」を「ルール」を変えていきたいと思っています。
ぜひ一緒に考え、行動にうつしていきましょう。
次回の記事では、TRP2021への企業による取り組みについてレポートします。
<参照:「結婚の自由をすべての人に」訴訟 北海道訴訟の札幌地裁判決>