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Oct.

2024

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1 Jul. 2020

「視覚・聴覚障害者からの7つの提案」から新しい生活様式を考えよう!

青山大樹
PRプランナー
青山大樹

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大は、私たちの生活環境を大きく変え、多くの不安や問題をもたらしました。そのようなコロナ禍の中で、政府は「新しい生活様式」を提言、その在り方について様々に議論されてきたことは記憶に新しいかと思います。
しかし、この“新しい生活様式”は、多様性のある社会において十分といえるものなのでしょうか?

今回はそのようなダイバーシティ社会における“新しい生活様式”を考えるためのヒントをご紹介します!

ヒントとなるのは、ダイアログ・イン・ザ・ダークで知られる一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティが発信した、コロナ禍における視覚・聴覚障害者の実態調査と「視覚・聴覚障害者からの7つの提案」です。

その中でも私が着目したのは、「視覚・聴覚障害者からの7つの提案」。
それがこちらです。

視覚障害者・聴覚障害者の観点で、各々が抱える課題解決に向けた提案が7つずつ挙げられています。具体的に見ていきましょう!

【視覚障害者からの7つの提案】

①メディアの画像やグラフは「具体的に言葉に」なれば、みんなと一緒に知ることができる

テレビやホームページ、あらゆるメディアには、写真や絵が多く「ご覧の通り」等の説明がありますが、私たちは見ることができません。ラジオのように、言葉にしてください。また、WEBの写真や画像には文字コメントを入れていただけると、私たちは音声で聞くことができます。

②助成金などの説明や申請手段を一緒に考えてほしい

手続きには読み書きが必要で、視覚障害者が一人で行うことが困難です。電話での手続き方法や、担当者が自宅に来ていただけるなど、私たちができる方法を取り入れていただけると安心できます。

③「もしも」の場合の移動手段を一緒に考えてほしい

新型コロナウイルスに感染したかもしれず、検査に行く場合、病院や保健所等に単独で公共交通機関を使わず行くことは困難です。初めての道、初めての場所、体調が悪い時には、五感が鈍り、状況把握が普段よりできません。国や自治体から、病院や保健所までの送迎をお願いしたいです。

④「触れること」は私たちが情報を把握するための一つの手段です

公共の交通機関などを含め、あらゆる場所で、触れて周囲の状況を確認している私たちです。そのため、ウイルス感染の恐怖と常に隣り合わせであり、周囲に感染させてしまうのではないかという不安も大きいのです。例えば、電車やバスでは、感染への不安から吊り革や手すりは掴まれません。もし空いている席がありましたら、教えてください。そして、席を譲っていただけると嬉しいです。また、沢山の人たちと同じように、もしくはそれ以上に、視覚障害者もマスクや除菌シート、アルコールなどを必要としていることを知ってほしいと思います。

⑤フィジカルディスタンスや街の変化を、声で伝えてほしい

そもそも目視で確認ができず、フィジカルディスタンスと言われても、十分な距離をとることができません。また、街中やスーパーの張り紙などが見えません。並ぶ位置や、お店・薬局の張り紙等になにか変わったことなどがありましたら、店員さんに関わらず、ぜひ声で伝えていただけると助かります。

⑥こんなときだからこそ、声をかけていただけると一層あたたかい気持ちになります

以前よりも声をかけてくださる方が減りましたが、このような中でも、気にしてくださる方もおり、嬉しくありがたく思っています。視覚障害者が近くで困っているようであれば、声をかけてください。その際には、横に並んで声をかけていただくと分かりやすいです。誘導していただく時には、手のひらではなく、肘や肩を持たせてください。

⑦はっきり、笑顔・笑声を

マスクの下の声からも、十分に表情や感情が伝わります。いつも以上にはっきりとした声で、お互いに笑顔、笑声で、安心できるコミュニケーションをしましょう。

【聴覚障害者からの7つの提案】

①手話通訳や字幕があれば、みんなと一緒に知ることができる

今回、多くのメディアが会見時の手話通訳を映してくださっていることに感謝しています。画期的な進歩だと感じています。一方で、リアルタイムの情報でない場合には、手話通訳が映らない場合もあります。また、字幕を必要とする聴覚障害者もおります。可能な限りすべての映像に、手話通訳、そして字幕を付けていただけると正確な情報を共有できます。

②「もしも」の場合を一緒に考えてほしい

「もしも」の場合の連絡先に、電話番号の記載のみが目立ちます。聴覚障害者は、「電話リレーサービス」などもありますが、完全に普及しているとは言えません。FAXやメール、LINEなどのSNSでも、ご対応いただけると嬉しいです。また、助成金申請や病院受診の際には、あらかじめ想定される質問事項を文字や図で表示したものを用意していただけると、指をさすだけで意思疎通しやすくなります。

③音声認識アプリを使えば、リアルタイムで伝わる

最近は、音声を自動で文字化してくれる音声認識アプリも増えてきています。日常の会話はもちろんのこと、オンライン会議の時など、音声認識アプリを使えば、聴覚障害者も会議の内容をリアルタイムで知ることができます。ぜひこういった機能も活用してみてください。

④声も筆談も、大きくはっきりと

聴覚障害者といえど、その障害は様々です。マスクをつけるとくぐもった声になりがちですが、難聴や高齢者の方には、大きな声ではっきりと話せば伝わることも多いです。また、聴覚障害者は、筆談でコミュニケーションをお願いすることもあります。ソーシャルディスタンスをはかりながら筆談をする際には、距離があっても見やすいよう、大きな文字で書いてください。

⑤ジェスチャーやボディランゲージも、みんなにとってわかりやすい

手話ができなくても、ジェスチャーやボディランゲージでも十分に伝わるものがあります。また、スーパーなどで、袋や箸などは必要かどうか尋ねるときには、実物を見せていただければすぐに伝わります。視覚的にわかりやすい工夫は誰にとっても便利です。

⑥手話はフィジカルディスタンスが取れるコミュニケーション手段

手話は、大声を出さなくても想いを伝えることができます。また、相手が見えれば、離れていてもコミュニケーションがとれるのでガラス越しでも自由自在に会話ができます。この機会に、手話についても興味をもってもらえたら嬉しいです。

⑦マスクをつけても、アイコンタクトと笑顔を

マスクをしていても、笑顔は目や頬の動きで伝わってきます。アイコンタクトをとるだけで、安心ができます。マスクをしているからと言って、顔の表情はお休みせず、目と目を合わせてお互いにやさしい気持ちを伝えあいましょう。

ふるさと納税などで支援も可能に!

さて、今回の“7つの提案”を発信したダイアローグ・ジャパン・ソサエティは、「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」「ダイアログ・イン・サイレンス」「ダイアログ・ウィズ・タイム」といった、障害者や高齢者にスポットを当てた3つのソーシャルエンターテイメントを提供しています。それらを通して、誰もが対等に対話する社会の実現を目指し、日々活動を行っており、ふるさと納税での支援も可能です。詳細は、一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティのサイトをご覧ください!

 

ダイバーシティ社会ならではの“新しい生活様式”を考えるヒントに

コロナ禍、そしてダイバーシティが叫ばれている昨今、大切なことは、障害のある本人やその家族だけではなく、地域や社会全体で対話しながら解決していく姿勢です。今回ご紹介した視覚・聴覚障害者が持つユニークな視点―この“7つの提案”-をヒントに、皆さんもダイバーシティ社会ならではの“新しい生活様式”の在り方を、今一度考えてみてはいかがでしょうか?

(執筆:青山 大樹)

取材・文: 青山大樹
Reporting and Statement: aoyama

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