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Oct.

2018

interview
28 Feb. 2018

東京ハラルデリ&カフェ@上智大学を訪ねて

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多様性が集まり、食を通して、交流する場

上智大学には、ハラル※¹認証を受けたハラル専門の食堂「東京ハラルデリ&カフェ」があります。厨房・調理器具に至るまですべて完全ハラル対応であり、1日あたり300人以上の利用者がいます。キャンパスに外国人学生数、約1,465人(2,016)、交換留学協定国は約62か国という、多くの国から学生が集まる上智大学には、異文化、多様性を受け入れ、共生するための工夫がありました。
もともと、何故こうした食堂ができたのかと伺うと、「学生にとって”食”とは1日に不可欠なもので、ムスリム※²の学生にとって安心して食べることのできる場所を提供したかった。」とのこと。上智大学には推定約50人のムスリム学生がおり、彼らにとってハラル食堂ができる前は食事ができる場所が限られており、キャンパス内で食事をするのは困難なときもあったそうです。

今では、ハラル食堂はムスリムの学生だけでなく、日本人学生、外国人学生が多く利用する人気の学食です。お昼の12時~13時に食堂を見学させてもらうと、すでに長い行列ができていました。ムスリム学生が2組、そのほかの外国人学生が3割程度、そして多くの日本人学生の姿がありました。ムスリム女学生グループと日本人学生にお話を伺うことができました。そこには意外な、多様性に対する学生たちの思いがありました。

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 利用する学生の姿と彼らの思い

ムスリム学生らは、週に3回はハラル食堂を利用するそう。主にランチが利用目的でした。ハラル食堂は、安心して食事ができる快適なスペースとして欠かせない場所になっているとのこと。今後は、ハラルを使った和食も食べたいと語ってくれました。日本食のほとんどは、調味料にお酒を使ったもので、ムスリムの方にとっては和食を外で食べに行くのはとても困難なのです。「もっと日本で気軽に食事できるようになれば嬉しい。日本食を通して日本文化を体験したい。」

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日本人学生によると、最近ではムスリム学生だけでなく、ムスリム学生の家族連れも食堂でよく見かけるとのこと。普段日本で生活している中でムスリムと会う機会はほとんどないけれども、ここに来れば食事をしている学生たち、家族の様子を頻繁に見ることができ、「信仰する宗教が違うだけで、みんな同じ人間なんだ」と理解できるようになったといいます。また、「今のメニュー以外にも、もっと多くの国の郷土料理を食べてみたい。食を通じて異文化ともっと交流できる機会がほしい。」とも。
ムスリム学生、日本人学生は両者ともに、「自分とは異なる文化をもっと知りたい、交流したい、理解したい。」という思いを持っていたのです。

東京ハラルデリ&カフェの今後の展望

代表のムハマド・シャーミンさんはもともとハラルと和食の融合の研究をずっとされており、今後ハラル食堂は、ムスリム学生にとって、安心して気軽に和食を食べられる場にもしたい、と語ってくれました。

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職員の方の話によると、現在ハラル食堂は、カレーやナンが中心のメニューを提供する、いろんな学生が利用できる、開かれた場所。しかし、普通の学生食堂。今後は大きく2つの展望があると語ります。1つは「TABLE FOR TWO」というプログラムに参加し、学生と一緒にメニューを考えて、途上国の郷土料理をメニューとして提供すること。このプログラムは、対象となる定食や食品をご購入すると、1食につき20円の寄付金が、TABLE FOR TWOを通じて開発途上国の子どもの学校給食となる社会貢献運動です。この運動を通して、さらに多くの文化について食を通して知る機会・交流の場を作りたいとのこと。2つ目はハラル和食の提供。ムスリム学生にも日本の食文化を知る場を提供したいとのこと。これらの目的はいずれも「多文化・多様性に関して、食を通して知る。さらに、互いに交わることで、より面白い出会い、体験を生み出す価値のある場を作りたい。」と語ってくれました。

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 多様性ある人々と出会うことの価値

上智大学のみなさんの取材を通して、一貫して感じたことは「多様性と共生するためにオープンである」こと。多様性を知り、受け入れ、共に一つの場で一つの行為をすることで互いを理解する。そうした考えを、大事にしていました。そして、何より、異なる国の文化を知ることと交流することに対して非常に前向きでした。

私は、取材する前は正直な話、「ムスリムってなに?」「ハラルって?」といった状況でした。私ほど無知でないにしても、まだまだよく知らない人、誤解している人がいるかもしれません。その理由は、聞いたことないから、身近にいないからだと思います。でも実際には、上智大学だけで1,000人以上の外国人留学生がおり、日本はますます外国人が増えてきています。”知らない”、ではなく、”気づいていない”だけで、多くの宗教、文化、考え方を持つ人間が日本で同じ時間を共にしているのです。すべてを受け入れ、理解するのは難しいかもしれません。しかし、多様性を拒絶するのではなく、どうしらた互いにハッピーに共生できるのか。まずは、その異なる多様性に対して、興味を持って、前向きに、”知る”努力をしてみることが、グローバリゼーションの前に必要な個人の持つべき課題なのではないでしょうか。

私はこの上智大学の「東京ハラルデリ&カフェ」への取材を通して、多様性を持つ素晴らしい人々と出会うことができました。ほかにも宗教で、どんな禁止事項があり、何が私たち日本人と異なるのか調べてみたいと思います。また新たな多様性と出会うことに純粋にわくわくしています。

※1:ハラル:イスラム教徒で許されているもの・行為。禁止されているもの=ハラームの反対。

※2:ムスリム:イスラム教の教徒

※3:ハラルフード:イスラム教の信者であるムスリムが食べることの許されている食事・食べ物のこと。基本的には、豚・犬等の動物、また、それ以外の動物の肉であっても正式な手順で屠畜されたものでなければハラーム(禁止されているもの)。さらに酒・アルコールは禁止されている。

取材・文: 有花理
Reporting and Statement: %e6%9c%89%e8%8a%b1%e7%90%86
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