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column
9 Mar. 2018

東日本大震災7年目。今、向き合う多様性課題。

八木まどか
メディアプランナー
八木まどか

7年目を迎える東日本大震災
2011年3月11日に東日本大震災が発生してから、7年が経とうとしています。

自宅の改修・再建、沿岸工事など物理的な復興が進む一方で、人々が震災当時にうけた精神的なダメージからの回復については、まだまだ課題が山積みとの印象を受けます。その課題とは、新しく構築された地域コミュニティの在り方や、東北内外からの継続的な支援に加え、多様性課題に関わるものもあると感じます。
あの震災のとき、誰もが生きること、家族の安否を確かめることに必死な日々を過ごしました。そして、報道やメディアではあまり伝わっていなかった事実として、被災地域では、あらゆる場面で、人々が多様な価値観や生活習慣を持つがゆえの課題が発生していました。
例えば、LGBTの課題です。被災後、避難所として解放された学校などではプライバシーへの配慮がしにくい環境だったために、トイレやお風呂の使用時に困難を感じた方もいました。ゆえに、当時、危険を承知で自宅に留まった方もいると聞きます。
他にも、障害者、親を失ったこどもなど、それぞれに乗り越えるべき課題が存在しており、今もその課題は解決しきれていません。

実際に7年前、大学生として暮らしていた仙台で震災を体験し、LGBTをはじめ様々な課題に関する対話活動のサポートに携わった私が、震災から7年目を迎える東北のリアルをレポートしながら、<震災×多様性>という課題についても触れて行きたいと思います。「東日本大震災7年目。今、向き合う多様性課題」と題し、3回シリーズにてお伝えする予定です。

第1回目は、間もなく迫っているせんだいメディアテークでのイベントを紹介いたします。

宮城県仙台市、仙台駅前の長いアーケードを抜けるとそこには、「せんだいメディアテーク」という市民にとって生涯学習の場となる施設があります。十分な耐震設計をされた上で、壁がガラスで構成された仙台の象徴的な建物ですが、ここも震災で大きな被害に遭いました。
そして、震災による街の変化や取り組みについて情報を集め、整理し、人々に伝えていく重要性を認識したせんだいメディアテークは、震災後すぐに、「3がつ11にちをわすれないためにセンター(通称:わすれン!)」というアーカイブ組織を立ち上げました。そこに、市民や専門家から震災の写真・映像記録を集め続け、集約された記録をそのままにせず、より多くの人々の目に触れ、学びとなるように、この7年間の間、展示会や関連イベントを企画・実施してきました。

7年目の今年実施される、イベント紹介
1)展示イベント
星 
「星と路-資料室-」 
「わすれン!」の参加者による、震災から7年をむかえる今までの記録の一部を展示しています。

開催期間:2018年2月24日(土)~4月22日(日)9:00~22:00
     ※3月22日(木)はお休み
会       場 :せんだいメディアテーク7Fラウンジ
     ※3月7日(水)~11日(日)は1Fオープンスクエアで同時開催
公式 HP :http://recorder311.smt.jp/information/57403/
参加に関して:入場無料、申込不要、直接会場へ


2)対話イベント
てつがく
シネマてつがくカフェ
「『猿とモルターレ』映像記録から”継承”を考える」

被災者ではない立場であるダンサーが表現した舞台作品の記録映像を上映後、「継承」をテーマに哲学カフェ(※1)の形式で対話を行います。

開催期間:3月10日(土) 13: 00-17:45
     ※13:00-15:00の時間で『猿とモルターレ』の映像記録を上映します。
会  場:せんだいメディアテーク 1Fオープンスクエア
公式  HP:http://table.smt.jp/?p=13851
参加に関して:無料、申込不要、直接会場へ

震災という大きな出来事について、どのように伝えていくのかという課題に加えて、多様な事情を抱えた立場の人々が理解し合い手を取り合うことは可能なのか。また或いは、歳月がたっても語れない思いを今後どう解きほぐしていくのかなど、本イベントで興味深い話が聞けるのではないかと考えています。私自身も参加する予定ですが、お近くにお住まいの方などぜひご参加頂ければと思います。

仙台や東北の声を聞き取りお伝えします
さて、本シリーズ記事では、上記イベントレポートの他に、震災をきっかけに改めて可視化された多様性に関わる課題についても仙台や東北の人々の声を聞き取りつつ、今現地で動いている新たな取り組みをみなさまにお伝えしていきたいと考えております。

次回の掲載は、3月16日(金)を予定しています。


※哲学カフェ…1990年代のフランスで始まった。街のカフェで社会的な立場を解除したフラットな関係の中で、あるテーマについてのダイアローグを通して哲学的な問いを考えていく仕組み。

※『猿とモルターレ』…2012年から陸前高田市に移り住んで活動した画家・作家の瀬尾夏美によるテキスト「二重のまち」をもとに、ダンサーの砂連尾理が構成した演劇。大阪府茨木市の高校生たちが演じた。

取材・文: 八木まどか
Reporting and Statement: yagi

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