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Apr.

2024

column
17 Aug. 2023

自分の体型との向き合い方~ボディニュートラルという考え~

石井 萌
ソリューション・プランナー
石井 萌

これまで皆さんは友人や家族に「痩せたね」と言ったことがあるでしょうか。私はその「痩せたね」を褒め言葉として受け取れなかっただけでなく、ますます体重に固執するきっかけになってしまったのですが、私が体重に固執するようになった経験や、その中で出会ったボディニュートラルという体型との向き合い方 についてご紹介します。

 

「痩せたね」も枷になる

25年間 生きてきて、私は今が一番体重の数字に固執していると言っても過言ではないくらい、体重を気にしています。個人的な話ですが、ここ数年で大きく体重減少があり、学生時代の友人に会うと口をそろえて「痩せたね~」と言われることが多いです。その「痩せたね」という言葉を聞くと、「あ、やっぱり痩せていた方がいいのかな」と思うようになってしまい、少しでも太らないように気を付けるようになりました。

また、学生時代は今よりも体重があり、それでも標準体型だったのですが鏡で見るたびに自分のことを醜いと思いネガティブなことばかり周囲に言っていました。親や祖父から「太っている」などの言葉を直接言われた経験も、今現在体重を気にしていることにつながっていると思っています。

「太ったね」という言葉は失礼なうえ、その後拒食症などの問題を引き起こす原因の1つであるため、あまり他人に「太ったね」と言う方は少ないと思います。しかし、「痩せたね」「痩せてるね」という言葉は褒め言葉という共通認識がまだまだあるのではないでしょうか。私もこれまで何度も友人に「痩せてるね」と言ってきましたし、実際に食事制限などでダイエットが成功した方にとっては褒め言葉として受け取られることが多いと思います。

ただ、周りの人の私の身体についての発言は、想像以上に私自身に対して影響力を持っているということをここ数年で実感しました。

 

抜け出せない痩せ信仰

ありのままの身体を前向きに愛そうというボディポジティブという考えが2010年ごろから欧米を中心に広がりました(※1)。結果プラスサイズのモデルの起用など女性の痩せすぎを助長しないように広告などの表現も 変わってきました。ただ、すでに「痩せている=美しい」という美の基準ができあがっていた私にとって、ボディポジティブは言うは易し行うは難しです。

私は女性K-POPアイドルが好きなので、美の基準はK-POPアイドルのような体型になってしまい、痩せることをどうしても意識してしまいます。そのため、どんなに痩せても自分の身体を愛するということはできず、いつも「もう少し太ももが細かったらさらにかわいいのに」というように改善点を探していました。

 

どれだけ痩せてもボディポジティブにはなれない私が行きついたボディニュートラル

そんな中、2021年頃からボディニュートラルというムーブメントが広まりました。ボディポジティブは「常に自分の身体を愛すべき」という部分を強調され、ネガティブな感情は悪であり、どんな状況であろうとポジティブでいないといけないということに囚われてしまうという有害な一面もあることから、ボディニュートラルという考えが生まれました。

ボディニュートラルは、ボディポジティブとは異なり「自分の体形が気に入らないときがあってもいい」と中立的に許容するような考えです(※2)。

ボディニュートラルを実践するためには、3つの心がけが大切だと言われています。
①無理に自分の身体を好きになろうとしたりポジティブであろうとしたりせずに、自分の身体に対する感情を受け入れること。
②自分の身体が心地よいと感じる選択を心がけること。リフレッシュのために運動をしたり、やりたくないときは運動をしない等自分の身体や感情が必要とすることに従って選択をする。
③体型や外見のためではなく、自分の身体の働きを維持したり高めたりするために、ワークアウトやケアを取り入れること。(※3)

ボディニュートラルはボディポジティブと同じように自分の身体と向き合う考え方の一つではありますが、ボディポジティブのように広告などの表現で起用されるというよりも、よりセルフケアに近い考え方です。私は SNSでメンタルヘルスや海外の情報を発信しているアカウントをフォローしており、そこでボディニュートラルの紹介をしている投稿を見て、ボディニュートラルという考え方を知りました。ボディニュートラルという考え方に出会い、必ずしもポジティブでなければいけないという考えから解放され、自分の身体に対して過度に考えることが少なくなりました。

 

周りに自分の考えを伝えることから社会を変えていく

ここまで私の中に痩せ信仰ができてきたこと、それをいびつな美の基準と認識しつつも抜け出せなかったこと、ボディニュートラルという考えに出会って自分の身体への向き合い方がちょっと楽になったということをお話ししました。

時代によって社会で共有されている価値観は変わるとはいえ、簡単にすべてが変わるわけではありません。しかし、自分自身の価値観を変えて行動に移すことはできます。例えば私は、「痩せているね」等、どんな言葉であっても他人の体型について話さないように心がけています。また、「痩せているねと言われることも褒め言葉とは思えず、体重にさらに固執してしまう」等、仲の良い友人に自分の価値観を共有することで、痩せてるね≠褒め言葉という価値観があることを私の周りにいる人から少しずつ広められると考えています。

この記事を読んでくださった方にはぜひ他人の体型について何か発言する際に、一歩踏みとどまってもらいたいです。体型について自分が褒め言葉だと思って言ったことが、必ずしも褒め言葉として受け取られない可能性があることを覚えておいてほしいです。そして、体型について過度に悩んだりしてしまい、生きていくのがしんどいと思うことがない社会を作っていきたいです。

 

参考記事:

※1  広告朝日「ボディポジティブ」:https://adv.asahi.com/marketing/keyword/14486886

※2 IDEAS FOR GOOD「ボディ・ニュートラルとは・意味」:https://ideasforgood.jp/glossary/body-neutral/

※3 FRONTROW「「ボディ・ニュートラル」って知っている?ポジティブを強要しない新たな考え方とは」:
https://front-row.jp/_ct/17483123

取材・文: 石井萌
Reporting and Statement: megumiishii

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