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Jul.

2020

event
21 May. 2014

2014 ソチパラリンピック現地報告

2020年東京開催の参考にソチパラリンピック後半戦の3月13日から閉会式の17日まで現地に行ってきました。

<巨大スケールのグローバル情報発信>

毎大会、NHKでは一日二回のダイジェストを放送していますが、民間放送などではメダルを獲ったときなどの特別なトピックスがある時の放送以外ではパラリンピックを観ることはなかなかできないでしょう。

しかし今回CS放送のスカパー!では、期間中24時間放送でLIVEと録画で全競技を放送しました。世界でも類を見ない画期的なチャレンジです。パラリンピックの魅力を知っていただくには、まずは観てもらうことです。今後の継続にも意欲的で、頼もしいリーダーシップです。

さて、そういう放送の発信中枢、IBC国際放送センターをまず訪問。あらゆるフォーマットで世界中に発信されています。その規模の大きさは巨大ショッピングモールに匹敵するサイズの建物が体現しています。様々なフォーマットですが、統一のグラフィックデザインや放送方針で運営されていることに驚きます。

東京大会でも、このように各種の放送をディレクションし、発信する責任が求められてくるのです。その際には視覚、聴覚、言語など様々なダイバーシティにも対応することが求められるでしょう。ソチを含むこれまでの大会では、そうした統合的な対応はあくまで配信先の運営で行われてきました。

東京大会では、発信側として何ができるのか?是非考えていきたいですね!オリンピック、FIFAワールドカップなどの世界大会ではこうした放送・報道が世界を興奮と平和の喜びに包むのだなと実感しました。

 

プレスセンター

プレスセンター内部

 <バリアだらけの会場>

 続いて各会場へ行ってみました。移動は新設された鉄道とバス。すべて無料で大量輸送を実現しています。しかし残念なことにバリアフリーがもう一歩。鉄道では最新鋭の車両でユニバーサルデザイン(UD)設計も素晴らしいものですが、駅は長大なホームに階段もエレベーターも一か所だけ、しかもエレベーターには車いすは一台しか乗れません。バスはリフト付きの最新型でしたが、故障がち。

到着した会場も、会場への導線、案内表示などバリアフリーとは言い難い状況です。特に山岳部にあるアルペンコースなどは観客席周囲が深い砂利敷きで車いすはもちろん、杖でさえも歩けません。メインのオリンピックパークはさすがにここまでではありませんが、案内表示が少なく、視覚、聴覚のバリアフリーはほとんど対応されていませんでした。

しかし初の取り組みがありました。それは障害者競技、道具の体験コーナーの設置です。チェアスキーや、アイススレッジホッケー、車いすカーリングなどの用具が会場の外に用意されて、気軽に体験できるのです。多くの人は競技用のものはおろか、通常の車いすさえ乗ったことはあまりないでしょう。それらに実際に乗り込んでみると、まるでF1マシンのようで、競技性の高さを改めて感じます。ぜひみなさんに、体験していただきたいと思いました。 

サーキット

カーリング

<バリアを解決するのは?>

 会場ではパンフレットも、アナウンスもありません。行先を大雑把に表示したポールがあるだけ。でもパニックにもならないスムーズな運営がしっかり実行されていました。その解決手段は、ずばり人海戦術。

そこらじゅうにユニフォームを着た案内役がいます。みなさんとてもよく教育されていて、気配りも緻密。片言の英語しか話せませんが、個人的な工夫も凝らしながら、ディズニーランドのキャストばりに盛り上げにも頑張っています。

笑顔とサービス精神がいつも満たされたオリンピックパーク。おそらくこれは2020年でも基本は同じです。ITソリューションやUD技術が凝らされても、最後は人間自身です。

<しかしその先にある課題が浮き彫りに>

 会場やセキュリティゲートでも笑顔の対応が素晴らしく、感動的でさえありました。

しかし、オリンピックパークから離れた旧市街地に電車で行ってみると、笑顔の空気感は次第に薄れ、厳重なセキュリティによる重い雰囲気が増していきました。なかなか英語も通じなくなっていきます。

これは教訓にもなります。いくら会場を夢の街にしても、それだけではダメだということです。東京で開催する場合も観客は足を延ばして観光にでかけて行くでしょう。オリンピック会場周辺で最高のUDやおもてなしを実現したら、同じおもてなしが浅草でも、富士山でも、京都でも、九州の隠れ里温泉でも受けられるべきです。

日本が世界に発信するUD化社会のモデルは、日本中がそのモデルルームでありたいものです。

やはり現地を視察することはいろいろ見えるものですし、ほかの視点で見るとまた違う教訓があるでしょう。東京大会にどんなテーマを据えるか考えなければいけません。そしてそれを世界に発表するのは、2016年リオデジャネイロ大会の場なのです。

閉会式では次回開催地のプレゼンテーションが必ずあります。そこでしっかりと提示できなければ、恥ずかしいことになってしまいます。提示する中には復興の報告と感謝も当然含まれます。提示したものを実現レベルにみがくにも4年はとても短い時間です。

さあ、がんばろう日本。

取材・文: cococolor編集部
Reporting and Statement: cococolor

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