「LGBTフレンドリー」積極発信がインバウンド成功の鍵:IGLTA–東京レインボープライド2016-
- 共同執筆
- ココカラー編集部
IGLTA(International Gay & Lesbian Travel Association)は、1983年にアメリカで設立された、LGBTツーリズムに特化した国際組織です。 現在は世界80カ国の旅行関係企業や自治体が加盟し、LGBTフレンドリーなツアーの推進に大きく貢献している同団体。日本では現在、23の企業が加盟し、ブースではホテルや温泉旅館、カナダ・オンタリオ州観光局など多くの団体がツアーの魅力をアピールしていました。LGBTツーリズムはインバウンドの鍵とも語る、IGLTAのアンバサダーである、Out Asia Travelの小泉伸太郎さんにお話を伺いました。
日本はもっと「LGBTフレンドリー」の発信を
編集部:
今年も多くの加盟団体がブース出展されていますね。IGLTAは国際的組織ですが、アンバサダーにはいつ就任されましたか?
小泉さん:
Out Asia Travelは5年前にIGLTAに入会しました。その後、IGLTA内でも私の存在が認識され、2014年よりアジアアンバサダーに就任しました。その背景として、私は長いこと旅行業界で働いてきましたが、日本にはせっかく魅力的な観光地やサービスがあるのに、LGBTの人たちには、人気のデスティネーション(目的地)として、認識されていなかったという事実があります。
編集部:
海外の方には、日本はLGBTフレンドリーではないと思われているのでしょうか?
小泉さん:
それ以前の問題として、LGBTフレンドリーであるという情報が出ていないことが問題なのだと思います。例えばスペインやメキシコでは、市や国を挙げてLGBTフレンドリーであることを打ち出しています。メキシコのプエルト・バラータでは、ゲイだけのバケーション、「ゲイバケーション」が開催されていますし、こういった情報は世界的にも広く知られています。
編集部:
確かに、日本にはそういった企画はほとんどないですし、LGBTフレンドリーであることを発信すること自体、まだあまり進んでいませんね。
小泉さん:
一方で、日本にはLGBTの人たちが関心を持つ、いいところがたくさんあります。京都のような風情のあるまち、温泉、ビーチ…。実はゲイバーもとても多くて、新宿二丁目だけでも300以上もあるんです。
(IGLTAのホームページからは、各国の加盟団体が検索できる)
編集部:
確かに、ゲイバーの多さといった情報は、海外の方にまで届いていないかもしれませんね。
小泉さん:
日本には「おもてなし」が発達していますから、実際には、いい対応をしてくださるところもたくさんあるのですが、LGBTの旅行者としては、もっと「LGBTフレンドリーであること」「ウェルカムであること」を積極的に示してくれることを求めています。けれど、「そういうことをアピールすると、抵抗を感じるお客様がこなくなってしまったら困る」という心配を持つ事業者の方もいらっしゃいました。
編集部:
今でも、そういった抵抗は大きいと感じますか?
小泉さん:
今は国内でも、同性婚ウェディングを発表したホテルグランヴィア京都さんのような成功事例も生まれていますし、「ダイバーシティを打ち出すことが、企業イメージにとってもプラスです」とお伝えすると、前向きな反応を示す企業も増えてきています。
IGLTA加盟企業は毎年、倍ペースで増加
編集部:
それは、加盟企業の伸びにも反映していますか?
小泉さん:
今年は大和リゾートさんがグループとして参画してくださり、28のホテル・宿泊施設の加盟となりました。毎年、加盟団体は倍ペースで増えています。
編集部:
LGBTフレンドリーであることを打ち出すためには、従業員教育なども必要になりそうですね。IGLTAに加盟にあたり、そういった条件は設けているのですか?
小泉さん:
先ずは、導入したいという団体の方のお考えをしっかりお伺いすること大切にしています。単に商機として捉えるだけではなく、LGBTについてご理解する気持ちがあった上でのことかを、確認するためです。その上でご加盟なさるということであれば、前提としてLGBTについてのセミナーをお受けいただくよう、お勧めしています。
編集部:
LGBTフレンドリーなホテル・旅館とそうでないところでは、接客やおもてなしに、どのような違いがでると思いますか?
小泉さん:
LGBTお客様に対して普通の施設・サービスが提供出来る事が違ってくると思います。 例えば、男性同士・女性同士でダブルベッドのお部屋を予約していても、「ツインでなくて良いですか?」と聞き返さなかったり、トランスジェンダーの方のためにジェンダーフリーのお手洗いが用意してあったりという事ですね。
LGBT受け入れが当たり前にできる旅行先、日本へ
編集部:
日本の観光地が「LGBTフレンドリー」であることが当たり前になることへの手応えはいかがでしょう?
小泉さん:
ありますし、今後きっと広がっていくと思っています。20年ほど前の日本では、海外、特にアジア系の観光客に慣れていない旅行事業者も多く、そういう方々が宿泊されることに戸惑いを感じる方も多くいらっしゃいました。けれども今は、インバウンドはウェルカム。アジア圏から観光客が訪れることが、当たり前のこととして歓迎されています。LGBTの受け入れも、そういう風に、変化していくと思うのです。ホテルから商工会議所、そこからさらに自治体へと、「点」から「面」への広がりに期待しています。
編集部:
LGBTフレンドリーであることの発信は、企業にとっても、自治体にとってもチャンスでもあると言えそうですね。
小泉さん:
確かに今はまだ、積極的に打ち出している企業は少ないですが、視点を変えれば、だからこそ、今取り組めば、注目もされるし、その分高い発信力を持つことができると言えます。是非、視点を変えてみていただきたいですね。
編集部: どうもありがとうございました。
参考:
IGLTA (International Gay & Lesbian Travel Association)
Out Asia Travel
世界が注目。日本三大秘湯からのLGBTフレンドリー発信:ホテル祖谷温泉–東京レインボープライド2016-
LGBTを応援する気持ちを形に!A-License(アライセンス)をゲットしよう -東京レインボープライド2016-
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