金融業界全体にLGBT支援の大きなうねりを :LGBT Finance–東京レインボープライド2016-
- 共同執筆
- ココカラー編集部
LGBTの支援に取り組む金融関連企業による任意団体、LGBTファイナンス。外資系企業を中心とする複数の金融関連企業のLGBT当事者ネットワークによって設立されたこの団体は、LGBTの社員の個性を尊重し、支援する職場環境をつくりだすことや、LGBTコミュニティを取り巻く課題に対する意識向上を目指して活動を展開しています。今年の東京レインボープライドには13社が集まり、ブース出展やパレード参加を通じて、大きな存在感を発揮しました。業界をあげて取り組む、その意義とは?LGBTファイナンスのメンバーで、野村證券株式会社人事開発部兼ダイバーシティ&インクルージョン推進室の北村裕介さんに伺いました。
始まりは、当事者ネットワークのつながりから
編集部:
こんにちは。今年のレインボーパレードには、LGBTファイナンスとして、そして協賛する個別企業からの大勢のみなさんが参加し、存在感を発揮していらっしゃいましたね。
北村さん:
はい。LGBT支援に取り組む金融関連企業が互いにつながることで、メッセージを大きくアピールしていこうという狙いがあります。
(LGBTファイナンスに参加する多くの企業がパレードにも参加した)
編集部:
金融関連企業がLGBT支援に対して率先して意欲的なメッセージを発していることを、意外に感じる方も少なくないのではないでしょうか?
北村さん:
LGBTファイナンスは当事者コミュニティのある外資系金融機関が中心となって設立されたので、本社のLGBT支援の活動があったことから、日本でも早い時期から意欲的に活動できたという背景もありますね。
編集部:
北村さんの所属する野村證券は、日系金融機関としては唯一の参加ですね。
北村さん:
はい。ブースを通りかかった方からは「え、野村が?!」と驚きの反応もありました。
(野村証券の社員は、赤いはっぴ姿でパレードに参加)
日系金融機関への広がりにより、新たなステージへ
編集部:
野村証券は何故、LGBTファイナンスに参加されたのですか?
北村さん:
きっかけは、2008年にリーマン・ブラザーズの欧州とアジアのビジネスを承継したことです。リーマンには、LGBTを含め広い意味でダイバーシティ&インクルージョンを推進する社風があり、野村としてもその精神を引き継いでいこうと考えました。当初は当事者の外国人社員がメインにLGBTの活動を推進していましたが、次第に、アライ(LGBTを理解し、支援しようとする人)も関わる活動へと発展していきました。
編集部:
具体的には、どのようなことに取り組まれたのですか。
北村さん:
ダイバーシティ&インクルージョンに関する基本方針となる倫理規程の「人権の尊重」を見直し、性的指向および性同一性を明記しました。また、ダイバーシティ推進を草の根で取り組むことを目指して、女性キャリア(ウーマン・イン・ノムラ)、育児・介護・健康(ライフ&ファミリー)、多文化・LGBTA・障がい(マルチカルチャー・バリュー)をテーマに社員がボランティアで活動する三つの社員ネットワークをつくり、マルチカルチャー・バリューネットワークでLGBTアライを増やす活動をしています。
編集部:
「アライ」になることを勧めるメッセージを、強く打ち出していらっしゃいますね。
北村さん:
日本ではまだLGBTに対する偏見が残っており、だからこそ、理解者であり支援者であるアライを職場に増やすことが大事だと考えています。この会場でも、社員ネットワークが作成している「アライになろう!」パンフレットを配布しましたが、反響も大きく、すべて配布し尽くしてしまいました。さらに社内でも、東京レインボーウィークに合わせて、本社の社員食堂にパンフレットや虹色のアライのステッカー、LGBTに関する情報を提供するポスターを置いて啓発をしています。
編集部:
社内外の反響はいかがでしょうか?
編集部:
本社を中心に少しずつですが浸透が進んでいると感じています。昨年末には、野村ホールディングス会長の古賀から「アライ宣言」メッセージをもらいました。また、ここ1-2年では、新卒採用面接担当者への教育や、社員の同性パートナーが利用できる福利厚生制度の整備も始めました。こういった取り組みが社外からも注目され、取材を受ける機会も増えました。
編集部:
改めて、LGBTファイナンスとしての今後の展望をお聞かせください。
北村さん:
LGBT支援が社会に浸透するためには、各企業での活動が広がることが大切です。日系の金融関連企業へこのLGBTファイナンスのネットワークの輪を広げ、活動の可視化や情報発信を通じて、これからも活動を広げていきたいです。
編集部:
今後のネットワークの広がりに期待しています。どうもありがとうございました。
(インタビューに協力くださった野村證券の北村さん(前列右から2番目)とネットワークのメンバー)
参考:
野村グループ ダイバーシティ&インクルージョン
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