-CHANGE 未来は変えられる- 東京レインボープライド2017レポートvol.1
- 共同執筆
- ココカラー編集部
今年も盛大な盛り上がりをみせた東京レインボープライド(TRP)。主催者の発表によると、代々木公園イベント広場で開催されたメインイベントには2日間でのべ10万人が来場。125の企業が参加し、5千人がパレードに参加するなど、いずれも過去最高を記録しました。
パレード後に野外ステージで開催された中島美嘉さんのスペシャルライブも、超満員と大盛況でした。
改めて、未来を変えていこう
東京レインボープライド2017のメッセージは「CHANGE – 未来は変えられる-」。「変わらないと思っていたことが、声をあげることで、少しずつ変わってきました。イベントを通じて知ってもらうこと、日々の生活の中で声を上げやすくなること、両方が大事。LGBTのことだけではなく、いろいろな人たちが暮らしやすい社会をつくることにつながればと思っています」と東京レインボープライド共同代表理事の杉山文野さん。同じく共同代表の山縣真矢さんは、「いろいろな取り組みが進んできたけれど、また改めて、未来を変えていこうというメッセージを発していきたい」と語ってくださいました。
今年ブース出展が2年目となる株式会社ストライプインターナショナル(以下ストライプ)は、カラフルで個性的なアイスバーを販売。「earth music&ecology」などのアパレルからライフスタイルを彩る商品を扱う同社ならではの、カラフルでファッショナブルな発信です。人事本部ダイバーシティ推進室の二宮朋子さんは「昨年は社内への浸透を目指して、取り組みをはじめました。今年は創業の地・岡山にレインボーアクションを届けたい気持ちから岡山をテーマに発信しています。ブースに訪れた岡山出身の方から、地元にはまだこういったイベントがないので、岡山での展開を楽しみにしているという声もいただきました。これから、できることを具体的に考えていきたいと思っています」。
JT(日本たばこ産業株式会社)(以下JT)は、会場内にスモーキングラウンジを設置するとともに、ブース内では、“THINK LGBT”をコンセプトに社内の取り組みを紹介するパネルの展示やハンドブックの配布等、LGBTに対する理解を高める活動を行いました。ハンドブックにはLGBTに関するインフォグラフィックスや、”Learn!(LGBTについて学ぶ)”、”Imagine!(当事者の気持ちを想像する)”、 “Listen!(当事者の声に耳を傾ける)”、”Talk!(カミングアウトできない当事者のニーズを代弁する)”、”Protect!(差別的な言動から守る)”等のアクションを掲載しており、社内においてもセミナー等で配布し、LGBTについて知ってもらうきっかけを提供しています。同社の社員の皆さんからは「『自然・社会・人間の多様性に価値を認める』というグループミッションのもと、社員がお互いの多様性を尊重しあい、多様な人財が活躍できる風土を目指し、引き続き、多様化(ダイバーシティ)の推進に積極的に取り組んでいきます」というメッセージをいただきました。
ヤフー株式会社(以下、ヤフー)は、今年初のブース出展です。レインボーの幕を背景に、「けんさくとえんじん」というキャラクターと写真撮影の場を提供。気軽にシェアしてもらうことが多くの人に届くきっかけになればと考えています。人財戦略室の吉成彩さんは「ヤフーのミッションは、情報技術で人々や社会の課題を解決すること。人々の多様性は欠かせない要素です。LGBTについては1年半前から当事者、アライと人事で構成された有志プロジェクトを発足し、社内勉強会開催や、同業界のコミュニティとのネットワーキングなどの活動を行ってきました。今後は社内へのさらなる理解促進を図るとともに、社外に対しても情報発信をしていきたいです」とコメントくださいました。
総合ディスカウントストアの株式会社ドン・キホーテも、今年初出展。レインボーのマスクやハット、バンダナなど、他店では手にはいらないオリジナルのレインボーグッズを先行販売するなど、さまざまなグッズを用意しました。5月12日オープンのMEGAドン・キホーテ渋谷本店でレインボーグッズを取り扱うこととなり、今後の勉強という意味も含めて、小売店ならではの貢献をしたいと出展を決めたそうです(同店にはALL GENDERトイレを設置しています)。
同じく今年初出展のクラウド型会計ソフトfreee(フリー)株式会社は、多様性を重視する社風もあり、会社としてもアライであることを表明しています。ブースでは社員による働き方相談、税理士による税務相談などを提供しました。採用マネージャーの吉村美音さんによると、1年ほど前に作成したfreeeオリジナルのレインボーステッカーをパソコンに貼っている社員が多くいることが、面接に訪れた人たちが「この会社はアライの人たちがいる」と感じとるメッセージにもなっているそうです。ブースを訪れた人からは「freeeがアライであることを初めて知り、嬉しくなった」といったメッセージが寄せられていました。
株式会社丸井グループは、“年齢・性別・身体的特徴を超えた「すべてのお客さま」がインクルードされ「しあわせ」を感じるインクルーシブで豊かな社会”をテーマに取り組んでいます。19.5〜27.0cmのパンプス、22.5〜30.0cmのビジネスシューズなど、幅広いサイズをとり揃えたブースを用意しました。「すべての方に豊かなスタイル」という観点から、ユニバーサルデザインなどにも取り組んでいる同社。サステナビリティ部の高橋瑠奈さんは「私たちはLGBTを含めた“すべての方”にご利用いただける施設・商品・サービスを目指しています。ブースにお越し下さった皆様に“自分に合うサイズが用意されていることが嬉しい””普通に接客してくれてありがとう”といったお声をいただきました」とコメントくださいました。
伊勢丹新宿店は、「ISETAN Kaleidoscope」ブースを設置。レインボーカラーの6色になぞらえて、6人のクリエータによる作品展示とライブクリエーションを展開。白を貴重とした清らかなイメージのブースは色彩を際立たせ、まるで万華鏡を覗き込むような体験を味わえます。百貨店事業本部宣伝部の樋村桃子さんは「ダイバーシティは三越伊勢丹が大切にしている価値観で、私たちは、すべてのお客様に平等でありたいと考えています。LGBTであるかどうかに関わらず、感性やクリエイティビティに惹かれた人たちが、アーティストと直接交流すること楽しんでいただけたらと思います」と話してくださいました。
日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、IBM)、今年から全世界で正式に認められたというレインボーカラーのロゴを披露。注目を集めました。ブースでは、IBM Watson(ワトソン)というAI(人工知能)を使った、デモ・プログラムを展示しました。ワトソンの投げかけるいくつかの質問に答えると、その人に向いている職業を診断してもらえるという仕組みで、ブースには大勢の人たちが列をなしていました。ソフトウェア事業本部の川田篤さんによると、今年の展示のポイントは「IBMらしさ・ダイバーシティを伝えること」。AIの普及がダイバーシティ社会に及ぼす影響にも注目です。
Oriiji(オリイジン)は、LGBTと、人それぞれのココロ(心・こころ)にフィーチャーし、株式会社ダイヤモンド社が2017年3月に刊行した新雑誌です。3月に全国で発売したものの、販売の大半は首都圏であり、LGBTに関する理解や意識は地域によって差が大きいそうです。会場にも「地方には情報がない」「地方の最新情報を知りたい」といった声が多く寄せられているとのこと。今後、全国の自治体や企業で取り組みが進むことで、この状況がどのように変わっていくかに注目です。
この他、株式会社ミクシィによるハチ公像をレインボーカラーに彩ったモニュメントや、企業のLGBTへの取り組みを紹介するパネルなど、企業からの発信が目を引きました。
Vol.2では、企業以外の団体の出展の様子をレポートします。
参考:
・「ありのままの、自分を生きよう」東京レインボーウィーク2014
・多様な性や生き方を出会おう –東京レインボープライド
・LGBTを応援する気持ちを形に!A-License(アライセンス)をゲットしよう-東京レインボープライド2016–
・「自分が、自分のアライになる」-東京レインボープライド2017-
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