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Sep.

2021

interview
24 Aug. 2021

子どもの安心と安全を第一に考えた社会を作るために、正しく伝える ~「チャイルドファーストproject」取材を通じて~

中島志織
ライター
中島志織

 

私には1歳の娘がいます。正直、自分が子育てをするまでは、かわいいはずの子どもに対して手を上げるのはどうしてなのだろう?と思っていましたが、自分が親になって、その気持ちがわかる瞬間があります。そうやって親として色々感じるなかで先日こんな動画に出会いました。この動画の最後に魔法のステッキを持った少女オレンジちゃんが、ある人たちに魔法をかけます。そのある人たちは誰?ということから本記事をスタートしたいと思います。

 今回、小児科医の目線を持ちながら、保護者も含む社会1人1人の意識を変えることで虐待を減らそうと取り組まれている「チャイルドファーストproject」の小橋孝介先生に、cococolor編集部の中島と海東でお話を伺いましたので、2回に分けて、取材内容をご紹介させていただきます。

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子どもたちが育つ環境や社会、子どもとどう向き合うかの文化も変えたい!

(中島)まず、「チャイルドファーストproject」の立ち上げの経緯を教えてください。

(小橋先生)医師の初期研修中に児童虐待による死亡事例を経験し、その後も、小児科医として勤務する過程で、多くの虐待で傷ついた子ども達を見てきました。何度も、同じようなことが繰り返されているんです。その中で、感じたのが医療現場で関わるだけでは虐待は無くせないということ。その前段階の、子どもたちが育つ環境や社会、子どもとどう向き合うかの文化、まで変えていかないといけないと思ったからです。

(中島)「チャイルドファーストproject」のコンセプトを教えてください。

(小橋先生)このprojectは、基本的な考え方を共有できるprojectでありたいと思っています。そのコンセプトは、チャイルドファースト、つまり「子どもの安心と安全を第一に考えた社会」ということです。

 

変えるために正しく伝えたい!

(中島)「チャイルドファーストproject」のこれまでの活動内容を教えてください。

(小橋先生)ひとつ大きなものとしては、こちらの動画です。虐待を無くしていくには、保護者だけでなく、社会の1人1人に伝えないといけない。(※理由は後編で!)でも、私たち専門家の声は、届きにくいのが現状です。だからこそ、そこはコミュニケーションの専門家にお願いすることで、社会の1人1人に届くようにしたいと思い、この動画を作成しました。

このprojectはあくまで基本的な考えを共有するものなので、各々がそれぞれの活動を行いながら、情報交換等を行い、繋がっているかたちです。

私は、最近「ノーヒットゾーン」というプロジェクトを行っています。これは、あらゆる関係性における暴力・体罰防止の取組みですが、この中で、「手や大声を上げずに、どうやってしつけをしていったらいいのか」というのを、専門家の視点で、専門家に伝えていくものです。

ある病院内の医療関係者への調査で、院内で保護者が子どもに手を挙げている場面を見かけても7割が何もできなかった。と回答しています。医療関係者が、手を上げずにどうやって子どもに接したらいいかを知っていれば、その場で、保護者に「こうしたらいいですよ」が伝えられると思うんです。

つまり、「虐待や体罰だめ!」ではなくて、「こうしたらいいですよ」を医療関係者から伝えていけたらと思っています。

(中島)私も、子どもの歯磨きがうまくできなくて、怒ってしまいそうになることがあります。

(小橋先生)こうやったらうまく歯磨きできますよ。というのを、「個々の専門家が今悩んでいる保護者に直接伝えていく。」という観点と、「社会全体が子どもにやさしい社会になっていく。」という観点が必要だと思います。専門家も含めた社会に対して「チャイルドファース」をしっかり伝えていくこと。が大事なのかなと思います。

(中島)行政等の活動はどうとらえられていますか?

(小橋先生)最近は、行政等も予防や支援にシフトしていると思います。厚生労働省が、地方自治体に「子ども家庭総合支援拠点」という、子育て支援のハブになる拠点を設置するように指示して、設置が進んでいます。子育てに関して何か困ったことがあった時、なんでも相談できるのがこの拠点で、虐待になる前に適切な支援やサポートができるようにするための仕組みです。ただ、これもアクセスできる窓口があるのに、それがしっかりと伝わっていないというのが問題かと思います。

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後半では、どうしたら子どもにやさしい社会を作っていけるのかを中心にお話を伺っていきます!

取材・文: 中島志織
Reporting and Statement: shiorinakajima

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