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Dec.

2024

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11 Dec. 2020

最新!日本のフェムテック市場動向

飯沼 瑶子
副編集長 / プランナー
飯沼 瑶子

ここ最近「フェムテック」という言葉を聞くことがますます増えたように思う。
私の周りでも、月経カップや吸水ショーツの利用者の声を聞くようになったが、実際のところ、この市場はどうなっているのか?

日本・アジアのフェムテック活性化に向けた活動を行い、先日最新のフェムテックマーケットマップをリリースしたfermata株式会社のあかねさんにお話を伺った。

拡大するフェムテック市場
fermataでは昨年9月から海外のフェムテックマーケットマップを作成・更新。今年4月からは国内のフェムテックマーケットマップも作成しており、4月時点で51だったサービスの数は、なんと最新版の10月時点で97サービスにまで増加し、半年で2倍近い成長を遂げている。
ちなみに、海外版のマーケットマップにおいても、20年4月調査の318社から10月調査では35か国484社(166社増)といった伸長が見られ、フェムテック市場への投資額は2025年には北米だけで500億ドル(5.2兆円)にも達するとされるほど、世界的にも拡大が注目されている市場だ。

(参照)フェムテックマーケットマップ

日本国内においては月経カテゴリの伸長が顕著。生理日管理アプリやサプリメントに加えて、吸水ショーツのブランドが直近1年で1→6ブランドにまで増加した。

包括的なヘルスケアをサポートするウェルネスカテゴリにおいても、オンラインの薬局や各種相談窓口、検査サービスなどが台頭。
(参照)フェムテックマーケットマップ

半年間の内にそれぞれ12サービスが、月経およびウェルネスのカテゴリに加わった。

また、平均初産年齢の高齢化に伴い需要が高まる不妊・妊よう性カテゴリや、今回調査で初めて該当するサービスが0→3つに増えた更年期カテゴリも今後が注目される領域だ。

すでに広がりを見せている地域においても、はじめは生理・避妊・妊娠などのカテゴリから徐々に市場が広がっていった経緯があり、今後の国内動向の参考になる部分がありそうだ。

(参照)fermata資料:海外におけるフェムテック市場変遷

直近半年だけでも続々と新しいサービスが右肩上がりの市場ではあるが、今後国内でさらに拡大していく上では、まだまだ障壁が多くあるという。

なんと法令で決められていた、生理用品は白色
例えば、月経カテゴリで伸長している吸水ショーツだが、どこで売っているのかという疑問を持たれる方や、実物は見たことが無いという方もいらっしゃるかもしれない。ナプキンやタンポンといった生理用品と同じように、スーパーやドラッグストアの店頭に並んでいないのには、実は理由がある。

(左)EVE月経カップ、(右)EVEオーガニック生理用ショーツ

生理用ナプキンは、薬機法で医薬部外品に指定されており、法令に基づいて使用材料や製品の規格が定められている商品のため、吸水量や肌にあたる面の色は白といったことまで、所定の基準を満たしていなければ「生理用品」としての販売はもちろん、表示もできないのだ。

そのため、“生理ショーツ”や“月経パンツ”という呼称を正式には使うことができず、オンラインを中心とする限られた店舗での販売となっていることもあってか、現在も日本では紙ナプキンユーザーが全体の約9割にも及ぶといわれており、生理用品の新しい選択肢として、存在感を増しつつあるとはいえ吸水ショーツや月経カップはまだまだ一般的な候補にはなっていない。通常のショーツに比べて高額なこともあり、私自身も身近な使用例を聞いてはじめて、これらの商品を試そうと思ったように、口コミや実物を確認できるリアルな店舗といった地道な草の根の活動が普及に向けて求められているようだ。
「せっかくいいものがあっても、それがどんな効果を持つのか、具体的に広く伝えられない状況はもどかしい」とあかねさんは語る。

実際に使ってみると想像以上の吸水力に安心感もあり、洗濯して繰り返し使えるという点でも非常に便利な吸水ショーツは、生理の日に限らず、経産婦や更年期の女性に多い尿漏れの悩みにも寄り添える存在。
一足飛びの解決は難しい問題だが、大手のアパレルメーカーが吸水ショーツの販売を検討しているという情報もあり、fermataとしてもより一層の普及に向け、10月に発足したフェムテック新興議員連盟とともに協議を重ねているとのことで、今後の動きにも期待だ。

「フェムテック」が特別な存在から、ヘルスケアの中に当たり前にあるものになるまで
生理というと、紙ナプキンとタンポンだった選択肢、そして生理痛の時にはおなかを温めるか鎮痛剤を飲むくらいだった対策、他の選択肢や方法を知らなかった時には、当たり前だと思っていた多くのことは、新しい技術や常識によって次々アップデートされていく。

薬や低用量ピルの飲み忘れ防止デバイス「Popit Sense(ポピットセンス)

海外には生理休暇の制度はなく、生理に伴う体調不良は病気休暇として捉えられ、生理痛に対しても、低用量ピルやIUD(子宮内避妊用具)といったソリューションが浸透しており、医療によって対策を講じられるものとされているという。

「フェムテック」という言葉も、切り口として非常にわかりやすい一方、先行している国ではヘルスケアの一環にある当たり前の存在として、ことさらに「フェムテック」と言わない傾向もあるというが、国内でこのフェーズに至るにはまだもう少し時間がかかりそうだ。

まずは、ファッション誌でセクシャルウェルネスの製品やサービスが紹介されたり、大手百貨店に女性の性と健康に特化したフロアができたり、緊急避妊薬の薬局販売が検討されたり、これまで人前で話すことが躊躇されていた事柄が社会的に話題に上がるようになった変化を歓迎したい。
その延長線上に、女性や男性とことさらに区別せずとも、人々がそれぞれの身体や暮らしを理解し、尊重しあえる世の中があるはずだ。


#Femtech(フェムテック)マーケットマップ(2020年秋冬)
・国内版 https://note.com/hellofermata/n/n67de6061b478
・海外版 https://note.com/hellofermata/n/n26122063181a

#fermata株式会社
https://hellofermata.com/
「あなたのタブーがワクワクに変わる日まで」をビジョンに掲げ、未だタブー視される傾向にある「女性のウェルネス」課題を解決・支援する事業を行っている。女性の体の悩みや課題を共有するプラットフォームの創出、ウェルネス課題の解決に繋がる世界中のプロダクトの提供を通して、日本、そして世界のFemtech産業を加速させ、女性だけでなく皆が生きやすい世界を目指す。

取材・文: 飯沼瑶子
Reporting and Statement: nummy

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