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19 Apr. 2022

マイクロアグレッションを学び、気持ちの良いコミュニケーションを。

マイクロアグレッションとアンコンシャスバイアスとは

大学の講義をきっかけにダイバーシティー&インクルージョンに興味を持ち、学生ライターとして参加をさせて頂いている西川慶子です。今回私たちの身近に潜んでいる「マイクロアグレッション」と「アンコンシャスバイアス」について記事を執筆いたします。

みなさんは、「マイクロアグレッション」と「アンコンシャスバイアス」 をご存じでしょうか。

アンコンシャスバイアスについての過去記事はこちら

私はこの記事の執筆に至るまで、マイクロアグレッションとアンコンシャスバイアスの詳しい関係を理解できていませんでした。そんな私が何故この記事を執筆することになったのかというと、2020年にアメリカで起きたBLM(Black Lives Matter)の問題に深いショックを受け、「差別として表面化するまでの過程」に関心を持ったからです。

マイクロアグレッションとは、一般的には「小さな攻撃」と直訳され、アンコンシャスバイアスが言葉や行動として表面化したものを指します。見た目や職業、肩書きなどで判断し、意図せず相手を傷つけてしまう可能性があるもので、日常に潜んでいます。日々の何気ない会話の中で、発した言葉やとった行動が、受け手によっては侮辱や見下されている、否定されていると感じることがマイクロアグレッションであると考えます。

 

マイクロアグレッションとアンコンシャスバイアスは似ているところもありますが、一番の違いとしては「思い込みが表面化しているか否か」です。アンコンシャスバイアスは、今までの経験や環境から「女性=家庭に入る/男性=働く」など、無意識に『思い込み』をしていることを指します。この思い込みが言動として表面に出て、意図せず人を傷つけてしまうことが、マイクロアグレッションとなります。

上記のように言葉の意味を考えると、これらは一見『悪』に見えます。しかし、アンコンシャスバイアス は元を辿れば、脳による防衛本能からきているものとも言われています。また、マイクロアグレッションも、相手への思いやりやポジティブワードが原因となる場合もあります。「相手を傷つけよう」と意図せず発した言葉や行動が、結果的に誰かに嫌な思いをさせてしまうケースがあることが特徴です。

十人十色という言葉があるように、それぞれの価値観が異なることは当然のことです。そのため、アンコンシャスバイアスとマイクロアグレッション自体は「悪」ではなく、自分の価値観を異なる価値観を持つ相手に、「押し付けること」が相手を傷つける要因のひとつなのかもしれません。

 

私はかつて、「差別は遠い国での出来事で自分には関係ない」ことだと思っていました。しかし、身近なところでも、日常的に無意識下での差別は起きているかもしれません。そこで、どんな言葉や行動がマイクロアグレッションになるのかを学ぶことで、日常から少しずつ気をつけることができるのではないでしょうか。

 

日常に潜むマイクロアグレッションとは?

「日本語が上手ですね、いつから日本にいるのですか?」と質問する/英語で話しかける/英語が流暢だと思い込む

実際にコミュニケーションの一環でこの言葉は使われています。

私は20カ国以上に友人がおり様々な方と話をする機会がありますが、この記事を執筆するまでは、見た目で「日本語より英語で話しかけた方が通じやすいだろう」と判断し、英語で話しかけてしまう場面が多くありました。

一見、相手を思いやってとる行動と受け取る方も多くいると思います。もちろん、日本語が話せない人もいますし、彼らにとっては英語でのコミュニケーションの方が有難いケースも多々あります。一方で、日本語を流暢に話せたり、アイデンティティは日本人で見た目が外国籍の方にとっては、見た目で「日本語より英語で話しかけた方が通じやすいだろう」と判断をしていることが「アンコンシャスバイアス」、実際に英語で話しかけるというアクションに起こしていることが「マイクロアグレッション」と受け取られてしまう可能性もあります。

そのほかにも見た目だけで日本に住んでいない/英語が流暢と『思い込む』ことがアンコンシャスバイアス、『表面化した言動』になることが、時にマイクロアグレッションと化してしまいます。

 

コミュニケーションを取るうえで、私たちが心がけるべきこと

日常の中で心がけられることとして以下の2つがあるのではないでしょうか。

・主語を小さくする

・自分の価値観を相手に押し付けない

 

【主語を小さくし、一個人として対話を心がける】

「外国籍の方=全員日本語が話せない」のように、主語を大きくし、一括りにすることは上記のようなマイクロアグレッションを引き起こす要因になりかねません。

他にも「外国籍の方は、箸が使えない」「日本人は、消極的である」など聞くことがあると思います。このように主語を大きくすることで、外国籍の方全員/日本人全員がその後の動詞や形容詞の部分に相当するように聞こえてしまいます。日本でも様々な性格の人や、価値観を持った人がいるように、全員に当てはまる特徴は少ないのではないでしょうか。主語を小さくし、出身地や人種でラベリングをせずに対話している相手と一個人として向き合い、コミュニケーションを取ることで、意図せず相手を傷つけるということが少なくなります。

また、ビジネス上においても、「女性はピンクが好きである」「お年寄りは生活リズムが早い」など、勝手なイメージから特定の価値観を押し付けるのではなく、事実に基づき考えていくことが必要なのかもしれません。

 

【自分の価値観を相手に押し付けない】

同じ考えや価値観を持っている人もいますが、同じ国の人同士でも価値観は異なると感じたことがある人もいるのではないでしょうか。そのため、自分の知識や経験だけで「A=B」と決めつけず、相手の立場に立ち、考え方に耳を傾けながらコミュニケーションをすることが必要なのかもしれません。

誰にでも、悪意がなくても人を傷つけてしまう可能性はあります。無意識に相手を傷つけないためにも、自分とは異なる人のことを肩書や出身地、見た目などで判断するのではなく、目の前の人一個人としてと向き合い対話をすること、自分自身で調べること、そして当たり前を疑った上で、思い込みをせず会話をしていくことが大切ではないでしょうか。

取材・文: cococolor編集部
Reporting and Statement: cococolor

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