2,700人が選んだ、多様性やLGBTQ+にまつわる5つの名言・格言
- CMプランナー/コピーライター
- 福居亜耶
電通グループは、4月22~23日に東京・代々木公園にて開催された国内最大級のLGBTQ+イベント「東京レインボープライド2023」(以下、TRP)にブース出展いたしました。ブースのテーマは『にじいろのガーデン』。自分らしさが咲き誇る社会の実現のために、多様性やLGBTQ+にまつわる名言・格言を、花に見立てて展示いたしました。
※ブースの紹介記事はこちらから
ブースの中で特に好評だったのが、言葉の書かれた花型のカードを選んで持ち帰れるコーナー。電通グループブースへの来場者約2,700人が、展示していた18の言葉から、今の自分の気持ちにフィットする言葉、心に留めておきたい言葉、誰かに伝えたい言葉を丁寧に選び取ってくださいました。
今のLGBTQ+当事者やアライのみなさんが、どんな言葉に共感し、どんな言葉を選んだのか。きっと、そこから感じられる想いもあるはず。そこで特に人気のあった5つの言葉をランキング形式でご紹介します。
5位 GAY IS GOOD
アメリカでの初期LGBTQ+公民権運動のキャッチフレーズとして用いられていた言葉です。1968年に、ゲイ人権活動家のフランク・カメニ―が考案しました。黒人差別撤廃を訴えた公民権運動のスローガン「Black is Beautiful」から着想されたそう。
日本で「ゲイ(GAY)」というと男性の同性愛者を思い浮かべる方が多いですが、英語圏ではレズビアンを含めた同性愛者全体を表したり、LGBTQ+全体を示したりします。海外ドラマ等の影響で、日本でも「ゲイ(GAY)」は男性同性愛者だけを表す言葉ではないという認識が広まってきたのか、ゲイの方に限らず、あらゆる方が自分の言葉として手に取ってくださいました。
4位 我慢しないでください。発言者は、イギリス王室のウィリアム王子。2016年、イギリスのゲイ雑誌『Attitude』のインタビューにて、性的志向や性自認によっていじめられている若者に向けたメッセージです。
これが多くの方の胸に響いたということは、悲しいかな、まだまだLGBTQ+の人たちは我慢しなければならない環境にいるということでもあるでしょう……。
3位 沈黙は死だ。
HIVとエイズについて非暴力の行動を起こす団体であるACT UP(アクト・アップ)が1987年に考案したスローガンです。この言葉のもとに、エイズ危機において、アメリカ政府や製薬会社への抗議行動を展開。エイズ治療薬の開発・普及や正しい知識の啓発に大きく貢献しました。
TRPが掲げる「“性”と“生”の多様性」の対極にあるのが、「死」。強く警鐘を鳴らす言葉ですが、すでに沈黙を破っている人にさらにエネルギーを与え、これから沈黙を破ろうとしている人を鼓舞してくれる言葉でもあります。
2位 世界はよりよくなっていく。
LGBTQ+へのいじめに心を痛めたダン・サヴェージと彼の夫テリー・ミラーが、2010年にはじめたのが、「IT GETS BETTER(世界はよりよくなっていく)」というメッセージ動画プロジェクト。アメリカ大統領(当時)のバラク・オバマをはじめ、世界中の人々が賛同して、メッセージ動画をSNSに投稿しました。動画は現在もネット上で視聴できます。
日本では2023年2月に、同性婚が実現すれば「社会が変わってしまう」という首相の発言がありましたが、この言葉を借りると、変わるとすれば「社会はよりよく変わっていく」はず。よい未来に思いをはせることができるこの言葉がたくさんの方に響いたようです。
1位 私の時代がやってくる!発言者は、ヨハンナ・シグルザルドッティル。アイスランドの政治家で、1994年に社会民主同盟の党首選挙に落選した際の宣言です。この言葉通り、のちにアイスランド初の女性首相、そして、世界初の同性愛者を公言した国家首脳となりました。
この言葉は、「私」という一人称が用いられていることで、多様なひとりひとりが誰一人取り残されずに自分ごと化でき、それぞれが描く望ましい未来に希望が持てたことから人気だったのかと思われます。短いからこそ、とても力強く、前を向かせてくれる言葉ですね。
さて、いかがでしたでしょうか。プライド月間は終わりましたが、いつでも心にプライドを。心に留めておきたい5つの言葉のご紹介でした。
【参考文献】
アラベル・シカルディ文、サラ・タナト・ジョーンズ絵(2022)『クィア・ヒーローズ 世界を変えた56人のLGBTQヒーローたち』(市ノ瀬美麗訳)ジーオーティー
マシュー・トッド(2022)『LGBTQ運動の歴史』(瀧和子訳)原書房