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14

Jul.

2020

event
10 Dec. 2019

選択できるから、より良い選択をする。自分にも他者にもオイシイVegan

動物由来食品を口にしない、ヴィーガンという生き方があります。ヴィーガンでは、ベジタリアンと違い、卵や乳製品も食べません。食事だけでなく、自分が使う靴やカバン、シャンプーまで動物や環境が犠牲になっていないか気にかける人もいます。一体なぜ、彼らはヴィーガンを実践しているのでしょうか。どのような毎日を送っているのでしょうか。
NPO法人日本ヴィーガンコミュニティの代表理事、工藤柊さんに、意外と取っ掛かりやすい、自分にも周囲にもwin-winなヴィーガンライフについて伺いました。

――ヴィーガンを実践する方が、実際にヴィーガンを始める理由は何でしょうか?また男女比や多い年代について教えてください。

工藤さん:ヴィーガンにを始める理由としては大体3つあります。まず畜産業における劣悪な環境から動物を守りたい、動物に苦痛を与えたくないこと。次に畜産業による環境問題に配慮していたいこと。最後に、生活習慣病などの健康に気遣いたいことです。日本ヴィーガンコミュニティですと、動物から入ってきた人が6割くらいで、環境から入った人が2割くらい、また健康のために始めた人が2割くらいですね。
男女比は、6:4または7:3で男性が少ない印象です。僕たちの団体では会員が約70人いて、運営費などを寄付してくださっているサポーターさんが約120人いるんですけど、そのなかだと、若い方が多いですね。20〜30代がメインです。ただ、他の団体さんでは、もう20年〜30年前から活動されているので40〜60代の方が多いです。


――
ヴィーガンの方の特徴ってありますか?

工藤さん:理由によって変わるのですが、例えば健康を意識してヴィーガンを始める人であれば砂糖の量や質を気にしたり、着色料や保存料などの添加物を避けたりする方もいますね。私もですが動物を理由にしている人であれば、皮とかウールを使ったものを買わないとか、動物実験をしているものを極力使わないなどを実践しています。環境を意識している方であれば、コンビニに行ってビニール袋もらわないとか、プラスチック製品を消費しないなどを心がけている方は多いです。もともと自分たち自身で問題意識をもっていることがあり、それに対するアプローチのひとつとしてヴィーガンもある、という感じですね。


――
海外ではヴィーガン表記や動物実験フリーのマークが付いている商品があるようですが、日本ではあまり見かけないように感じます。日々、ヴィーガンとして暮らすうえで、手に取る商品の選択はどのように行っていますか?

工藤さん:完全に毎日、ヴィーガンの商品を選択しきることは難しいので、出来る範囲で選択していく姿勢でいます。例えば僕なんかは食事面で気をつけることは出来ても、洗剤など日用品の細かいものまでは費用面で揃えられないこともある。でも普通のドラッグストアに行って、「環境に気を使っているんだな。」と分かる洗剤があって買えそうであれば購入する。スーパーに行って、フェアトレードのマークがあるチョコレートが売っていたら買ってみるようなものだと思ってもらえると分かりやすいです。本当にその程度のことからで良いと思っていて、自分の行動できる範囲で選択をしています。


――
あまり厳しく生活を制限しなくても、ヴィーガンを実践できるということですね。医薬品はどうされていますか?日本の医薬品は必ず動物実験をしている一方、使用しないと辛いこともあるのではと感じます。

工藤さん:あまり自分が病気にならないし、病院にも行かないのでほとんど使わないのですが、もしも使わないと死んでしまうのであれば使いますね。これは人によると思います。完全に僕個人の意見ですが、僕は、自分の判断力をもって、より良い選択をする人が好きなんです。逆に何かを制限することによって、幸せが損なわれてしまうことは避けたい。個人が幸せで楽しく生きていて、その上で、他者や社会のためにより良いもの選んでいる社会を望んでいるので、必要であれば服用して欲しいと思っています。またヴィーガンの食生活をしていると、どうしてもビタミンB12が不足する場合があります。その場合は卵を食べることもあるかもしれないし、サプリメントを摂取することも海外ではスタンダードです。僕もサプリを摂取することで補おうと考えています。

 

――ヴィーガンの方にはお子さんを持つ方もいらっしゃいますが、実際にお子さんの食生活はどうされているのでしょうか?

工藤:それは本当に難しい問題で、強制になってしまったらいけないとも思います。ただ、実際にヴィーガンとして育てられ健康的な大人として成長された方はいらっしゃいます。他の先進国でもヴィーガンとして子育てをすることは珍しくありません。ちゃんと親御さんが栄養学について学んで、どの栄養素が必要であったり、不足しやすかったりするのか把握し管理できたら可能だと考えます。。成長に充分な栄養素を摂取できるよう料理をつくっていただければと思います。その過程で、もし動物性タンパク質を摂らなければいけないならば、放牧で育てられた牛のミルクや、平飼いで育てられた鶏の卵を選択するのもアリです。
倫理的には矛盾してしまうかもしれないですが、自分自身が生きられない状況になってしまうなら、そのときは食べてもいいのではないかと僕は考えます。


――
ある程度自然と同じように育てられた鶏の卵をいただいても、鶏は苦痛を伴わないのだから良いのでは?と考えていました。ヴィーガンの方が、そこに抱きうる違和感をもう少し詳細に教えていただけますでしょうか?

工藤:ペットに置き換えて考えていただくと分かりやすいかもしれません。ペットを蹴ったら虐待なので駄目ですよね。その上で、では蹴ることが駄目なのか、そもそも動物の自由をペットとして縛り家のなかだけで暮らさせることも駄目なんじゃないかという話に発展することがあります。それが家畜の場合、せまいゲージで育てられるのか、放牧なのか、いやそもそも人間の管理下に鶏を置かない方が良いのか、とそれぞれ考える人がいるということです。ですから、厳密には平飼いされている鶏の卵もヴィーガンとしては認められないかもしれません。ただ、もし卵を食べるのであれば、自然な環境で育てられた卵を購入することは、より良い選択であるなと思います。


――
ヴィーガンをしていて困ることはありますか?

工藤さん:困ることは主に4つあって、まず1つめが飲食店に行ったときに食べられるメニューが少ないこと。2つめが、スーパーやコンビニに行って買える商品が少ないことです。3つめは、情報が足りないこと。ヴィーガンに対応したお店がどこにあるのか、どういうものを食べられるのか、また気をつけなければいけないのか、といった情報が見つけにくいことが問題です。また4つめに、認知度や理解度が低いことがあります。社会全体として、そもそもヴィーガンやベジタリアンを知らない、または何か聞いたことはあるけれど意味は分からない。「何でやっているの?」と感じる方が大多数ではないでしょうか。例えば僕なんかは、食事の席で自分がヴィーガンであると説明したとき、「そうなんだ、やっているんだ。」くらいの返答をもらえたら良いと考えているんです。ただ実際は、批判的な反応を示されたり、議論が始まったりという状況も生まれて、少し面倒だなあと思います(笑)。
僕は「めんどくさいなあ。」程度ですが、なかにはそれが辛くなってヴィーガンを辞めてしまう人もいるので、認知度や理解度を広めていかなければならないと思いますね。
ヴィーガンはまだ日本だとやっている人が少ないので、何だか特殊なことをしている人たちという印象があるのですが、そんなことは全然ないんです。最近、いくつかの飲食店が環境のためにプラスチックのストローから紙のストローに替えていますよね。または、建物内でクーラーの設定温度を2℃上げるとか。ヴィーガンもその程度のことで、環境や周囲のための選択肢のひとつと思っています。


――
社会人の方だと、会社の付き合いがあるなど、自分自身でお店を選べないこともありそうなので、より大変そうですよね。

工藤さん:そうですね、僕たちの団体のなかにも40代でサラリーマンの方がいらっしゃるんですけど、飲み会にあまり行かなくなったりとか、あとは全部自分が幹事を請け負って仕切ったりなんてこともあるようです。ただ、ヴィーガンの取り組み方にも色々あって、食事の席には行き、その場では食べるけれど家ではヴィーガンをやっているパターンもあります。そのように外食では制限をゆるめるなど、柔軟にヴィーガンを実践している方はフレキシタリアンとよばれます。この人付き合いは要らないと食事の席を断るのか、いやそこは大切にしたいから参加して食べられるものを食べるとするのかは、個人の選択です。


――
私は今ヴィーガンを実践していないのですが、ヴィーガンでない人たちが出来ることはありますか?

工藤さん:たまに、ヴィーガン食品を食べてもらえたら嬉しいですね。ヴィーガン食品にも美味しいものは沢山あるので、お店に行って食べたり、通販で購入してみたりして、試してもらえたらと思います。多くの人に利用してもらえることで、ヴィーガン料理のお店も続けていくことができ、街にヴィーガンのお店が増えるので、僕たちも助かります。ちゃんと毎日やる必要はなくて、お昼ご飯だけとか、家のなかでだけとか、ちょっと美味しそうだから食べてみようという感覚で触れてもらえたらと思います。


――
これから団体として取り組んでいきたいことを教えてください。

工藤さん:現在、ブイクックというヴィーガン料理のレシピサイトを運営しているのでそのサイトの拡大と、若者にジャンクにヴィーガンを楽しんでもらえるようなイベントの運営です。ブイクックの方は既に500件以上のレシピが、ヴィーガンのメンバーによって投稿されているのですが、12月よりフォロー機能やSNSへのシェア機能を実装することで、より利用者同士がコミュニケーションを取りやすく、拡散しやすくする予定です。
またそれに付随してブイクックプラスというウェブメディアを1月より発足します。ヴィーガン料理をまとめた記事や、ヴィーガン料理家へのインタビュー記事を発信していきます。大豆ミートをどう戻したら良いのかなど、毎日のヴィーガン生活に役立つ豆知識もシェアすることができたらと思っています。
イベントではこれまで隔月に、ホットドックやタピオカドリンクのパーティーをやってきましたが、今月の12月21日にもクリスマスパーティーを開催する予定です。
ヴィーガン料理と聞くとヘルシーすぎるイメージがあるかもしれませんが、実際食べてみたら「めっちゃジャンクじゃん!」みたいな食フェスにしたいんです。別に健康的でなくても良くて、それこそハンバーガーとかピザとかあって、夜わいわい若者で騒げるような雰囲気が理想です。ベジタリアンやヴィーガンでなくても何か面白そうだから来て、「あ、こういうのもあるんだなあ。何かそれだったら自分にも出来そうだなあ。」と知ってもらえたらと思ってやっていますね。
来年の初夏には数百人人規模の食フェス“ヴィーガンジャンクナイト”を開催する予定なので、そちらも是非きてもらえたら嬉しいです。

 

取材後、実際に工藤さんが理事を務める日本ヴィーガンコミュニティさんの1周年記念パーティーにお邪魔し、ヴィーガンごはんをいただきました!

まずは唐揚げです。原料は大豆ミートですが、がぶっと噛むと、ぷりぷりとした弾力があって、まさにお肉な食感でした!少し濃い目の味付けなので、噛めば噛むほどじゅわっとタレが滲み出て、添えられたおむすびがすすみます。

とろけたチーズのピザは、オリーブオイルが効いたトマトソースとジェノベーゼの2種類。使われているチーズも豆乳から出来ているのに、豆乳らしさが良い意味で無く、濃厚です。塩気のあるマスカルポーネのような美味しさでした!




最後は、ツナ風大豆ミートです。見た目のそっくりさもさることながら、舌触りもツナを再現していました!少しソフトな口当たりなので、大粒の黒胡椒、シャキシャキのレタスと共に食べるとより一層、楽しめました。

――取材を終えて

恥ずかしながら、以前まで“ヴィーガン”と聞くと、動物由来製品を厳格に生活から排除しなければいけなかったり、食の楽しみが制限されてしまったりするものと思っておりました。しかし今回、他者や地球のために部分的にでもヴィーガンは実践できること、またヴィーガン食は、食卓に並べば嬉しくなってしまうほど美味しいことに気づかせていただきました。
そして、普段自分が口にしたり手に取ったりしているものに、どれだけの犠牲がかかっているのか、それを最小限にするにはどうしたら良いのかを考えるきっかけとなりました。今後は夕食の一品をヴィーガン料理にしたり、友だちとのランチでヴィーガンレストランに挑戦したりするなど、楽しみながら環境や動物に配慮した食生活を実践したいと思います。

工藤さまをはじめ、日本ヴィーガンコミュニティのみなさま、貴重な機会をいただき誠にありがとうございました。

次回、12月21日に日本ヴィーガンコミュニティさんでクリスマスイベント「MINI X’mas Market」が東京で開催されます。ヴィーガン料理のケーキや、ピザなども振舞われるそうなので気になる方は是非参加してみてください!

そのほかの情報はこちらでご確認いただけます。
日本ヴィーガンコミュニティ公式HP
日本ヴィーガンコミュニティ公式Facebook
ヴィーガン料理のレシピサイト「ブイクック」

取材・文: 武蔵野大学学生ライターチーム
Reporting and Statement: musashino-univ

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