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15

Apr.

2024

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16 Jan. 2024

【後編】生きる楽しみを掴む~病と闘う子どもたちに、大人ができること~

中曽根彩華
統合マーケティングプロデューサー
中曽根彩華

2023年11月17日(金)に開催された【病と闘う子供とその家族―NPO法人「心魂プロジェクトとともに聴く」―】。

第一部は、難病患児のキッズ団と俳優たちによるパフォーマンスの披露、

第二部は、心魂プロジェクト共同代表の寺田真実さんと、難病患児の父である電通ソリューション・デザイン局 (当時)の田中浩章氏の対談により病と闘う子どもとその家族について座談会形式

の2部構成であり、前編では、

 ・「NPO法人心魂プロジェクト」のパフォーマンスとキッズ団パフォーマーの活動への想い

について触れました。

 

後編では、この第二部を振り返り、

 ・難病の子供たちとその家族を取り巻くイマ

についてフォーカスし、“治療生活の課題”や“幸せな生き方”について考えてみたいと思います。

 

■第二部 |病と闘う子どもとその家族 -座談会

第二部は

・NPO法人心魂プロジェクト共同代表 寺田真実さん

・電通ソリューション・デザイン局(当時)  田中浩章氏

二人の対談セッションとなりました。

①寺田さんは心魂プロジェクトの共同代表として多くの難病児と関わってきた視点

②田中さんは難病を抱えるお子さんを看護している父親の視点

難病の子どもと関わっている二人それぞれの立場から、子どもとの触れ合い方や病棟の課題、大人として難病児にできることをお話してくれました。

 

■病気と闘うこども本人とその子を支える家族を取り巻く障壁

田中さんは、難病のこどもの看護をする家族の当事者として、実際に治療と向き合った生活をする中で課題がいくつもあったと言います。それを書き出し、マップ化されていました。

 

難病児と支える家族を取り巻く課題マップ

中でも、今回取り上げられたテーマは「こどもの健全な成長」です。

 

<入院生活が長い子どもにとって、今の病棟環境は、健全な成長を妨げてしまうのではないか>

電通ソリューション・デザイン局 (当時) 田中浩章氏

田中さん

―こどもの成長のためには肯定的なこと ばを本当は伝えていきたいんです。しかし、入院中は投薬や採血のためのカテーテルをカラダに付けていたり、病気や投薬の影響で体調がすぐれなかったりするので、「走り回ってはいけない」とか「病院で大きな声を出してはいけない」とか「これダメ、あれダメ」と否定的なことを言うことしかできなかったんです。親としては否定することで健全な成長を妨げてしまうのではないか、と常に悩んでいます。どうアプローチすればよいのでしょうか?

 

NPO法人心魂プロジェクト 共同代表 寺田さん

寺田さん

―私が出会った子どもたちも、入院生活が長くつらい思いを経ていました。そんな中でパフォーマンスをするということに出会え、限られた空間・状況の中でも自分の与えられたものを持って、社会に出ていこうと切り替えることができました。『できることが限られている中でどうやって伝えればいいのか』を考え、子どもたちはパフォーマンスをするという自分を表現することを覚えました。

田中さん

―病院にいる子どもたちは、普通に生活している人と比べると、できることがとても少ないですよね。閉ざされた空間だからこそ、社会とつながれることや新しいことを経験できる機会を提供してもらえることはとても嬉しいし、大切なことだと感じています。そんなこどもたちにとって、外の世界と繋がれる手段の1つに、パフォーマンスがあるのだと気づかされました。

寺田さん

―パフォーマンスをすることを選んだ子供たちには、『与えられるのではなくつかみ取ろうね』と伝えているんです。子どもたちには、自らの意思を持って自分たちでつかんでほしい。それが自分の自信になるから。その想いで活動をしています。

田中さん

―やりたいと思ったときにやれる、行きたいと思ったときに行きたいと思える。そのように選択ができる環境を創ることが大切ですよね。

 

<親はこどもに選択肢を与えられる存在。親自身も選択肢をつかむためには?>

田中さん

―病院の中にいると、子供たちはパフォーマンスをするという選択肢があることに気づけないこともあります。その選択肢を与えてあげられるのは親であったりすると思っているんです。でも普通の親は、周りに自分の子どもの病気のことを伝えにくい。でも伝えないと周りは理解してもらえなくて、自分は理解されない存在なんだと思い込んで、どんどん自分で孤独になってしまう状況があります。だから、私自身は子どものためにも自分から発信していくことを決めました。それにより、周りに理解されるようになり、情報も入ってくるようになる。何より、自分の精神的な安定を得ることができて家族を支えることができています。でもこれは僕だったからできたことなのかもしれません。みんなが発信できるわけではないと思うので、周りに同じような状況の人がいたらまずは理解しようとしているという想いを伝えてほしいです。

寺田さん

―私も周囲になかなか話せない、というケースに出会ったことがありましたね。重たい病気の子を車椅子に乗せて、ご家族が街中に出た時に、「外に出さないで!」と見知らぬ人に言われることがあるという話を聞いたことがあります。でも、ご家族の環境が周りに少しでも理解されたら「そうなんだ」と受け入れてもらえることはきっとありますよね。

田中さん

―相手の状況が分からないと周りも「なんかかわいそうだな 」で終わってしまうんですよね。でも自分からなかなか話すことはできないので、自然に話せるようなきっかけがもっと増えるべきと思っていますし、話すことができる場がもっとあるといいですよね。

寺田さん

―パフォーマンスの場は、子どもたちのためだけでなく、この集まりによってお母さんやお父さんが抱えている悩みについて話せる環境にしてほしいと感じています。

 

<日本の病院はどうなっていったらいいのか?>

寺田さん

―23年には公演を披露しに台湾に行きました。台湾の病院の中にはおもちゃ売り場があったり、食べるところもたくさんあったりしたんです。選べるってことがすごくいいですよね。

 

田中さん

―選択肢があることで生活が潤ってくれますもんね。一方で、今の(日本の)病棟では「これしちゃだめ」と制限することが多くなってしまっています。デジタルも普及している世の中なので、病棟が生活の場になっている子どもたちにとってもっとたくさんの選択肢を作ることができたらいいなと「想像しよう。未来の子ども病室」というものを作ってみました。電通の有志が集まって、ママの視点や女性の視点等からも課題を出し合い、それを解決させる病院の機能をイラストにしています。

 

可愛いらしいイラストに表現されているものはどれも画期的な「こんな未来あったらいいな」というものばかり。

〇免疫が弱い子どもたちを守るポータブルバリア

〇病室にプロジェクターを設け、リモートで家にいる家族と一緒に食事をしている風景

など。

わくわくする未来がぎっしりでしたが、この背景には今の課題がアイディアの数だけあるということに気づかされました。

 

■生きるモチベーションに必要なのは、夢に飛び込む勇気と自己肯定感

田中さん

―未来ある子どもたちを大人が下から支える、そして、子どもが羽ばたいていってくれる、そんな社会に変えていかなければいけない。だからこそ、子どもたちが前に立ち、自己肯定感を持って、世の中に出ていき、社会とつながりを持っていける、そんな社会を作りたいと思っています。この社会造りに向けて先行されて活動されている心魂プロジェクトさんを僕も追っかけていきたいと思いました。

寺田さん

―いえいえ、皆さんと一緒に作っていきたいです。是非いろんな子どもたちを巻き込みたい!大人も子どももみんなを巻き込んで、アイディアを出し合って、みんな繋がってよい社会にしていきましょう。

 

おうちだって病室だって、どんな状況でも、どこからでも、誰とでも繋がれ、誰だって輝ける、そんな社会になり始めている確かなものを感じました。

 

人間は平等に時間を楽しむ権利がある

生まれてくる必要のない命なんてあるはずがない

 

これは自分自身にも問いかけてみることができるのではないでしょうか。

難病を抱える子たちは、自分の体質、病気と生きるために向き合い続け、逃げることをしていません。だからこそ、ものすごく強い人間となり、自分を自分で理解し、挑戦することを止めないで、自分にできることを見つける力を養っていました。

 

今の自分にしか出せない価値がある。生きる意味は自分自身で作り決めることができる。

だから、与えられチャンスに飛び込む勇気を持とう。

 

そう強く感じさせてもらいました。

あなたに「しか」できないこと。そしてあなた「だから」できること。

どんな人でも、どんな状況でも、勇気をもって前を見れば、きっと周りを幸せにできることが見つかるはず。

治療や入院生活のような人一倍辛い時、苦しい時を経験し、乗り越えようとしている当事者と、本人たちと関わる二人から夢を見つけること、希望があること、誰かのためになること、社会の一員になれていること、これが苦しいこと・辛いことを目の当たりにした時に乗り越える活力となり、生きるモチベーションに繋がる、ということを教えてもらいました。

 

今のあなたが、本当にやりたいこと

今のあなただからできること

 

それはあなたの中でも見えているでしょうか?

自分自身の生き方についても深く考えさせてもらえるきっかけになったイベントでした。

取材・文: 中曽根彩華
Reporting and Statement: saikanakasone

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