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7 Mar. 2019

ひとりの悩みを、みんなの喜びに。社会を1つにするインクルーシブなものづくり(後編)

前編はこちらから

電通と日本テレビ、ジャパンギビングの有志によるユニット「Social WEnnovators」と株式会社ユナイテッドアローズが立ち上げた新レーベル「UNITED CREATIONS 041 with UNITED ARROWS LTD.」では、前編でご紹介した気づきとは別の視点での気づきもありました。

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それは、「誰もがオシャレしたい気持ちを持っている」ということです。

「スタイにもなるエプロンドレス」の開発に参画した加藤さくらさんは言います。
「3歳以降の子どもでも似合うよだれかけってなかなかないんです。機能面だけ充実していて、本当にこれ毎日身に付けてハッピーなのかな?という商品が多くて。機能面が良ければオシャレは二の次でいいじゃんってつくる側が思っちゃっているのかなって。」

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スタイにもなるエプロンドレス

 

そんな想いを伝えて生まれた「スタイにもなるエプロンドレス」のサンプルを見た時、加藤さんは感動したと言います。

「スタイに見えないものが欲しいとお伝えしていたのですが、こういうのもあるんだ!こういう切り口できたか!と想像を超えるものが出てきて、すごくワクワクしました。機能面の要望も最低限お伝えしていたのですが、実際にサンプルを使わせていただいて、改めてデザインがいいだけでなくその使いやすさにも気づかされました。」

オシャレをしたい気持ちは障害者でも健常者でも違いはありません。
着る側のオシャレをしたい気持ちをつくる側がくみ取り、心を1つにして服づくりに挑む。こんな服を着たいという想いに対して、こういう服を着てほしいという情熱を込めて服をつくり、その想いにお応えする。その結果、誰かの悩みを解決しながら誰もがオシャレできる服が生まれる。
調査上の数字やつくる側の技術発想だけでは把握しきれない当事者の想いにこそ、社会の中で本当に必要とされる商品を生み出す力があるのだと思います。

そして社会で本当に必要とされる服は、人の気持ちを明るくするだけでなく行動までも変えていくのだとインタビューの中で感じました。

「おしゃれの幅が広がったと思います。自分でも自信を持っておでかけできますし、周りの人からも素敵なスカートだねと言ってすごく褒めてもらえるので嬉しいです。今までは地味系な色ばかり着ていましたが、着たことのない色も着てみようと思えるようにもなりました。」(関根彩香さん)

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フレアにもタイトにもなるZIPスカートを着用する関根さん

「天候を気にしながら予定を決めなくてよくなりました。だからお出かけできる日数と場所が増えました。雨の日はあまり外出したくないという心理的バリアがあったのですが、そのバリアを解決してくれました。」(上原大祐さん)

「このスタイを身に付けてオシャレをしていると周囲の方からポジティブな言葉をかけてもらえて、洋服を通じて周りとの関わりが生まれるのは嬉しいです。入院中に病院でこのスタイを身に着けていたら、看護師さんたちに可愛いねと褒めてもらいました。病院の中でこういうポジティブな言葉が交わされるのって、気持ちが明るくなりますし、うれしいですね。」(加藤さくらさん)

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社会の中で本当に必要とされる商品は、言葉で説明しなくても周囲の人にその存在意義や魅力が伝わる強いチカラがあると、私は信じています。大量生産・大量消費が当たり前の今、つくる側は誰かが本当に必要としている服をつくり、着る側は本当に自分が必要しているものを買う。そんなものづくりと消費のサイクルが改めて注目されてもいいのではないかと思っています。

「UNITED CREATIONS 041 with UNITED ARROWS LTD.」では、こうした社会の中で存在意義のある服を着て楽しむファッションを「DEEP FASHION」と呼び、社会に新しいファッションの楽しみ方を提唱しています。2月28日からは第二弾の販売もスタートしました。「1」の方々とともに開発した商品はユナイテッドアローズ公式オンラインストア(※リンク先に移動します)から購入が可能です。
よろしければご覧になってください。

最後に、上原さんと加藤さんに、今回のプロジェクトにおけるインクルーシブデザインによるものづくりの展望についてお聞きしました。

「これからの日本のデザインにおけるスタンダードにしていけるといいですね。アイテムが増えれば増えるほど、そのアイテムに興味を持つ人も実際に使う人も増えて、そこから情報発信されてどんどんスタンダードに近づいていけると思います。」(上原さん)

「洋服売り場にマタニティコーナーがあるように、お洋服に工夫が必要な人が楽しめる服がもっとあったらいいなと思います。今回のような服づくりを真似して、当事者の声を聴いたりデザインに反映してくれる企業が増えるといいなと思っています。」(加藤さん)

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このプロジェクトから生まれた服が一人でも多くの人の手に届き、社会で本当に必要とされる服を着て、みんなが自分らしいファッションを楽しむ。その可能性を信じ、これからも強い使命を持って取り組んでいきたいと思っています。

 

執筆者 浅井康治

取材・文: cococolor編集部
Reporting and Statement: cococolor

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