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21

Oct.

2019

event
19 Sep. 2019

すべての人が楽しめるファッション 〜特特祭 041FASHIONブースレポート〜

澤田有花理
デジタルプランナー
澤田有花理

ファッション×ダイバーシティについて発信する「DEEP FASHION」プロジェクト。
今回は、社会課題解決を目指す企業横断型ユニットSocial WEnnovatorsと株式会社ユナイテッドアローズが共同で展開する041FASHIONが出展したイベント「特別支援学校の特別おもしろ祭(特特祭)」を取材してきました。

 

特特祭の開幕|041FASHION出展ブースへ取材に

 

「今日は特別おもしろい日にしましょう〜!」
本イベントの企画者の一人である澤田智洋さんの掛け声とともに、8/18(日)東京都府中けやきの森学園にて「特別支援学校の特別おもしろ祭(特特祭)」が開幕しました。特特祭とは、令和元年に誕生した特別支援学校が主体の新しいお祭り。普段なかなか出会うことのない、企業と特別支援学校に関わるひとたちがこのお祭りを通して交流し、参加者それぞれのおもしろい未来づくりを目指します。

 

 

衣食住様々なカテゴリーで多くのブースが出展している中で、041FASHIONのブース「特別おもしろいファッション」を取材させていただきました。

 

 

自然と笑顔のあふれるブース「特別おもしろいファッション」

 

「特別おもしろいファッション」と横断幕のかけられた1つの教室が会場となったブースに入ると、041FASHIONの紹介動画がディスプレイで流れています。教室の中心には、カラフルなお洋服が並ぶラック。さらに奥には商品を試着してスナップ写真を撮ってもらえる撮影スペースが用意されています。ラックに並ぶ洋服は、一見すると普段よく見かける形・デザインのお洋服。これまでイメージしていた障害のあるひとのために作られたお洋服とは思えないほどファッショナブルな洋服が並んでいます。

 

開幕式から数分が経つと、ブースを見に来られたお客様の長い行列ができるほどの大盛況。障害のあるお子様はご両親やスタッフに案内されながらも、自分自身で「これが着たい」「これは嫌」と意思表示をし、041FASHIONの服の中から自分が着たい服を選びます。
選んだ服を着た後、撮影ブースでご家族と一緒に写真撮影を行っていました。写真撮影の最中、カメラを見つめるその表情は、とても明るく、表情豊か。みんなが笑っています。その笑顔を見て、スタッフも自然と表情がゆるみ、終始笑顔にあふれたブースとなりました。

 

 

デザインよりも機能性?“着せやすさ”というチェックポイント

 

実際にイベントに参加された方々にインタビューさせていただき、今までどのような洋服の悩みを抱えていたか、041FASHIONの商品を実際に手にして起きた心境の変化についてお伺いしました。

 

 

今回インタビューの中で、普段洋服を選ぶ際には気づかないような発言が多くありました。その中の1つが、「着替えがストレス」だということです。

6歳の女の子のお母さんは言います。


「オムツを着用するのでスカートの中にインナーがあるものが好ましいのですが、兄弟がいるので時間をかけて履かせてあげることができないのです。冬服だと余計着せにくくなってしまうし。着替えは生活の中でもストレスになっています。」

「簡単に着られて、一枚でおシャレに見える洋服を真っ先に選びます。女の子なのでスカートを履かせてあげたいけど、着ているうちにめくれあがってきてしまうので、なかなか履かせてあげることができません。」

自分で洋服の着脱が難しいという、ハンディキャップを持つ方のご家族の多くが抱えるこの悩み。一人ひとりが異なる悩みを抱えている中で、この悩みを解決する”チェックポイントを押さえている洋服”はなかなか見つかりません。

「着せやすくて、尚且つおシャレで、サイズが豊富にあるアイテムが気軽に量販店に並ぶようになったら嬉しいです。」

イベントに参加された多くの方がそうおっしゃっていたのが印象的でした。

 

「女の子だからこそおシャレをさせてあげたい」

 

女の子のお子様がいらっしゃる母親ならば誰しもが思う、「女の子だからこそおシャレをさせてあげたい」という願い。「可愛い服を着たい」という本人の想いを汲み取り、母親がそのように感じるのは当然のことでしょう。

しかし、ハンディキャップを抱える方は年齢にしては細見なのでサイズの合う服がなかなかない、車いすのためスカートは履かせられない、といった悩みをヒアリングする中で多く耳にしました。

「年頃の女の子が着ているような、流行のデザインの洋服を着せてあげたいです。障害児用の洋服は、地味で無難なのに高価なアイテムが多く、親子コーデを子供とすることが出来ないのです。」とお話しするのは、15歳の女の子をもつお母さん。
他にも、

「娘が車いすに乗っているため、冠婚葬祭用の洋服に特に困っています。襟が前部分のみに付いている洋服など、冠婚葬祭用の洋服があると便利で需要もあるのではないでしょうか。」

「娘も洋服が好きで、量販店にて自分でお気に入りを見つけたりしますが、なかなかすべてのチェックポイントを満たしているアイテムは少なく、祖母がハンドメイドで作ってくれた服を着ています。041FASHIONでも冠婚葬祭のものなどがあれば、嬉しいですね。」

といった声も聞こえてきました。

また、6歳の女の子のお母さんからは、こんなお声も。

「足が悪く、自分で排泄ができないため、普段スカートを履かせることが難しいです。自分で着替えをしたがるけど、前後が分からない洋服が多いためすぐに汚してしまいます。分かりやすいデザインのものがあれば嬉しいですね。」

このような声を耳にすると、健常者が普段着ている洋服の中で、”一人を起点とした視点”を持っているものが非常に少ないことに気づきます。
また、今回のイベントにはデザインと機能性双方の面で工夫されたレザージャケットやロングスカートが展示されており、多くの人が試着していました。

「普段こういう服を着ないので、年相応な洋服が似合うようになったと感心しました。」

「子供が普段着ることが出来ないアイテムを試着しているのを見ることができ、とても嬉しかったです。」

普段とは違うお子様の様子に喜ばれ、にこやかな表情でこのような感想をお話しされる方々が多くいらっしゃいました。

 

参加者の声から感じたこと

 

イベント参加者の方の声を聞いていると、大きく2種類の内容があることに気づきました。

1つは、”既存の服に対する悩み”です。
具体的には、こんな声がありました。

「着せてあげたいと思えるものがあったとしても、サイズが合うものがない。」

「(本人を抱きかかえてサポートするため)ワイドパンツはトイレの際に床についてしまう。」

「触覚過敏のため、肌に合わせられる素材が限られている。」

こうした声を聞くと、障害のある方が抱える服の悩みやおシャレを楽しみたいという想いに一つ一つ応えていくには、まだまだ多くのチャレンジやイノベーションが必要だと感じます。

そして、もう1つは”おシャレをもっと楽しむためのアイデア”です。

「男の子用のカッコいいスタイがあると良い。」

「巻きスカートは柄以外にも無地も欲しい。」

「親子で兼用できる商品があると嬉しい。」

考えていることは同じでも全く聞こえ方が違う、
服に関する悩みと、こんな服が欲しいというアイデア。

どうせなら服に関する悩みが1つでも減って、誰もがおシャレを楽しめる服のアイデアがどんどん増えていったらいいなと思います。

ひとりひとりの声に耳を傾け、その声に一つ一つ応えていくこと。
それが世の中の服に関する悩みを減らし、ファッションへの希望やアイデアを増やしていく、間違いないソリューションだとも思います。

インタビューさせていただいた方の中で、実際に041FASHIONの商品(スタイにもなるエプロンドレス)を利用している方がいました。

その方は「この商品と出合って、”もうだいぶ大きい子どもなのにスタイをしている”と見られることがなくなりました。」とおっしゃっていました。

たった一つの服との出合いが、長年の服の悩みを解決して毎日の生活を前向きにしてくれる。

一人ひとりの服の悩みに応えていくことは、着る人だけでなく、そのご家族やサポートする周囲の人の気持ちも救って前向きにしてくれる力があるのだなと、この方とお話していた時に感じました。

 

ユーザーの声をデザインに

 

「ECサイトだけではわかりにくいから実際に試着してみたい!」というお客様の声に向き合い、041FASHON初の試みとして開催された今回の試着イベント。

041FASHIONを展開する株式会社ユナイテッドアローズの方々の、このプロジェクトに対する想いをお伺いしました。

 

 

-今日のイベントの感想を教えてください。

「今回は041FASHIONの第二弾展開として、以前よりも商品のカラーとサイズ展開を増やして展開しています。アイテム数も増え、より多くのお客様の声に寄り添えるようになれば嬉しいです。
また、2020年春ごろに新しいアイテムのローンチを目指しています。お客様のニーズを直接伺える今日のような場は、非常に意味のある機会だと思います。」

-ブランドとしてアイテムを制作する際に意識していることなどはありますか?

「041FSASHIONはデザインする上での”重要なポイント”が通常のアイテムとは異なります。座った時に、着丈が上がるようなカッティングにするといったポイントを押さえつつ、トレンドを意識したデザインを心がけています。特に、身体にハンディキャップがある方々は、”障害者用の服”という見られ方を非常に気にされるため、健常者と障害者がそれぞれ気にするポイントの両方を兼ね揃えたアイテムをつくることを041FASHIONでは意識しています。」

着せやすさや、一枚でおシャレに見える、など機能性とデザイン性を兼ね揃えたポイントを押さえたアイテムは、より多くの人の想いに寄り添っていけるものになると期待しています。

 

 

ファッションには人を笑顔にするチカラがある

 

取材を通して一番印象的だったのは、参加者の方々の笑顔でした。

ブースに入ってきた時は少し緊張したような表情の方も、お洋服を自分で選び、着て、撮影をすると、いつの間にかとても良い表情に変わっている。

ファッションを楽しみたい、という気持ちは障害の有無にかかわらず一人ひとりの中にあると改めて感じました。”ひとりを起点に、すべての人に心地いい服をつくる”というビジョンで活動する041FASHIONプロジェクト障害のある方々が、初めて同じ空間に集った今回のイベント。

041FASHIONの洋服が繋いだ、人と人の対話を直接取材したことで、改めて洋服が人の内面に与える影響力の強さとその多面性を感じました。

服から生まれたストレスも、少しのアイデアを加えれば、楽しみや喜びに変わる。
服が持つこの可能性を信じ、041FASHIONの活動に今後も注目していきたいと思います。

 

共同取材・執筆:吉崎志保・澤田有花理

取材・文: 澤田有花理
Reporting and Statement: akarisawada

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