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26 Nov. 2014

第3回:人生いろいろ、左利きもいろいろ。-人それぞれの『左利き』事情

■【ダイプラ!-半径3メートルから考える、ダイバーシティ・プランニング日記】
第3回:人生いろいろ、左利きもいろいろ。-人それぞれの『左利き』事情

こんにちは。過去のコラムで僕は小耳症のことをとりあげましたが、今回はもっと一般的に身近でわかりやすい『違い』の例として『左利き』について考えてみたいと思います。

左利きとは、もちろん一般的に右手に比べて左手をより多く使う人のことです。例えば、左手で文字を書いてみたり、左手で箸を使うなど。ちなみにカン違いしやすいのですが、左利きは全ての動作を左手で行うわけではありません。例えば僕の場合で言えば、お箸を持つのと、字を書くのと、はさみを使うのは左。だから食事の時は腕が隣の人と当たるし、鉛筆で書くと手のひらが真っ黒に汚れるし、はさみはうまく切れないし、なかなか大変を感じます。逆に左利きが有利だと言われているスポーツの分野では、ぼくは野球は右投げ、サッカーのシュートは右と、なぜかこちらは右利き。無意識に身につけてきた結果ではありますが、不利と言われるものばかり自然と左を選んできた自分に少しあきれてしまいます。(笑)

このようにひとえに左利きと言っても、完全なる左利きタイプや両利きに近い器用なタイプ、また「卓球は右、テニスは左しかできない」等不器用だか器用だかよくわからない人まで(笑)、色んなタイプの人がいることがわかります。

左右の手で、書いてみました。

※ちなみに利き手の左手と右手で描き比べてみました。もともと利き手も字が汚い(笑)。

また世の中は右利き中心につくられているため、左利きは日々ちょっとしたストレスにさらされてもいます。エレベーターのボタン、カメラのシャッターなど、ほとんどのものが右利きを前提にしています。個人的に気になるのが、駅の改札。改札を抜ける際、どうしても自分の右側のエリアをタッチしなければいけません。だから手をクロスさせ、ピッとやることになります。そんな些細な事・・と思うかもしれないが、このねじれた動作のストレスが1日2回往復、少なくとも1年に730回以上起きます。こうして左利きの人は一時が万事、この微細なストレスに身をさらされ続けなければなりません。実際のところは左利きの人は右利きの人に比べて、平均9年以上も早死にするという説まであります。

だから、例えばせめて5つある改札の1つだけでも左利き仕様のものをつくれないだろでしょうか。左利き用はいつも混んでないはずだから、右利きの人も急ぎの場合はこのレーンを使えばいいため便利になるはずです。また左利き視点でサービスが充実すると、両利きの人口が増えるのではないでしょうか。左にボールが来たら左で蹴るし、右手を怪我したら左手で描く。どっちも使えると、いつも最適な時に使い分けられて便利です。

ちなみに余談ですが、左手右手ではなく両手で文字を描くように進化したものがパソコンのキーボードだと考えることもできると思います。だからこそ、圧倒的な早さで文字を描く(打つ?)ことができます。ダイバーシティは少数派の意見に耳を傾け、その視点をポジティブに活かす。もしかすると、こんな身近な視点を意識するだけで、世の中はまだまだ便利で面白くなるのかもしれません。

-この連載の記事-
第1回:かけらな、ぼくの、ひとりごと。
第2回:ダイバーシティって言葉がとっつきにくいのは何故だろう

-Writer Profile- 3

堤 藤成 / Fujinari TSUTSUMI
2006年電通入社。プランナー・コピーライターとして、デジタル領域、ソーシャル領域を中心に企画プランニングを手掛ける。
『電通ダイバーシティ・ラボ』、『電通ジセダイ育成委員会』に所属。『電通ソーシャル・デザインエンジン』の仕事にも参画。新聞広告クリエイティブコンテストにて制作した広告が中学校国語の教科書に掲載。

カンヌゴールド・ブロンズ、新聞広告クリエイティブコンテスト(最優秀賞・コピー賞)
毎日広告デザイン賞、西日本広告大賞、FCC賞等受賞

 

取材・文: TSUTSU/堤 藤成
Reporting and Statement: tsutsu

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