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9

Dec.

2021

event
22 Nov. 2021

多様なカップルに幸せを~私たちだって“いいふうふ”になりたい展~

八木まどか
メディアプランナー
八木まどか

11月22日は「いい夫婦の日」。

社会にはさまざまな「ふうふ」の形があります。その中でも、同性婚の法制化に関する議論は、今、最も注目されるトピックの1つです。

 

cococolorでも以前、同性カップルが日本では法律婚ができない現状と、その困難について取り上げました。

 

同性カップルも「いいふうふ」になりたい!“結婚できない困難”をお金に換算してみた

 

このような現状から、同性カップルが抱える課題や悩みを知ってもらうための展示会「私たちだって“いいふうふ”になりたい展」が本日より3日間、大阪・中之島で開催されます。

主催である特定非営利活動法人カラフルブランケッツ共同代表であり、行政書士として同性カップルへの法的サポートを行う康純香さんに、展示会に込めた思いをインタビューしました。

 


カラフルブランケッツ共同代表・康純香さん

 

 

同性カップルが抱える悩みや困難

「もしもの時」が明日やってくるかもしれない

「同性カップルが一緒に生活するうえで、カミングアウトしていない場合に近所の人とどう付き合うかといった、コミュニティにおける心配事もありますが、カミングアウトの有無に関わらず、切実なのはケガや病気など“もしもの時”や老後への不安です。たとえばパートナーが病院へ出向いても家族として面会できないといったことです。運ばれた病院すら教えてもらえないケースもあります。このような相談はここ2、3年特に増えています。コロナ禍によって『“もしもの時”が明日来るかもしれない』と考えた人が多いのでしょう。

 

私たちの法人に訪れる同性カップルからの具体的な相談としては、『自分が亡くなった時に、パートナーが困らないようにするにはどうしたらいいのだろう?』『将来、自分が認知症になった時の財産管理をどうしたらいいか?』『自分が交通事故にあった時にどうしよう?』というものが多いです。それぞれのライフステージにより悩みがあります。いつかは考えようと先延ばしにしていたことを、今やらなければと気づき、皆さん相談に訪れます。」

 

公正証書を作る、という法的サポート

「このような悩みを持つ同性カップルに対し、公正証書遺言の作成など法的サポートをすることで、皆さん口をそろえて『安心した』と言います。カラフルブランケッツ共同代表である井上ひとみも、つい最近、公正証書を作成しました。彼女は『公正証書を作ったことで、相手との関係性により責任感を抱いた』と言ってました。」

 

公正証書は、内容がある程度決まっていれば1~2か月で作成できます。作成に向けて私たち専門家が相談にのる過程で、相談者は色々なことに気づきます。その人の家族構成、兄弟姉妹への思いなどを掘り下げていくうちに、相談者が想定していなかったケースがどんどん出てきます。たとえば、パートナーに財産を渡したいけれど、公正証書を作った後でパートナーが亡くなるかもしれない。家族には全く配分しなくていいのか。そういったことも全部聞いていきます。すると『ちょっと考えます!』と言って時間をかける人もいます。結果的に公正証書を作らない決断をする人もいますが、相談に来た人の8割以上が作ります。ある人が、公正証書が出来上がった時に『やっと、嫁ぐことができました』と言われたのは印象的な出来事でした。」

 

公正証書は、部分的な打開策

「ただし、公正証書を作っても解決できるのはあくまでも2人の間の問題だけです。公正証書遺言も公的な書類とはいえ、いわば“独り言”です。ですので、配偶者控除や遺族年金など、国の制度は変えられません。婚姻届を出した異性カップルであれば金銭的負担がほとんどなく保証されていることが、同性カップルにはないということ自体が不平等です。また、先に述べた病院での面会の問題などは、病院ごとのルールがあるため公正証書では解決が難しいです。やはり、同性婚が法律で認められないと、できないことがたくさんあります。そのことを知ってもらうために、展示会を企画しました。」

 

 

「私たちだって“いいふうふ”になりたい!」という思い

さまざまな“ふうふ”の思いが詰まった展示

「11月22日は“いい夫婦の日”として浸透していますが、いろんな形の“ふうふ”があること、『“ふうふ”になりたい』と願っているのになれない人たちが存在することへ、思いを馳せてほしいと考え、この日に開催を決めました。」


展示会でのパネル(結婚できなくて困ることの例)

 

 

「展示会では、実物の公正証書を展示します。公正証書の原本は公正役場に保管されてあるので、作成者の手元にある謄本をお借りしました。法律用語で書かれた固い文章ですが、なかなか見る機会がないと思うので、ぜひ見ていただきたいです。

 

また、5組の同性カップルが互いのパートナーへ贈りあった直筆メッセージも展示します。『この人と生きていきたい』『大事な人と安心して暮らしたい』といったさまざまな思いが言葉になっています。この展示を見て、テレビやネットの向こう側ではなく、身近に当事者がいることを知ってもらいたいです。5組の立場はさまざまで、公正証書を実際に作った人もいれば、そうでない人もいますし、別の法的な手段を取った人もいます。ただ、同性婚が法律として認められていないことで苦しい思いをしているのは共通です。お互いに宛てたラブレターのようになっており、“さまざまな人生”を知ることができると思います。」



同性カップルがお互いに送り合ったメッセージパネル

 

展示スペースの様子

関係ない、と思う人にこそ見てほしい

「展示を見た人に『今この瞬間に困っている人がいる』『同性婚についてもっと議論しようよ』『同性婚に賛成の意思を表明しよう』と思っていただけたら大成功です。自分とは全然関係ない、と思っている人こそ見てほしいです。そして、他人事ではなく身近な問題だと知ってもらいたいです。また、私の知り合いの当事者が『家族を連れて展示に行く』と言ってくれました。その人はカミングアウトして以来、家族とうまくいっていないとのことですが、家族から『幸せそうな人がたくさんいるんだね。それなら安心してあなたを応援するよ』と思ってもらえたらいいですね。」

 

お互いを大事に思い、後に続く人が困らないように

「『いいふうふ』とは、お互いを大事に思えて、この人がいるから頑張れると思える関係性だと思います。同性婚が法律で認められ、幸せなカップルが増えてほしいです。

 

私たちは当事者どうしのコミュニティづくりにも取り組んでいます。たとえば、今までも任意後見契約について勉強会を開いており、毎回20人前後が参加してくれますが、今後は参加者のさまざまな職業を生かし、特技や知識をシェアする場を作りたいです。当事者の中でも、コミュニティと関わらず孤独に過ごす人もいますし、どんな悩みでも一人で解決しようとしなくていいんです。今は、みんな同じ石につまずいているような状態です。先に歩いた人が、後に続く人へ『こうすればいいよ』と言ってあげられるような活動を、これからも頑張りたいです。」

 

 

家族、パートナー、自分について考えるきっかけに

コロナ禍など社会情勢を背景に同性カップルが抱える悩みは切実さを増しているとわかりました。また、先進国の中でも日本は同性婚の法整備が遅れており(※)、より危機感を持って1人1人が考えるべき問題だと感じました。「ふうふ」の形はさまざまであっても、パートナーや家族を思いやる気持ちはきっと共通です。思いがあるのに、法的な理由で相手のための行動ができない人がいる事実を、まず知ることから始めませんか。

 

また取材を通し、「自分にとって、家族と幸せに過ごすとはどういうことか」と考える機会になりました。当事者ではないからと言って見過ごせるような問題ではないと思います。ぜひ、家族や友人を誘って展示を訪れて頂きたいです。

 

 

「私たちだって“いいふうふ”になりたい展―同性カップルも“いいふうふ”になれる世の中をめざして―」

【日程】 ■11月22日(月)11:00~17:00

     ■11月23日(火・祝)10:00~17:00

             ■11月24日(水)10:00~17:00

【場所】 ギャラリーMAGATAMA(大阪府大阪市北区中之島3-2-4)

     中之島フェスティバルタワー・ウエスト1階

     肥後橋駅4番出口直結、渡辺橋駅12番出口直結

 

参考資料

(※)「Marriage for All Japan -結婚の自由をすべての人に」HPより「世界の同性婚」https://www.marriageforall.jp/marriage-equality/world/

 

取材・文: 八木まどか
Reporting and Statement: yagi

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