早くて便利だけが価値じゃない?!スローレジという発明
- 副編集長 / ストラテジックプランナー
- 岸本かほり
買い物でレジを通過するときに、下記のうちどこに並びますか?
A 空いている有人レジ
B 混んでいる有人レジ
C 空いている無人レジ
多くの人が、AもしくはCと答えるのではないでしょうか。私は、なるべく人と接触しなくて済むC無人レジを使うことが多くなりました。
早くて便利だけが価値じゃない!スローレジって何だろう?
徳島に帰省した際に、立ち寄ったゆめタウンで自分の常識とはちょっと違う光景を目にしました。他のレジは空いているのに、なぜか一つの有人レジだけに多くの人が並んでいたのです。
スローレジ。高齢者や認知症の方、障害者、妊婦、子連れなど、ゆっくりと安心して支払いがしたい人に向けて作られたレジです。
都市部ではあまり見ることがないですが、高齢化が進む地域においては、「ゆっくり安心して買い物がしたい」という高齢者のニーズに合わせたレジのサービスがデザインされています。
特徴としては、大きく下記2点。
・後ろに並んでいる人もゆっくり会計することを望んでいるため、焦らず支払いができる
・スタッフがゆっくりと聞き取りやすく話すため、会話を楽しむために並ぶ人もいる
店舗によっては、スタッフが「認知症サポーター養成講座」を受講し、高齢者や認知症の方へのよりよい対応の在り方を学んでいるそうです。
様々なニーズに対応するレジがあることはお店選びの重要な選択基準になる可能性があります。私自身小さな子どもがいるので、レジの際にグズらないか、急に走り出してしまわないか、スムーズに会計ができるか、いつもドキドキしています。こんなレジがあらゆる地域にあると買い物の際のストレスが軽減されそうです。
買い物を通して、生きる喜びを感じる
祖父母と話をしていても、自分で買い物をすることが人生の喜びという話を聞くことがあります。私にとって買い物は早く済ませてしまいたい行為ですが、その行為自体に喜びや幸せを感じながら生きている人もいるということに気づかされました。
また、お客さんだけでなくスタッフにとっても、ひたすら速さ・回転率といった効率性が求められるよりも、多くのお客さんとゆっくりふれあい話をしながら仕事をする方が、より自分らしく仕事をする上での喜びやモチベーションにつながるケースもありそうです。
テクノロジーが発展し、様々な物事のスピードが速まる一方で、本当にそれだけが価値なのか?全員がそれを求めているのか?息苦しさを感じている人はいないか?
時々立ち止まって考えてみることで、新たなサービスや商品が生まれるヒントが得られるかもしれません。
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