こども達のまなびから大人が学べること TRP2023 キッズツアー レポート
- 共同執筆
- ココカラー編集部
“性”と“生”の多様性を祝福する国内最大級のLGBTQ+イベント「東京レインボープライド2023(以下、TRP2023)」が 4月22~23日に 代々木公園イベント広場にて開催されました。その中で今年 cococolor こどもプロジェクトの新しい試みとして会場でのキッズツアーを実施しました。ツアー実施の目的は、LGBTQ+に関する家庭内での理解の重要性に着目しTRPという楽しい雰囲気の中で家族一緒にLGBTQ+について学んで触れてもらう機会を創出することでした。参加したこどもたちの様子や 保護者の方の声もご紹介しながら、ツアーガイドをしたメンバーの学びも含めてレポートをします。
実施内容
対象:小学3年生~6年生
人数: 4〜5人を5回実施
場所:TRP会場内
訪問ブース:dentsu japanブース、NHK, 日本テレビ他複数
ツアーの様子
メディアブース(NHK,日本テレビ)では、公式キャラクターの「にじモ」「レインボーどーもくん」が出迎えてくれました。加えて各社で働く性的マイノリティ当事者(オープンリー)のプロデューサーの方が、種類が豊富に展開されているレインボーフラッグの説明をしてくれたり、DEIに関連する番組の紹介などをしてくれました。
各ブースで熱心に説明を聞いたり、dentsu Japan のにじいろガーデンでは花型のカードに印刷された好きな言葉カードをじっくり選んでいるこどももいました
こども達の反応
・参加型のブースもあり、概して楽しめた様子。
・特に学年が低いと「ゲイってなに?」など初めて見る言葉への疑問を投げかけてくれて、説明するとふーんといった反応でした。
・逆に「もう既に家で話していた内容なので知っていた」というこどももいて、ご家庭で普段から話しているのかどうかによっても、学びや受け取り方が違うと推察されます
・当事者の方から説明を聞いて、またパートナーを紹介された時、特段驚かないこどももいたし、また興味を持って話を聞く姿勢のこどももいました。いずれにしてもそれが特別なことではないという認識を持てたようです
・高学年のこどもから「自分達小学生でLGBTQ+だって自覚している人って何%ぐらいいるのかな?」という深く考えた質問も出ました。
保護者の方からの反応
・まず「親から伝えるのは難しい領域でもある、やってもらってよかった」という声を多くいただきました。
・一方で「自社商品を持たせて、写真を撮らせるとか不快感を感じた。」という声もありました。
・事前にこのツアーに何の目的で参加するのか家庭でしっかり話をしてからのほうが効果が高くなるのではとの建設的なご意見も頂きました。
ツアーガイドを通しての学び
・小3~小6あたりはやはり対象としては良さそうですが、もし可能であれば3-4年生と5-6年生でチームを分けたり、さらに中学生を加えたりするのも良いかと思いました。中学生以上なら体験に加えてしっかり説明や話を聞ける場を用意してあげると良いかなと思います。
・こどもにとっては「ゲイ」などと言葉だけで伝えても理解しにくいことが分かりました。各ブースでの説明も大人向けなので、小学生でも理解できるビジュアルツール類を用意すると理解がさらに深まると思います。
・こどもに説明するために自分の背景(活動意図)をここで話さなければならないのだとするとそれはちょっとおかしいと感じました。
・こども達の様子を通じて本キッズツアーの発展形として 子どもたちの世界の中で、LGBTQ+の困りごとに気が付くようなツアーなりワークショップができるといいなと思いました。例えば、学校の時、何に困るのか、何歳くらいから困るのか、スカートやズボン、私、僕のような1人称の言い方など。
「こども達のLGBTQ+に対する学び」のこれから
現在使われている小学校の保健体育の教科書では「異性愛」が学びの前提で性の多様性には触れられていません。一方認定NPO法人 ReBitの調査によると小学校教職員の97.9%が、小学校までにLGBTQについて教え始める必要があると回答しました。また小学校高学年の約6割が、日常生活のなかで差別的な言葉に接し、約2割が自身でも発した経験があると答えています。この現状に対して文科省もようやく対応し2024年度からLGBTQ+ など性の多様性について申請した教科書全6社が取り上げて記述が大幅に増えます。多様性の受容を阻害するアンコンシャスバイアスは小学生の時から培われてしまうので、LGBTQ+に関しても早期の学びの機会を学校に加えて今回のキッズツアーのように楽しさを感じる中での学びを増やしていくことが大切だと思います。
LGBT 法案に対しても様々な意見が出ているように答えは一つではありませんが、こども達がどう育っていくと良いかもこどもがいるかどうかに関わらずみんなで考えていきたいですね。
取材・文: 有利英明
Reporting and Statement: Hideaki Aritoshi
ご協力いただいたブースの団体会社関係サイト
こどまっぷ https://kodomap.org/
日本テレビ サステナビリティポリシー https://www.ntvhd.co.jp/sustainability/
NHK みんなでプラス 多様性 https://www.nhk.or.jp/minplus/0050/
データ出典元 認定特定非営利活動法人ReBit https://rebitlgbt.org/
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