「“性”と“生”の多様性」が祝福されるイベント、東京レインボープライド2024レポート
- プロデューサー
- 柳橋真奈
アジア最大級のLGBTQ+イベントである「東京レインボープライド2024」(以下、TRP)が、去る4月20日~21日に開催されました。※1
TRPは、東京で行われる日本国内最大のプライドイベントで、LGBTQ+当事者とその支援者(アライ)が「『“性”と“生”の多様性』を祝福するイベント」とされています。
※1 4月 19日~21日の3日間での開催の予定でしたが、強風のため初日は中止に。
日本のプライドパレードとして30周年となる今年は、主催者発表によると過去最高の15,000人、60梯団がパレードに参加し、プライドフェスティバル動員数ものべ270,000人と、過去最高となりました。
電通グループブースの記事はこちらをチェックしてみてください。
■参加者の多様性
入場してからの印象はやはり「人が多い!」でした。キッチンカーに並ぶ親子、手をつなぐ同性カップル、10㎝のハイヒールを履くドラァグクイーンたち、全身虹色をまとった人々、介助犬を連れている人、車いすを利用されている人、レインボーのフェイスペイントをしたこどもたち。当事者も、そうでない人も、クエスチョニング(自分の性自認や性的指向について明確に決まっていない、決めていない人)の人もいるのです。本当にいろいろな方がいて、天気も相まって熱気にあふれたお祭りイベントだなと実感し、この場ではすべての人が愛され、祝福されているのだなと胸が熱くなりました。まさに、「『“性”と“生”の多様性』が祝福されるイベント」です!
■当事者向けのサービス/ブランド展開の拡張
個人的に印象に残ったブースのうちひとつめは、「ブリッジラウンジ」という同性愛者のお見合いをサポートするゲイ専用結婚相談所です。日本では同性婚がまだ合法化されていませんが、真剣に同性同士でお付き合いしたい!という方を対象にしたカウンセリングやマッチングを行うサービスとなっています。もうひとつは、トランスジェンダー男性が考案した「soluna esperanza」という下着ブランドです。FtM(女性に生まれ、男性に性別移行を望む人=トランスジェンダー男性)の方が考案・創業したブランドだそうです。どの性別でも快適に履けるボクサーパンツの開発を目指しつつ、メインに販売しているのはフロントに男性器エピテーゼ(疑似性器)を入れることができるポケットのついた下着となります。いずれも、当事者でなければその存在も、その需要さえ知らなかったのではないでしょうか。私自身、今回初めて知り、より多くの方に知られるべき素晴らしい取り組みだと感じました。今年は例年のフロート待機位置にもブースの展開が広がり、より当事者向けのサービス展開も増えたように感じました。
他にも、企業出展のブースなどがあり、NTTグループでは「性的指向や性自認にかかわらず、誰もが自分らしく生き、働ける組織、社会の実現をめざし、LGBTQに関する取り組みを推進」をしているそうです。ブースでは6つの施策をレインボーフラッグの6色に見立て、それぞれの色のシールを使って簡易的なアンケートを行っていました。赤はアライの活動、オレンジはLGBTQ研修の実施、黄色は同性パートナー等に対する制度適用の拡大、緑はプライドパレードへの参加、青はプライドハウス東京レガシーへの協賛、紫はDiversity Career Forumへの賛同、となっており、TRP参加者は自分が興味のある活動・良いと思った施策の色のシールを貼る、という体験になっていました。私が先進性を感じたのは、2016年からLGBTQ+に関する制度を社内で確立させていたことで、2018年には各種手当・福利厚生などを同性パートナーにも適用。しかもそれらに審査はほぼなく、申請すれば無条件で通る、というものでした。
野村グループのブースでは「あなたのイメージするアライは?」をテーマに、TRP参加者に葉っぱの形をしたメッセージカードに思い思いのアライ像を書いてもらい、一つの大きなツリーを完成させるというもの。サントリーは「南アルプスに虹をかけよう!」ということでレインボーフラッグの6色のしずく型のステッカーに自由にメッセージを書き、貼っていくというものでした。
会場各所には、充実したキッズスペースや授乳スペースがあったり、当事者やコミュニティ応援者がパフォーマンスをするステージがあったりと、当事者はもちろん、そうでなくても利用できる・楽しめるコンテンツがたくさんありました。LGBTQ+当事者が主催しているブースが多いだけあり、ウェディングフォトブースなど、当事者を直接的に支援・サポートするようなブースもたくさんありました。
■最後に
2024年のTRPテーマは「変わるまで、あきらめない」でした。LGBTQ+コミュニティが祝福されるべきは、TRPが開催される数日間のことではなく、プライド月間である6月だけでもないのです。毎日真摯に向き合っていくことが明るい未来に繋がっていくのだなと実感しました。
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