2020年、「超福祉」が日常になる -意識のバリアをクリエイティブに超える「超福祉展」開催
- 共同執筆
- ココカラー編集部
福祉の概念を破る「かっこいい」「カワイイ」、そして「ヤバイ」刺激的なアイデアやテクノロジーに触れられるイベント「超福祉展」が、東京都渋谷区で11月10日(火)から16日(月)まで開催されます。会場のヒカリエ8階では、「アート」「スポーツ」「テクノロジー」「モビリティ」「人間の多様性」など多様な切り口から、連日、数々のシンポジウムが実施される他、最新の福祉機器の体験やモビリティ製品の試乗会も行われ、初日から多くの人で賑わいました。
(電動車いす!スズキセニアカーET4Dへのライブペイント)
(超人スポーツの展示)
キックオフ・セッションのゲストは、長谷部健渋谷区長と、東急電鉄(東京急行電鉄株式会社)の街づくりのキーマンとして知られる東浦亮典さん。司会役は、「超福祉展」を主催するNPO法人ピープルデザイン研究所の代表・須藤シンジさんです。須藤さんは、脳性麻痺の息子さんを授かったことをきっかけに「福祉」という言葉にまとわりつく暗いイメージに触れ、違和感を感じ、「かっこいい!」「カワイイ!」といった憧れが感じられる福祉の世界があってもいいはずと、NPO法人ピープルデザインを立ち上げました。
渋谷区に生まれ育ち、公私ともに渋谷の持つ文化発信力やクリエイティビティに着目した活動を続ける、長谷部区長。朝の合コンと称して皆で楽しくまちのゴミ拾いを行う「NPO法人グリーンバード」や、街全体をキャンパスに見立て誰もが学びあえる生涯学習の場をイメージした「シブヤ大学」など、「社会の課題をクリエイティブに楽しく解決する」というムーブメントに携わってきました。渋谷区でも「超福祉」をテーマに、さまざまなアイデアを募集し、福祉の課題に取り組んでいるそうです。
(長谷部区長)
渋谷駅周辺の大規模な開発事業を手がける東急電鉄に勤務し、まちづくり事業に携わる東浦さん。渋谷・二子玉川・自由が丘といったエリアのまちづくりについて、クリエイティブ・シティ・コンソーシアムという団体を立ち上げて議論を重ね、まちづくりのキーワード「GOD:Good Life(人生の質の高い暮らし)、Opportunity(機会)、Diversity(多様性)」に辿り着きました。7月に開催した参加型の「フューチャー・セッション」でも「多様性」「誰もが暮らしやすい」といった「超福祉」につながるキーワードが集められたとのこと。まちづくりを考える上で重要な役割を果たす「クリエイティビティ」溢れる渋谷に、大きな可能性を感じているそうです。ハローウィン・イベント後のゴミの片付けを「ハローウィンのバッグを持ったゴミバスターが出現する」という発想からアプローチし、多くの人が楽しみながら短時間で解決した事例も紹介されました。
(東急電鉄 東浦さん)
「福祉」という言葉は幅広く、例えば貧困などの問題も、その範疇に含まれます。障害者など「マイノリティ」と呼ばれる人たちとどう接すればよいのかよくわからないと考える人も多くいます。多様な人たちが出会い、混じり合うことで、福祉に対する地域コミュニティの課題解決力をクリエイティブに高めていくことができる。パネルディスカッションでは、そんな可能性を感じさせるトークも展開されました。
(東急電鉄・東浦さん、長谷部渋谷区長)
(ピープルデザイン須藤さん)
「超福祉」とは、何か。
既存の固定概念を超え、意識のバリアを壊す「超福祉」。改めて「超福祉」とは何なのか。3名に問いかけてみたところ、以下のメッセージをいただきました。
「学習障害を持つ息子を、弱者と捉えず、山村留学させたところ、結果としてワイルドに生きる生活力が身についたこと」(東急電鉄・東浦さん)
「渋谷区の福祉行政のテーマであり、それぞれの人に感じて欲しいこと。福祉の課題をクリエイティブに解決していきたい」(長谷部区長)
「ダイバーシティ実現のための方法論。”隠す”より”見せる “、”かわいそう”より、”かっこいい”」(ピープルデザイン・須藤さん)
「超福祉」の未来を体感しよう!
みなさんは、どんな「超福祉」をイメージするでしょうか。それをチェックするためにも是非、会場を訪れ、体験してみることをオススメします。cococolor編集部スタッフも、折りたたみ電動カーLuggie(ラギー)に試乗して渋谷の街を歩いたことで、坂道や人の多い繁華街を、気軽に、楽しく移動できるモビリティの可能性を実感しました。クリエイティブな乗り物なので、見ている側も「乗りたい」気分になり、心理的距離感も縮まるように思います。これは、車椅子や乳母車を必要とする移動にも、応用していける発想なのかもしれません。
期間中は、ビームス ライツ渋谷、SHIPS 渋谷店、モンベル渋谷店にも、Luggieが展示され、週末にはみやしたこうえんでの参加型イベントも開催されるなど、多くの人が「福祉」に触れ、心に何かを感じ取るでしょう。
「超福祉展」のプログラムは、こちらをご覧ください。
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