「働く」と「育てる」が近づいた一日。汐留に子どもを呼んでみた! <後編>
- 共同執筆
- ココカラー編集部
汐留に子どもを連れて来てしまえばいいのだ!
この発想から始まったこの企画。迎えた当日に見えてきたものは・・・
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仕事場が、遊び場、そして、学びの場に!
子どもを連れてきただけでは、さすがに一日持たない。だったら、会社の人材を活用して、ちょっとしたワークショップを開催してみよう!
と言った途端、各所から手が挙がった。
「あのCD(クリエーティブディレクター)、ちょっと変わった活動しているらしいよ・・・」「僕、子ども向けのワークショップできます。」「児童書、集めます!」
ほぼ2日間で、1日のプログラムが決定!
規定の動きに捕らわれずにラジオ体操をしてみたらどうなるか?
自分の特徴を文字にデザインして、人生初の名刺を作ってみよう!
大人も、子どもも、障害があっても、なくても、みんなで出来るスポーツって?
奇想天外なコトバの組み合わせで、物語を書いてみよう!
等々・・・
蓋を開けてみると、それはとてもリッチな「ダイバーシティ・エデュテイメント・プログラム」となっていた。
それもそのはず。会社はそもそも子どものための教育の場ではない。
しかし、そこは日々社会と向き合う大人達の知恵が集結する場。
特に電通という会社は、クリエイティブに発想すること、既成概念を覆すこと、見ず知らずの相手にコミュニケートすること、そして楽しませることを生業としている人びとの集合体 である。
つまり、当然、子どもにとっても「学び」と「楽しさ」であふれているはずなのだ!
毎日通っている場所なのに、なぜ、もっと早くそのことに気がつかなかったのか!と目から鱗が落ちた気分だった。
「また明日もママの会社行きたい!!」
参加した子ども達の口からはそんな言葉が出てきた。
学校でも、塾でも、どこでも経験したことのない、刺激的な体験をした子ども達。
もちろん、大人の思惑や、小難しい意図を汲んでいたとはとても思えないが、やはり子ども達は常識にとらわれず、キラキラした眼差しで、この風変りなプログラムを、自由に、クリエイティブに楽しんでいた。
そして、その姿を目の当たりにして、子ども以上に刺激を受けたのは、大人の方だった。
上司や先輩の子どもとも、分け隔て無くじゃれ合う。
車椅子を遊び道具に見立てて走り回る。
偏見も制約もない彼らは、コミュニケーションの達人、「ダイバーシティ&インクルージョン」の化身のような存在だった。そして、そこに仕事への示唆も見えてきた。
子どもを起点とする可能性。
この企画は、気がつくと子どもをハブに、知恵や才能が結集する基地となっていた。
子どもたちを囲んで、もしくはその中に紛れ込んで、今まで共通点が無かった人同士が、同じ目線で話すことができる。新しい人間関係が生まれる。
仕事に活かしてきたスキルが、別の文脈で意味を持ち始める。ハンディキャップだとすら思っていたことが、チャンスに変わる。大人の世界に子どもが入るだけで、ダイナミズムが生まれる。
「職場×子供」「働く×育てる」・・・この交差点に次世代の可能性が見えてきた。
ただし、忘れてはいけないこと。
・・・とついつい、助平ゴコロが出てきて、大人目線、ビジネス目線になってしまうのが悪い癖。再度、原点に立ち戻って考えてみたい。
そもそものきっかけは、働くママたちの声。
「働くこと」と「育てること」の間に立ちはだかる壁を取り払うこと、を目指した取り組みだった。
その視点において、今回一番の発見は、職場が「学びの場」「育ちの場」になれたこと。大人の「仕事の武器」は、子どもの「育ちの糧」にもなりうるということ。
働いているママはハンデが多い、子どもは割を食うことが多い、そう思っていたけれど、今回このような体験を子どもにさせられたのは、まさに自分が働いているからこそ。
「働くこと」がそのまま「育てること」に還元されていく、そんな環境を職場でつくることが、可能となるかもしれない。
親が仕事をする世界と子どもが遊ぶ世界を分断してしまうのではなく、もっとナチュラルに、子どもは親の働く姿、その世界をちょっと垣間見ながら、親は子どもに、自分の働く世界を開示しながら、お互いもっと寄り添って生きていくことも、可能となるかもしれない。
親と子がWIN-WINの関係で、「働く」と「育てる」はもっと近づけられるかもしれない。
・・・そんな希望が見えてきた1日だった。
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