-LOVE&EQUALITY すべての愛に平等を- 東京レインボープライド2018 レポートvol.2
- メディアプランナー
- 八木まどか
前回に引き続き、5月5日~6日にかけて行われた東京レインボープライド2018のレポートをお送りします。
株式会社セブン-イレブン・ジャパンのブースでは、レインボーカラーの限定ナナコカードを販売していました。企画の意図は2つあり、カードというみんなが使う身近なものでLGBT支援の輪を広げるため、そして自社のLGBTの見識を広げていくためでした。
「すべての方に便利に私たちの店舗をご利用いただきたいと考え、日常で使い勝手がよく生活に密着したものを、ということでレインボーナナコカードを企画しました。それだけでなく、このカードをみなさんに使っていただくことで、私たちの支援の意思表示を発信していきたいという思いもあります」(取締役 ダイバーシティ推進部長 藤本圭子さん)
セブン-イレブン店舗においては、スタッフやお客さまへのLGBT対応がまだ十分ではないという現状もありますが、まずはできるところから始めようという思いで出展することにしたそうです。一方で、TRPの出展により社内の意識変革に繋げていきたいという思いもあります。「今回はトライとして反響を確かめ、感触がよければ店舗においてさらなる施策を展開したい」と藤本さん。実際、かなりの反響があったようで、限定ナナコカードは1日目・2日目ともにかなり早い段階でその日の予定枚数を終了していました。
スターバックス コーヒー ジャパン株式会社も今年が初出展です。キッチンカーでは、来店者全員の手首にLGBTアライの印としてレインボーカラーのオリジナルリボンを巻いたり、レインボーカラーのオリジナルタンブラーをTRP限定で発売したりしていました。
身近なものでアライを表現しようという意図で用意したレインボーカラーのタンブラーは、どのくらいの数が必要になるのかが初出展のため読めないことと、「限定」となるととてもたくさんの方がご購入を希望されるので、あえて事前告知なしで販売したにもかかわらず、あっという間に初日に完売しました。
ブースには同社の同性パートナーシップ登録制度や性別適合手術のための特別休暇について紹介したパネルが掲げられ、「お互いに心から認め合い、誰もが自分の居場所と感じられるような文化をつくります」というスターバックスが大切にしているValuesのもと行われている社内の取り組みについて紹介されていました。
これまでは社外にアピールしてこなかったこれらの取り組みを、今年TRPへの初出展とともに発信することになった経緯については、「昨年、これまでの取り組みを社外から評価される機会があり、スターバックスが発信していくことで社会によい影響をもたらせるのではと考えるようになったからです」(広報部の林絢子さん)とのことでした。
今回の出展には会場近隣店舗のパートナーの有志が参加し、事前研修で基礎知識を学んできたそう。これからますます目が離せません。
早稲田大学GSセンター(ジェンダー&セクシュアリティセンター)は、早稲田大学の卒業生の団体であるLGBT稲門会と合同でブースを出し、LGBT稲門会の活動費に当てられるチャリティーTシャツを販売していました。
GSセンター職員の渡邉歩さんに、センターの役割について伺いました。
「GSセンターは、セクシュアルマイノリティの学生とその支援者のためのホームグラウンドとして、昨年4月、早稲田大学学生部のスチューデントダイバーシティセンター内に、大学の正式な部署として開設されました。GSセンターでは主に相談支援業務、ジェンダー・セクシュアリティに関する情報リソースの提供やイベント実施を行っており、関心のある学生が利用しています」
国内大学初のセクシュアルマイノリティ支援部署ということで反響も大きく、学内に支援体制をつくろうと模索している他の大学から職員が見学に多く来ているとのことでした。昨年だけで学生の延べ来室数は約1000人で、セクシュアリティの揺らぎやジェンダーロールへの違和感など、およそ150件の相談がありました。「出席簿から性別欄を外してほしい」という声もあり、こうした声を学内に反映していくのもセンターの役割だそうです。
また、ブースでは当事者を招いて直接、話を聞くといったイベントの告知もしていました。大きなイベントの開催には、もっと多くの学生や新入生にセンターの存在を知ってもらうという目的もあるそうです。
株式会社ラッシュジャパンのブースでは、有志の社員60人のポートレイトにそれぞれの「ラッシュで働く理由」が手書きで添えられたパネルを展示していました。ブースでは、社員やHRコンサルタントを招いてのトークセッションを行い、働くことについて深く掘り下げていました。
働くことをテーマにした理由は、「『多様性』と言ったとき、LGBT支援はもちろん、みんなそれぞれ違うということから、私たちはどんな働く仲間もウエルカムだというブランドメッセージを多くの人に知ってもらいたかったからです」(ブランドコミュニケーションマネージャー 丸田千果さん)とのことでした。丸田さんは、自身のポートレイトに働く理由を、「人間くさく、まっすぐでいられるから」と書いていました。
働く理由も人によってさまざまですが、同社ではすべての人が自分らしく働けるよう環境を整えていくという考えから、子育て中の社員や難民申請中の社員をサポートしているそうです。また、採用においても学歴を問わないということを表明しています。
今回のこの企画やさまざまなキャンペーンを行うとき、社内は「ラッシュだからやろう」とすぐに動けるそう。その理由について人事総務部部長の安田雅彦さんは、「強制はしていませんが、『エシックスが原動力』という考えが社内にブレずに浸透しているからです」と教えてくれました。
次回は渋谷区、ストライプインターナショナルの様子をお送りいたします。