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interview
25 Apr. 2019

2019秋、プライドハウス東京が原宿にやってくる

半澤絵里奈
編集長 / プロデューサー
半澤絵里奈

「プライドハウス東京2019」をオープン
任意団体「プライドハウス東京」コンソーシアムは、4月28日(日)・29日(月祝)開催の「東京レインボープライド」にあわせて、2019年度のプロジェクト「プライドハウス東京2019」を始動しました。「プライドハウス東京2019」には、現在、16社の企業が協賛、3つの在日各国大使館が後援。LGBTやソーシャル関連の活動を行うNPOや個人とともに、個別テーマを掲げた7つのチームにわかれ、秋に向けて協働プログラムを企画・実施していきます。

期間:2019年9月20日(金)から11月4日(月祝)※期間限定
場所:東京・原宿 コミュニティスペース「subaCO」
詳細については、プレスリリースを御参照ください。
(以上、認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ ニュースリリースより抜粋)

国際的なスポーツ大会が続く日本
これから、2019年秋のラグビーW杯、2020年夏の東京オリンピック・パラリンピックと国際的な大規模スポーツ大会が続く。並行して、ダイバーシティ&インクルージョンの課題に関して認知・理解を促進させる動きが盛んである。LGBTに関する動きはそのなかでも非常に顕著である。そして、当事者やアライを中心とした複数の組織が訴えるのはけしてLGBTの権利保護だけではなく「ひとりひとりがちがいを認め合い、暮らしやすい社会」の実現だ。


プライドハウスとは?
4/24に認定NPO法人グッド・エイジング・エールズからリリースされた上記のニュースは、ラグビーW杯の開催時期に併せて、原宿にプライドハウス東京というコミュニティスペースをオープンするものだ。プライドハウスとは、2010 年バンクーバー冬季オリンピック競技大会の際に、閉鎖的・保守的なスポーツ界に向けて、地元 NPOが期間限定で立ち上げたホスピタリティ施設に端を発する。その目的は、LGBT をはじめとしたセクシュアル・ マイノリティに関する正しい理解を広げるための情報や、LGBT 当事者および支援者の選手や家族、大会観戦のために訪れた観光客が安心して過ごすことのできる空間を提供することだ。

日本の組織に関しては、「LGBT と、いろんな人と、いっしょに」をコンセプトに様々な 「場づくり」を実践してきた認定 NPO 法人グッド・エイジング・エールズが、2020 年東京夏季オリンピック・パラリンピック競技大会の開催時での運営主体候補として招聘され、ネットワークに参画。2018年9月6日に、セクターを超えた団体・個人・企業とともに、「プライドハウス東京」コンソーシアムを結成した。

プライドハウス東京が原宿にオープンした後は、誰でも安心して立ち寄り集える他、情報パネルの展示や映像の放映、イベント開催が予定されている。国内情報だけではなく、ニューヨークやアムステルダムのプライドパレードの情報もここで得られるという。


プライトハウス東京やります!と宣言して4年
認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表の松中権さん(以下、ゴンさん)にお話を伺った。

2018年9月に行われたキックオフ記者会見。前列右から4人目がゴンさん。


半澤:
「プライドハウス東京がこの秋期間限定でオープンされるとのこと、おめでとうございます。ところで、私がプライドハウスの存在を知ったのは2016年リオ五輪のときでした。ゴンさんはいつからプライドハウス東京の立上げを考えていたのでしょうか」

ゴンさん:「2015年、カナダのトロントでPan American Gamesというアメリカ州の総合競技大会の開催に併せてオープンしたプライドハウスのセッションに呼ばれて行ったのがプライドハウス東京の立上げを考えるきっかけになりました。僕自身は、日本からグッド・エイジング・エールズ代表として、様々な場作り・コミュニティ形成をしていることが認められそこにいました。他には、過去の各国プライドハウスの主催者に加えて、その後にプライドハウスを主催することになるリオやピョンチャンからの代表者も集まっていて、僕はオブザーバー参加だったのだけど、みなさんと意気投合して『東京でもやります!』と宣言しちゃった」

半澤:「Wow!そのぐらいエキサイティングな出会いがあったわけですね?」

ゴンさん:「そう、特にリオ、ピョンチャンからそれぞれ代表として着ていたジェフ、キャンディーと凄く仲良くなりました。2016年リオ五輪は仕事の関係で行きましたが、トロントで出会ったジェフがリオでプライドハウスを実現させたのを目の当たりにしたときはとっても嬉しかったです」

2016年リオのプライドハウスにて。右からゴンさんとジェフさん。

半澤:「リオはおおらかで明るい印象が強いのですが、プライドハウス実現は難しかったのでしょうか」

ゴンさん:「確かにリオ五輪の際は、ゲイカップルやトランス女性が聖火リレーを走ったり、明るいニュースもあったのですがLGBT当事者に対する社会の実情は厳しいものがありました。年間数百人のトランスジェンダーが路上で殺害されるなど日本ではとても考えられないような状況。LGBTを受け入れる風土ができあがっているとはけして言えず、プライドハウスをオープンする場所探しにも苦労していました」

半澤:「初めてその内情をお伺いし驚きました。リオ五輪を機に子どもたちにはダイバーシティ教育が普及し始めていると聞いています。ちがいを認め合っていく風土が形成されることを願います。2018年のピョンチャン五輪の際はどうだったのでしょうか。韓国は、プライドパレードの際に非常に盛り上がりを見せる一方で、反対派の活動も盛んだと認識しています」

ゴンさん:「ピョンチャンのプライドハウス実現も非常に苦労しました。政治的な絡みもあり抗議運動が起きたり、パレードにも警察や機動隊が出動するぐらいです。リオもそうなんですが、こうゆう状況だと行政や企業のサポート体制が得られにくくなります。結果、カナダのオリンピック委員会のサポートを受け実施に至りました」

2018年ピョンチャンにて。右からゴンさん、キャンディーさん、プライドハウスインターナショナルのケフさん。

半澤:「そして、次は、東京と!」

ゴンさん:「はい!オリンピック憲章の変更や、トランスジェンダー選手の出場条件決定、公平性や持続性に配慮した調達コードの設置、東京都条例の整備が完了し、『さあ!やるか!』という気持ちです」

半澤:「ゴンさんの切なる願いと意気込みを聞くと、待ち遠しい気持ちが私のなかにも溢れてきます。そしてオリンピック・パラリンピックの開催を前にして、まずはラグビーW杯の時期の開催ですね。私も7歳の娘を連れて遊びにいきますが、読者のみなさまにぜひメッセージをお願いします!」

ゴンさん:「特に構える必要はありません!スポーツとLGBT、多様性とLGBT、いろんなコンテンツを準備しているので、お楽しみに。世界中のLGBTの絵本を集めてライブラリーをつくる企画もスタートしてるので、キッズとも、ぜひ、ご一緒に!お待ちしていますー!」

ゴンさん、急な取材にお応え頂いてありがとうございました。
オープンが近づいたらまたみなさんにお伝えしようと思いますので、お楽しみに!

取材・文: 半澤絵里奈
Reporting and Statement: elinahanzawa

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