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25 Oct. 2019

Femtech Fes! “Femtech”ってなんだろう? 世界が注目 あなたのためのテクノロジー

石田温香
デジタルプランナー
石田温香

Femtech Fes! あなたの欲しいモノは、みんなの欲しいモノ

あなたは自分のカラダに関する悩みをだれかに相談することはありますか?性別や個人によって抱える悩みは様々かと思います。たくさんある悩みの中から、女性特有のカラダの悩みについてソリューションを提供する“フェムテック”を紹介するイベント『Femtech Fes!』が9/19(木)に渋谷のEDGEofにて開催されました。

 

“フェムテック”ってなに?

フェムテック(Femtech)とは、女性の健康課題を解決するために開発されたテクノロジーを使用するソフトウェア、診断キット等のプロダクトやサービス、およびその市場を指します。フェムテックという言葉は2013年、ドイツの生理管理サービス・Clueの開発者でCEOのイダ・ティンさんによって作られた「 female(意味:女性)」と「technology」を組み合わせた造語です。Clueは190か国で11億人のユーザーを持つ生理管理アプリで、日本語版もあります。

【women’s health(女性の健康) + technology(テクノロジー)】で女性のカラダの悩みを解決する、世界で注目されているテクノロジー。この5年間で、世界全体でのフェムテック業界への投資額は2012年:60億円から2019年上期:400億円と約6.6倍と大幅に増加しています。また、2025年にはフェムテック市場は5兆円になるという推測もあります。(出典:Frost & Sullivan 『FEMTECH Digital Revolution in Women’s Health』

 

日本でもフェムテックを広げたい!

本イベントFemtech Fes!は渋谷~表参道~原宿エリアを中心に、カンファレンスや体験プログラムが開催される『SOCIAL INNOVATION WEEK(以下:SIW)』の中で、女性のセルフケアプロダクトなどの提供を行うスタートアップ企業fermata Inc主催の体験型イベントとして開催されました。

渋谷駅ハチ公前SIWの広告 渋谷の街を包み込むイベント

満席で立ち見も出るほどの盛況ぶり!

 

SIWの今年のテーマは『NEW RULES. 〜新しい価値観〜』。Femtech Fes! も日本に新しい価値観を広げるという点でぴったりなテーマです。世界ではヨーロッパやアメリカ、アジアでは韓国などでフェムテックの商品が発売・発表されていますが、日本ではフェムテックが十分に認知されておらず、マーケティング活用している企業も多くなければ、海外のフェムテック製品の国内での販売許可が下りていない場合も多い状況です。

Femtech Fes! の共同主催者の一人、fermata Inc.の杉本亜美奈さんによるイベントのオープニングプレゼンテーションは、世界中で拡大し続けるフェムテックブームを事例やプロダクトを織り交ぜながら紹介するものでした。

fermata Inc.:FemtechFes!を主催するスタートアップ企業。2019年10月に設立され、女性を縛るタブーがワクワクに変わるセルフケアカルチャーを創ることを企業理念に、女性向けのセルフケアプロダクトの提供や、女性の悩みを共有でき、様々な情報を得られるイベントの開催を行っている(参照:Ofiicial website )

Femtech Fes! 運営メンバー

Femtech Fes!  共同主催者 杉本亜美奈さん

 

世界のフェムテックプロダクト

Femtech Fes! では、日本を含む世界9カ国の約30点の商品を展示し、実際に触れることができ、試供品をもらえるものもありました。杉本亜美奈さんのプレゼンテーションでも紹介されたプロダクトの中から、3つをここで簡単にご紹介します。

自由に手に取ることのできる試供品やパンフレット

来場者はフェムテック商品にくぎ付け

≪Bloom life:アメリカ≫

妊娠中のお母さんの体調や赤ちゃんの様子を感知できるプロダクト。妊娠した後に、出産の時期がわかる機能を搭載するために改良が進められています。
*Bloom life website

≪Pulse:カナダ≫

更年期の女性のセックスの際の痛みを減らすためのジェル。高いデザイン性で使用の抵抗感を減らしています。Femtechでは、若い世代向けの商品が多い中、更年期世代向けの商品は画期的だそうです。
*Pulse紹介 (YouTube)

≪Maya:インド≫

女性の地位が低いという考え方が根強くあるインドから、生まれたプロダクト。開発者はJohnさん、男性です。生理日の管理だけでなく、インドの社会問題の一つである、気付かないうちの流産を防ぐことができます。

 

Femtech カオスマップ

Femtech Fes! では、イベントの開催に合わせて共同主催者たちによって作成された最新のカオスマップがお披露目されました。杉本亜美奈さんらが作成したカオスマップ。2017年の時は世界で50社だったフェムテック関連の企業が2年後の2019年には221社まで増えていました。

出典:fermata.Inc

 

女性の本音、男性の気づきが溢れたワークショップ

イベントの後半には、参加者同士が対話するワークショップが設けられました。

心理的に安全な空間にするために、女性と男性とに分けて行われたワークショップ。参加者の多くが女性のため、必然的に女性グループが多くなりましたが、5、6名で構成された男性グループは2つありました。

女性たちからは、普段あまり話す機会のない生理やセックスなど女性特有の悩みについて詳細な意見が出ていました。筆者が参加したグループには、本イベントで展示もあった生理の際に使用する月経カップを実際に使っている方がいて、日常生活では話題にも上がらないので聞くことができない使用感や利便性について、思わず食い気味で聞いてしまいました。全体で意見を発表する時間には、セックスと妊娠について意見が交わされるシーンがあり、「子供の誕生には歓喜するにも関わらずセックスについてはタブー視されている」という共同主催者の中村寛子さんの一言には、会場の多くの女性がうなずいていました。

熱心に話す女性グループ

一方、男性側からでる意見は素朴で興味深いものばかり。「生理ってそもそも」「母乳ってさ」「生理痛ってどれくらい痛いの」などと、自分の体では体験できないことだからこそ、「そもそもそれってなんだっけ?」という認識をすり合わせるような会話に時間が割かれました。「ぶっちゃけ!」を話し合う女性とは対照的なワークショップとなりました。

参加者の男性の中には、自分の娘の初経が来たら自分には何も教えてあげられることもなければ、どうしたら良いかすらわからないという正直な声もありました。

女性の身体や生活に関してこれだけ真面目かつ赤裸々に語る機会は男性にも滅多になく、ワークショップを通して新たな気づきや学びを得た男性たちが多かった印象です。

真剣な眼差しで意見を発表する男性グループ

 

フェムテックの世界を垣間見て

日本でも拡がりを見せるフェムテック業界。フェムテックの考え方やプロダクトが拡がることは、女性自身が自分の健康や身体を守る意識を強くするとても重要な機会となります。

イベントの中で、日本では、婦人科・がん検診の受診率が低いという話題が挙がりました。杉本亜美奈さんが「健康だから病院や検診に行かないという人が多いですが、健康を保つためにいくべきです」と熱く語ったことが印象的でした。筆者個人としても、他の診療科に比べ婦人科に行くということは少しハードルが高く感じていました。しかし、今回フェムテックを知ったことで自分の身体を大切にすること、そしてそのためにできることは何なのかを少しずつ考えられるようになりました。

また、フェムテックのような市場が生まれることによって、これまで盲点となっていた課題を救い上げ、テクノロジーで解決し、盲点を消していくことができると感じました。

参加者がフェムテックに期待していることが寄せられた

cococolorから参加した2名(左:大塚、右:石田)

取材・文: 石田温香
Reporting and Statement: harukaishida

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