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Nov.

2024

interview
15 May. 2018

ベビーカーというフィルターを通して目指す、ボーダレスな社会

吉澤彩香
プランナー
吉澤彩香

乗る人だけではなく押す人も快適なベビーカー「AirBuggy(エアバギー)」を製造・販売するGMPインターナショナルの代表取締役 飯田美恵子氏に、ブランドコンセプトやベビーカーというフィルターを通して見ている多様性についてお話をお伺いしました。

 「乗る人も、押す人も」ベビーカーと多様性

元々はアパレル業界で活躍していた飯田さん。当時、友人の出産祝いを探していたところ、ベビー用品の選択肢があまりなかったことから、メーカー志向ではなく、もっと消費者志向なプロダクトがあったらいいなという思いを抱いていました。同じころ、米国のベビージョガーというデザイン性と機能性を兼ね備えた3輪ベビーカーとの出会いが、ベビー業界にチャレンジするきっかけとなりました。ベビージョガーは、ダイバーシティがさほど浸透していない当時から、多様性やスペシャルニーズに対応した製品開発をしており、飯田さんも自然と多様性を考えた製品に目を向けるようになったと言います。2001年、これまでにないスタイリッシュなデザイン性に加え、3角構造とベアリングを内蔵したエアタイヤを取り入れることにより、機能性も確実に満足のいく「乗る人だけでなく押す人も快適」なベビーカー「エアバギー」が誕生、株式会社GMPインターナショナルを創立されました。

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ユーザーの満足度が年々増していくように

エアバギーの設計には「おしゃれなベビーカーが増えてくる中で、エアバギーは機能性をとことん重視したい」という飯田さんの強いこだわりが詰まっています。ベビーカーに乗る赤ちゃんだけではなく、ベビーカーを押す人も疲れないことを最優先し、両者が移動のストレスから少しでも解放されることで、行動範囲が広がり、快適に過ごせる時間が増えることを飯田さんは願っています。

そのため、ボディの設計でコアとなるフレームにはネジを使用しないで溶接による固定を選択、タイヤはエアチューブタイヤを採用した3輪構造に、ハンドル部分はスピード調整ができるブレーキを搭載しています。これらを実装したことにより、小回りが利き、段差が上がりやすく、ぶれにくく、きしみにくい、乗る人押す人両者にとって走行性の良いベビーカーが実現しています。

また、フレームは10年使えるほど耐久性が高いので、二人目、三人目と受け継いで長く使えます。シンプルで飽きないデザインにし、シートが着せ替えられるので、お客さまの個性をだせるように工夫されています。赤ちゃんの成長や日本の生活環境に合うように、機能面でユーザーの方々の満足度が年々増すような製品であるように開発されています。

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GMPインターナショナルの代表取締役 飯田美恵子氏

 「子どもに風を与えてくれて・・・」お客様の声が仕事の意味を作る

23年前、ベビージョガーの製品と一緒に、スペシャルニーズのハンディキャップがあるお子さんに向けたバギーも輸入代理店として扱っていました。初めて福祉関係の展示会へ出展した時、展示会場にある製品がどれも無機質なデザインばかりでとても驚かれたそうです。好きな色やデザインが選べる、今では当たり前の選択肢のあるプロダクトは異質なものとして見られていたようです。

それでもブランドの意志を貫き通せたのは、ユーザーの生の声や、いただいたお手紙の喜びの声に励まされたお陰だったとのこと。中でも特に印象的だったのは、車イスで生活をするお子さまのお母さまからいただいたお手紙。バギーを使うことでお子さまがはじめて運動会に参加することができ、風を感じられたことを喜んでいたとのことです。『子どもに風を与えてくれてありがとう。』という御礼の一文によって、飯田さんはご自身の仕事の重要さを痛感し、今でもお客様の声は、特に大切にされているとのことです。


実体験をもとに常に製品を進化させていく

実は、ユーザーの声のみならず、飯田さん自身の辛い体験も、製品開発に活かされています。

ご自身が膝を骨折した際に、杖の代わりにエアバギーを押して街中を歩いていたところ、押しやすいことで、歩行を助ける役目があることを実感し、行動範囲が広がったと言います。この時に、握力の弱い人でも両手で簡単に機能するブレーキを搭載することを考え、シニアや、歩行が不自由な人に役立つ、歩行を助ける製品開発もミッションに掲げました。

また、飯田さんが自宅で可愛がっている2匹の愛犬は、犬もカートに乗ることが好きなんだということを教えてくれたそうです。カートに乗って飼い主と近い目線で移動をすることで、普段とは違う景色や風を感じることが出来、疲労しにくいことから愛犬と外出先で一緒に過ごす時間が増え、ペットも含めて様々な家族のカタチがあると考えられています。

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誰もが楽しめる製品でボーダレスな世の中にしたい

エアバギーが誕生した17年前から、率先してダイバーシティを意識した製品開発に励み、たどり着いた「4 in 1」というコンセプト。現在ではエアバギーのフレームを活かし、①ベビーカー、②車載チャイルドシート、③ペット用、④ショッピング用という、世代や性別を超えた4通りの使いかたを多くのユーザーが体験しています。

「MOVE WITH YOURS 大好きなものを乗せていこう」をブランドボイスとし、国境、宗教、ハンディキャップ、年齢、性別などを問わず楽しめる製品で、ボーダレスな世の中にしたいと飯田さんは言います。エアバギーを10年という長期間使える製品としたのは、ベビーカーが育児だけのためのものではなくそれぞれのライフスタイルに合せて好きなものを乗せたり、すべての人の移動に幸せをもたらしたいという想いに加え、環境に配慮し、短期間で使い捨てるものではなく、カタチを変えて長期間ユーザーに寄り添えるものにしたいと願っているからです。

企業としての役割は時代と共に柔軟に変化させつつ、根本のマインドは、常に世の中に良いアクションを起こし続けたいと語る飯田さん。そのためには、組織の在り方や働き方に柔軟性が求められます。女性の活躍もその一端を担うと飯田さんは主張します。男性・女性・またひとりひとりの個性によって社会や仕事に貢献できる強みがあると考え、飯田さんは部下のライフスタイルの変化による働き方の多様性も大切にしています。

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お客様たった一人の声を開発につなげる直営店の役割

GMPインターナショナル社は「直営店」を非常に大切にしています。直営店という場は、お客様と向き合って困っていることやニーズをお伺いし、それに対して最高のコミュニケーションで応え、お客様の笑顔を見ることができる場所。たった一人のお客様の声でも、製品やサービスの開発に欠かせない意見として、その内容は直営店を通じ製品開発やアフターサービスにフィードバックされていきます。

現在、全国に8店舗の直営店を展開しているGMPインターナショナル社ですが、今回は本店である「AirBuggy build 代々木公園店」にお伺いさせていただきました。代々木公園の直営店は、ベビーカーやチャイルドシートを中心に販売、メンテナンスやカスタムオーダー、ベビーカーのレンタルサービスも実施しています。レンタルをされた方は、実際に赤ちゃんを乗せて数時間、店舗の周辺や代々木公園を散歩し、その走行性の良さを実感され購入に至ることが多いそうです。最近は、もともとペット用のカートを使っていた方が妊娠を機にベビーカーにチェンジされたり、二人目のお子さん用に新しいシートを購入されるための来店も増えてきているとのことです。

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「都内でエアバギーがカスタマイズできるのはこの代々木公園店だけです。季節のオプションやアクセサリーも充実していますのでコーディネートも楽しみながらお気に入りの1台を選んでいただけたらと思います。代々木公園にいらした際はタイヤの空気補充だけでもお気軽にお立ち寄りください」と、エアバギースタッフでマイスターの肩書を持つ樋口さん。

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フレームやレザーハンドルなどパーツを選ぶことが出来るエアバギーのカスタマイズサービス。店内のipadアプリでシミュレーションできます。

もうすぐパパになるお父さんが一人で来店されてあれこれ相談されることも多いそうです!

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エアバギーのダブルは、双子や年の近いきょうだいがいるご家族におススメのモデルです。一般的に二人乗りのベビーカーは、シートが上下に並ぶ2階建てと並列の2タイプありますが、エアバギーは並列タイプのみを展開しています。これは、2人に同じ目線や高さで景色を見て風を感じてほしいと、フェアなコンディションにこだわっていることが理由です。

また、他ではあまり見ない面白いグッズとして、エアバギー純正オプションがあります。「イー*バギーハンドル」や「ツーウェイボード」など、なくても困らないけれどあったら楽しいだろうな、赤ちゃんが笑顔になるだろうなというユーザーの視点に立った製品開発もエアバギーの特徴のように感じました。

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イー*バギーハンドルでご機嫌に乗ってもらえるの声、多数。

 Airbuggy-10エアーバギーツーウェイボードを使えばベビーカー卒業を余儀なくされたお兄ちゃんお姉ちゃんもご機嫌にお出かけ♪

 

ペットも含めた多様なニーズへの対応

ペットカートは、同じ代々木公園近くの直営店「AIRBUGGY PET & LIFE」で取り扱っています。フレームはベビーカーと共通で、ペット専用のコットをセットするだけでペットカートに早変わり。また大型犬向けの専用モデルもあります。

コットは取り外しができるので、室内ではハウスとして使用することもでき、自分のお気に入りの場所として使うワンちゃんも多いそうです。近頃は、毎日のお散歩のみならず、BBQや野外フェスに一緒にいかれる方も増えている様子です。

 Airbuggy-11AirBuggy build 代々木公園本店から1本小道を入ったところにあるペットカート専門店

実際にエアバギーを押してみましたが、指一本で押せる軽さや小回りの利き、ブレーキのかかりやすさを実感し、驚きました。赤ちゃんを抱っこしたり、荷物で片手がふさがっていても簡単に使うことが出来ると感じました。

 ベビーカーをフィルターとして見える世界すべてに、多様性を

GMPインターナショナル社は、商品開発やサービス展開だけではなく、ユーザーにとってベビー用品選びの入り口となるカタログやウェブサイトといったコミュニケーションの段階から多様性を大切にしています。

男性がベビーカーを押しているブランドビジュアルが象徴的な例です。これは、「ベビーカーを押す(日々の育児)≠お母さんの仕事」という固定観念を崩し、家族というライフスタイルの多様なあり方を顕在化するブランドとしてのこだわりです。「MOVE WITH YOURS(大好きなものを乗せていこう)」というブランドボイスの通り、性別、年齢、人種、ペット、ベビー、を超え、使用用途の「型」にはまることなく自由に使えることが、カタログやウェブサイトを通して伝わってきます。

ダイバーシティの感じられるムービーもぜひご覧ください。

AirBuggy公式WEBサイト:コチラから

AIRBUGGY BRAND MOVIE 2018: コチラから

赤ちゃんやペットにとって、生まれて初めてのMyモビリティだからこそ、移動することが楽しいと感じてほしい。そして、赤ちゃんやペットがいる家族だけではなく、男性と女性が夫婦というカタチを取る家族だけでもなく、多様な家族のカタチとライフスタイルが尊重され、誰もが一緒に移動やお出掛けができる、ボーダレスな世界になれば、未来はもっとワクワクします。

 

新しいことに挑戦することで起きうるリスクを恐れずに進化を続けるGMPインターナショナルのみなさんの今後のご活躍も楽しみにしております!

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ありがとうございました! 

取材・文: 吉澤彩香
Reporting and Statement: ayaka

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