身長180cmの女性が立ち上げた、高身長女性のためのアパレルブランドATEYAKA・MIHARU
- メンタルヘルスラボ /クリエーティブ・プロジェクト・プロデューサー
- 渡邊はるか
背の高い私がついに出会った、私のための服
私は背が高いです。女性で180cmあります。
幼稚園児の頃から、周囲より頭ひとつ分飛び抜け、中学入学時には170cm超、高校入学時に180cmに到達しました。「バレーかバスケやってるでしょ?」「牛乳たくさん飲んだ?」「ご家族の身長は?」「やっぱり彼氏は背が高い方がいいの?」はこれまで100万回くらい聞かれてきました。
今でこそ長身は自分のアイデンティティで、チャームポイントですらあると思っていますが、昔はコンプレックスだったものです。
そんな折、友人の紹介で「高身長女性のためのアパレルブランド」に出会いました。
高身長の女性のためのアパレルブランド
ATEYAKA(姉ブランド。セミオーダー対応商品もあり、上質でベーシック・ラグジュアリーなライン)
MIHARU(妹ブランド。トレンドも意識した、手が届きやすい カジュアルベーシックライン)
ご自身も180cmある大倉加奈子さんが、高身長女性の悩みとニーズに応えるべく、脱サラして起業された、アパレルブランドです。
実際にアトリエを訪れて、お洋服を試着させていただきました。(現在は大倉さんが海外に駐在帯同されているため、オンラインのみの販売となっています。)
それはもう、驚きの体験の連続でした。
「長袖って、長い袖って意味だったんだ。」高身長女性、初めての”マイサイズの服”に感動する
「え、袖が手首まである!長袖って長い袖って意味だったんだ!(7分丈だと思っていた。)」
「ロングコートやロングスカートがマジで長い…本当にロングってlongって意味なんだ…」
「パフスリーブが伸びずにちゃんとパフってて(ふくらんでいて)すごくかわいい」
さらに、
「店員さんもみんな高身長だから、目線が近くて安心感する…」
「ジャストフィットな服を着ると、スタイルアップしてみえる!」
「サイズが合うかどうかじゃなくて、好きなデザインかどうかで服を選べる!」
服に袖を通すのが、こんなにときめくなんて。
もう嬉しくて、楽しくて、30年超の装い歴に革命が起きた瞬間でした。
高身長女性が知らず知らずのうちに我慢していた服の悩みを、全て解決!
高身長ではない方に解説しますと、高身長の人の服の悩みは「単純に袖丈や裾丈が短い」だけではなく、「全体的に服の形がフィットせず、首周りも肩幅も腰回りも、ポケットの位置ですら、何もかもがちぐはぐになってしまう」ことなのです。
イラストで解説すると、下記のようになります。
(イラスト:渡邊はるか)
…お分かりいただけましたでしょうか。涙
それが、ATEYAKAやMIHARUの服を着ると、こうなるのです。
(下記はMIHARUの2022autumn&winterのラインナップ)
服に悩んでいたことすら忘れていた高身長女性が、自分サイズの服に出会って感じたこと
服を手に取りながら、10代から20代にかけて、服や靴にかなり悩んできたことを思い出しました。
いつの間にか、そんな悩みも忘れていました。忘れることで、標準サイズの世界に適応していたのですね。服とは、全体的にちょっと窮屈で、袖も裾もすべからく7分丈で、とりあえず着られれば良いものである、と。
そのため、「ジャストサイズで、着心地が良く、その上おしゃれで可愛い服の数々から、好きなように選べる!」という状態が、こんなに嬉しくて心躍るものなのかと、驚きました。
「私のための服」を通じて、大袈裟かもしれませんが、「世界に居て良い感覚」を覚えたのです。
身長180cmの創業者・大倉加奈子さんに聞く、ブランド立ち上げストーリー
ATEYAKAとMIHARUの創業者である大倉加奈子さんに、お話を伺いました。
渡邊:私たち、ほぼ同じ身長・目線ですよね。こうして加奈子さんとお話しているとホッとします(笑) 改めて、ブランド立ち上げに至ったお話を聞かせてください。
大倉:本当ですね(笑)
私もはるかさんと同じように、幼少期から周囲より頭ひとつ分飛び抜けていました。成長して友人がおしゃれをする一方、私は大学で物理漬けの毎日で、ファッションには興味を持たなかったのですが、「興味を持っても仕方ない」というのが正直なところでした。高身長な自分に合う服なんてない、可愛い服もどうせ似合わない、という諦めの気持ちです。絶対に丈が足りませんから。
就職後は、コンサルティングファームやゲーム会社で、服に気を遣わず仕事に打ち込んできましたが、組織で働くことへの違和感が大きくなり、結婚・出産のタイミングで思い切って退職。そこで、「自分のための服がないのなら、自分で作ってしまおう!」と、2017年にATEYAKAを起業しました。
渡邊:すごく勇気のいるご決断ですね。その後はどのようにブランドを展開されたのですか?
大倉:何もかも初めてで、試行錯誤の連続でした。まず、身長168cm以上の、20代後半~40代女性は、日本に約63万人。全人口のたった3%しかいないんです。ターゲットが少ないため、これまで高身長女性向けブランドはほぼありませんでした。
コネもツテもない中、日暮里の生地屋さんを何軒も巡り、工場を紹介してもらうところから始めました。PRも手探り。まずはInstagramで、高身長女性についてマメに発信したり、高身長女性の会を開いたり、元女子バレーボール全日本代表の大山加奈さんや大友愛さんにアンバサダーになっていただいたりと、当事者の方を起点にコミュニティを広げていきました。
2021年にはATEYAKAの妹ブランドMIHARUも立ち上げました。ATEYAKAはどんなお客様にも「似合う」を体験いただけるよう、セミオーダーで、その分価格も高めなのですが、既製サイズでより手が届きやすくカジュアルなMIHARUを作ることで、より多くの高身長女性に手に取ってほしいと考えたのです。
渡邊:何もないところから個人でここまでブランドを育てていらして、本当にすごいです。服作りのこだわりについて教えてください。
大倉:服作りでは、とにかく高身長女性がよりスタイル良く、足が長く見えるように工夫しています。はるかさんもお話されていたように、高身長だとウエストやバストの位置、肩幅なども異なるため、ただ丈を伸ばせばいいわけじゃないんですよね。
渡邊:ああ〜〜〜〜。(深い頷き。)
大倉:そのため、イラストにも描いていただいたように、首周りや肩腰の幅、アームホールの大きさから股上の長さに至るまで、高身長女性にフィットするよう型紙から作っています。そうすると皆さんのスタイルがより綺麗に見えるんです。私自身が当事者なので、自分が着たい服を作ることに加え、SNSや周囲の高身長女性の声にも耳を傾けながら、デザインを考えています。他にも、サイズをS,M表記のみにしたり、アトリエがあった頃はハンガーラックやマネキンの位置を高くしたり、高身長女性の心をくすぐるような細かな工夫がたくさんあります。
渡邊:ATEYAKAやMIHARUの服を着ると、鏡の中の自分がすごくスタイルアップして見えて、本当にテンションがあがります。普段LLサイズばかりの自分がSサイズを選べるのも、またとない経験でした。
大倉:ポップアップストア等で直接着用いただくことで、「丈が長い!」「マキシスカートがマキシになってる!」と、皆さんの嬉しそうなお顔を見られる時が、本当に嬉しいですね。着た瞬間に泣き出してしまう方もいるくらいです。
渡邊:ATEYAKAとMIHARUに出会ってから数ヶ月で10着以上お迎えして、クローゼットの主力選手が塗り替えられつつあります(笑) おしゃれをする楽しさを、加奈子さんに教えていただきました。自分のための商品があるってこんなに嬉しいんですね。人と違っても、胸を張って生きていいんだよというメッセージを感じます。
大倉:まさに。ATEYAKAやMIHARUは、背の高い女性がマイサイズの服に出会い、人と違うありのままの自分を肯定できるようにという思いを込めています。私、「同調圧力のない日本」が人生のビジョンなんですよ(笑)
渡邊:ああ。だからATEYAKAやMIHARUの服を着ていると、おしゃれが楽しいだけでなく、勇気づけられるのですね。同調圧力からの解放、共感します。これからのラインナップも楽しみにしています。
おわりに
ATEYAKAとMIHARUに出会ってから、私の装いライフは劇的に変わりました。「徹底的な当事者目線」と「個人の想い」が込められた商品やサービスこそ、同じように悩む方の助けになり、心を動かすと感じます。大倉さんの志は、高身長だけでなく標準から遠い要素を持つ全ての人へのエールのようにも感じられました。同志として、ファンとして、これからもATEYAKAとMIHARUを推していきたいです。
【大倉加奈子(おおくらかなこ)さん プロフィール】
高身長女性のためのアパレルブランドATEYAKA・MIHARU 創業者。180cm。
背の高い女性が持ち前のスタイルの良さを発揮し、マイサイズの服でありのままの自分を肯定できる世界を作るべく邁進中。人生のビジョンは「同調圧力のない日本」。学生時代はブラックホールの計算に没頭していた、元・理論宇宙物理学者志望。
8歳の娘のママ。
ATEYAKAオンラインストア
ATEYAKA Instagram
MIHARUオンラインストア
MIHARU Instagram
注目のキーワード
関連ワード
-
ブロックチェーンBlockchain
インターネットを通じて情報やデータが場所や時間を問わず瞬時に伝達・交換できるのと同様に、金融資産をはじめとするあらゆる「価値」資産の交換が瞬時に実行できるシステム「価値のインターネット」を実現するための…詳しく知る
-
インクルーシブ・デザインInclusive Design
多様な個性を持つ人々をリードユーザーとして、積極的にデザインプロセスに巻き込んでいくことでこれまで除外されてきたユーザーをインクルードし、プロダクトからサービス、ビジネスモデルに至るまであらゆる物事をデ…詳しく知る
関連記事
この人の記事
-
4 Mar. 2022
【後編】自分や周囲のメンタル不調に気づくには。キーワードは「斜めの存在」|並河進さん×医師 鈴木裕介さん
- メンタルヘルスラボ /クリエーティブ・プロジェクト・プロデューサー
- 渡邊はるか
EVENT, INTERVIEW, 働き方の多様性, 働き方改革, インクルーシブ・マーケティング, インクルーシブ・デザイン, インクルージョン, イベント, インタビュー,