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Oct.

2020

column
15 Oct. 2020

私はアンチレイシストになる。 日本とBlack Lives Matterの関係について。

清水鈴
コミュニケーションプランナー
清水鈴

「日本ではBlack Lives Matterは関係ない」

「日本には人種差別がない」

Black Lives Matterが世の中で話題になってから、そんな言葉をちらほらネットで見かけたりします。

日本人でありながら、幼少期から社会人になるまではカナダで育った私(著者)ならではの視点として、なぜ日本でBlack Lives Matter(以下:BLM)を取り上げるべきで、なぜ日本人も知り、行動するべきだと考えるのかを綴ります。

 

傍観者の私

2020年5月末、コロナ禍真っ只中の日本。

ニュースでBLMのデモの映像を見て、このようなムーブメントが世界で加速していることをはじめて知った方も多かったのではないでしょうか。

その当時の自分を思い出してみると、以前からBLM運動の存在は知っていたものの、世の中の多くの人と同じように、ニュースを見て、また黒人が警察に殺害された事実に対する悲しい気持ちを一瞬持っただけで、特に何かアクションを取ることなく過ごしていました。 

ただ、2014年に私がBLM運動について知るきっかけとなった事件があった時とは明らかに違い、今回は外国に住む多くの友人がインスタグラムでBLMや黒人奴隷の歴史などを投稿したり、プロフィールのアイコンを黒くしたりと、黒人でない子もBLM運動に積極的に参加していました。 

そんな中、カナダの友人に、「こんなことが世の中で起きているのに、インスタグラムでなぜリン(著者)はBLMについて投稿しないの」と一通のメッセージが送られてきました。

私としては、黒人に対してのヘイトや差別意識はないし、黒人の友人・知人がたくさんいて、今回の件に関してもBLMの運動をサポートしているが、自らその情報をインスタグラムで発信したいとは思っていませんでした。私はこれまでSNSをあくまで「ポジティブ」な場として捉えており、政治的発言や賛否をもたらすトピックをあえて避けてきたので、私生活の話しか投稿したくないと、その友人には伝えました。 

その時は分かりませんでしたが、いま思うと、自分の中に「私は語れるほど、何も知らない。だから発言できない」という思いもあったのかもしれません。誤っているかもしれない情報を匿名でないアカウントで発信することのリスクを考え、自分を守ろうとしての行動だったのだと思います。 

島国という国の特性もあり、私を含め多くの日本人は先祖代々日本に住み、日本人として生まれ生活しています。そんな国で私はマジョリティー(多数派)にあたり、今この差別をされない日々の生活が普通であり、あえて自ら黒人が置かれた状況について、踏み込んで知ろうとしなかったのではないかと思います。

私はただ世界で起きているこの人権の問題に対して、目を背けていました。

私は見て見ぬ振りをしていたのです。

 

アンチレイシズムとは

私も含め多くの人は、自分は人種差別をするような人間でないと思っているのではないでしょうか?しかし、今回のBLM運動で求められていることは「人種差別をしない」のみならず、既に社会的に根深く入り込んだ人種差別をどう変えていくか、一人ひとりが意識して、さらに行動することです。 

「Anti-Racism(アンチレイシズム)」という言葉を今回の一連の騒動で私もはじめて知りましたが、日本語に訳すと「反人種主義」になります。アンチレイシズムは人種差別や制度的人種差別、そして疎外された集団の抑圧に対する意識的な努力と行動に基づいています。ここでのポイントは「行動」であり、「思っている」だけではダメだということ。人種差別に立ち向かい、人種差別に反対する行動をとることが「反人種主義」です。 

キング牧師も、「最大の悲劇は悪人の抑圧や残酷さではなく、善人の沈黙である」という言葉を残しているように、アメリカで行われている警察の暴力に対して沈黙を選ぶということは、抑圧者側を支持するのと同じだと捉えられかねません。 今では「人種差別をする人間か、人種差別に反対する人間かどちらかの人間しかいない」と語っている人も多く見受けられますが、それはこの長い長い黒人が迫害されてきた歴史の中で、変わらない黒人に対してのヘイト、組織の中に染み付いた人種差別に対する黒人の怒りの声だと私は捉えています。

 

日本と差別について

では、この問題をなぜ日本で取り上げないといけないのか、それは冒頭に書いた「日本には人種差別がない」という誤った認識 がまだ日本でも見受けられるからです。それが誤りである理由は、私たちは必ずバイアス(先入観)を持っているからです。 

過去の経験を元に私たちそれぞれ には意見があり、バイアスがあります。このバイアスは、例えば白人を中心にした映画やメディア、それに影響された日本メディアでの黒人の描かれ方を見ている中でも培われており、知らず知らずのうちに多くの人が、黒人が差別されるような社会的な仕組みに組み込まれているのではないかと思います。 無意識に取得した人種に対してのバイアスが、結果的に差別行動につながってしまうことがあり、外国人が日本に住みにくいと感じる点でもあります。 

プロテニスプレイヤーの大坂なおみ選手も「あなたの人生に起こっていないからといって、それが起きていない、ということにはなりません」などと危機感を訴えたように、日本には黒人は多くないかもしれませんが 、日本人も黒人の差別の問題を勉強して、黒人の人、そして他の人種の人が日本で差別をされないように学び、考え、アクションを起こして行くべきではないかと私は個人的に考えます。大坂選手が言ったように、BLMは政治の話ではなく、人権の問題なのです。

だから自分のことをフェミニストと名乗る人もいるように、私はアンチレイシストになろうと思いました。つまり、私はこの問題について「傍観者」でいることをやめたのです。

 

どう「行動」すればいいのか

私も実際、当初この問題を他人事に捉えてしまっていましたが、この問題について考え始めると、私にも何かしらの人種的バイアスがあり、それを見直していき、修正していく必要があると考えました。

自分の非を認めるという行動は簡単ではないですし、過去の自分の発言や行動の不適切さを思い出すと不快感を感じると思います。ただ、その気持ちというのは、黒人の人が実際に毎日他の人から差別されるかもしれないという怯えと怖さや、日本に生きるマイノリティーの人種の人が結果的に泣き寝入りを余儀なくされている時の苦痛とは比べものにならないと考えています。

では、アンチレイシストになるにはどうすればいいか。

よく語られるのが、まずは聞いて、学ぼうということです。

BLM運動、黒人奴隷の歴史、現在の社会システムにおける人種主義について、ラジオ、動画を聞く・見る、本を買って読んでみる。
黒人の友達がいれば、まずはその人たちの話を聞くこともいいかもしれません。 そして、最終的にはその学びから一人一人に何ができるのかを考えることです。 何より、人種差別は個人の中だけでなく、制度の中にあることを理解して、変えていこうというアクションも必要だと思います。

私はcococolorの「Colorful is Powerful」プロジェクトを通して、人種にまつわる様々な課題について学ぶプロセスを 文章化することで BLM運動を単なる一過性のトレンドにしたくないと思っています。みんなで人種的多様性の教養を深め、様々な人が住みやすい日本に変えていく、そういう国になってほしいと思います。

グローバル化が進むこの世の中で、多様性とは何なのかを考える良いタイミングではないでしょうか。

あなたも一緒にアンチレイシストになってみませんか?

取材・文: 清水鈴
Reporting and Statement: rinshimizu

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