「Braille Neue」発明日記、その2。きっかけ。
- 共同執筆
- ココカラー編集部
どうも。発明家の高橋鴻介(たかはしこうすけ)です。
前回は、目でも指でも読める文字「Braille Neue」の概要について書きましたが、
今回は開発の経緯について、記事を書いてみようと思います。
そもそものきっかけ
僕には、もともと福祉や視覚障害の方との接点があったわけではありません。仕事で訪れた視覚障害者施設で出会った、点字をつかう友人がきっかけでこのプロジェクトをはじめました。その友人が点字を読んでいるのを見て、「そんなに早く読めちゃうの?」とびっくりし、その時にふと「そういえば、僕は点字って読めないな…」「点を線でつないだら文字としても読めるようになるのでは?」と思ったことから、書体の開発が始まりました。
完成までの長い道のり
スケッチからしばらくして、プロトタイプを作りはじめました。
この書体は触れることが大事なので、グラフィックより先に、3Dでの検証をはじめました。最初は、より多くの人にとって読める文字にしようと、点字、浮き出し文字(墨字をそのまま盛り上げたもので、エレベーターの階数表示などで見られる)、墨字(目でよむ文字)の三層構造になっていました。しかしながら、ノイズが多いとのことで浮き出し文字は断念。
たくさんのスケッチを書いて「線幅と点幅を合わせたほうが読みやすい」とか、「後ろの色を変えたほうがかわいい」といったところが見えてきました。
この頃に紫外線硬化樹脂のプリンターと出会い、簡単にプロトタイピングできるように。
ただ、1枚出力するのに3時間、3000円ほどの費用がかかっていました。お財布に優しくない…。
そして書体の微調整を経て、英語版の「Braille Neue」(この頃はまだReadable and Tangibleの頭文字をとって「RAT」という開発コードで呼んでいた)が完成しました。
そして実用へ
このあと、ひょんなことから「見えない世界を楽しみつくす」というコンセプトのイベント『NO LOOK TOUR』でロゴとして使ってもらうことになるのですが、それはまた次のお話。次回もお楽しみに。ではでは。
執筆者 高橋鴻介
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