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Dec.

2024

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7 Sep. 2018

LGBTだけじゃない!誰もが自分らしくいられる海の家、カラフルカフェ

河合はるか
プランナー
河合はるか

8月25日、逗子駅からバスを乗り継ぎ、一色海岸へと向かいました。そこに佇むのは7,8月の週末限定で営業を行う「カラフル」な海の家、その名も『カラフルカフェon the beach』です。

今年で8年目を迎えるカラフルカフェは、当初の御用邸向かいの場所から移動し、3年前より海の家「UMIGOYA」とコラボレーションすることで、ビーチ沿いのカフェとしてオープンしました!

取材日の25日は、7月7日より続いた今夏の営業最終日としてクロージングパーティーが開催され、去りゆく夏を惜しむ人々で賑わっていました!

波打ち際に行く人、お酒を片手にカフェ内で語りあう人、ただゆっくりと海を眺める人など楽しみ方はそれぞれです。


②食事やドリンクpng

(美しい海を眺めながら、一杯。 美味しいおつまみも豊富です)

カラフルカフェは、”LGBTも、そうでないひとも関係なく、素敵な出逢いや交流ができるカフェ”をコンセプトに、認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ(以下:グッド)(注1)が立ち上げ、運営をしています。

今回は、カラフルカフェの立ち上げメンバーであり、グッド代表の松中権(ごん)さんとMIKIさんを初め、海の家「UMIGOYA」のオーナー村野さん、ボランティアの方、参加者のみなさんにインタビューさせて頂きました。

③立ち上げメンバーのお二人(左から筆者とグッド代表の松中権さんとMIKIさん)

『ゲイバーで、盛り上がった次の日、何もなかったかのように生活している自分たちがいた』

以前、ゲイバーの外では、どこか自分自身をさらけ出せないことにジレンマを感じ、「自分の仲間たちと昼間にもコミュニケーションをとれる空間があればいいのに」と松中さんは思ったそうです。そんな思いが、誰もが自分らしくいられるカフェの運営の始まりにあるのだと感じました。

『LGBTとかじゃなく、いいやつだから付き合っている。』

オープン当初は、誤解されてしまうことや苦労も多かったようですが、3年目を過ぎる頃には、葉山の方々から、「LGBTだからなんだとかではなく、君たちがいい人たちだから付き合っている」という言葉とともに受け入れ初められたと語られます。

「許容するのにかかる時間は人それぞれ、3年の人もいれば8年かかる人もいる。でも、今では私たちがいることがみんな不思議ではない。」とMIKIさん。

「一時的ではなく、土地に根付きたい。」松中さんの思いが伝わった今、葉山の土地にカラフルカフェは欠かせないものになっていると筆者もカフェの場に同席をして感じました。

④オーナーの村野さん

(左から、葉山在住「UMIGOYA」オーナーの村野さんと筆者)

「葉山にもおもしろいもんができた!」

カラフルカフェが出来たとき、「葉山にもおもしろいもんができた!」と思った葉山在住海の家「UMIGOYA」オーナーの村野さん。

葉山の変化に驚いたようで、年月を重ねカラフルカフェスタッフとの交流も増えた頃に「海が近いのに、もったいない!海沿いに出ておいでよ!」と松中さん達に声をかけたそうです。今では、毎年毎年仲間が増えていくのが嬉しいと語った村野さん。

夏のカフェ運営期間のみならず、シーズンオフの期間も葉山の人々とコミュニケーションをとり、楽しい空間を共に過ごすお話も伺い、カラフルカフェと葉山の人々との信頼関係の深さをひしひしと感じました。

 

『カラフルカフェは、LGBTもそうでない人も一緒に楽しめる海の家である。』

LGBTフレンドリーな特徴について伺うと、一つ目に『人』だと松中さん。

LGBTに理解があるスタッフさんによってカフェの運営は行われているので、LGBTの方がいるかもしれないという前提にたった接客が自然にされています。

例えばカラフルカフェなら、女性同士のお客様がご来店されたとき、「彼氏は留守番なの?」とは聞きません。お子さんと、そのお母さんらしく見える2人連れに「今日、お父さんは?」とは聞きません。「女性同士の2人は、お友達2人かもしれないし、もしかしたらカップルかもしれない。ここで働くスタッフは、知らず知らず、この前提が身についている。」と松中さん。LGBTに限らず、生き方は多様であることを前提とした接客がされていると感じました。

二つ目に『誰もが過ごしやすい空間である』ということです。

カラフルカフェには個室の更衣室があり、誰であっても快適に着替えることができるようになっています。トランスジェンダーの方にも海を楽しんで欲しい、という思いも。でも、LGBTの人たちだけのためではありません。女性同士でも、男性同士でも着替えるのが同じ空間だと、恥ずかしいという方もいらっしゃるかもしれませんよね。

そして去年からは、スロープも設置され、車椅子利用者の方もカラフルカフェに来店しやすくなりました。フロア自体も段差をなくし、フラットな空間で、段差から転げ落ちる方もいなくなったそうです。これは、配慮ではなく、誰もが一緒にすごせるためのインクルージョンな工夫だと思いました。

 

『好きな人と手を繋ぎながら見るオリンピックを体験してほしい。』

9年目に向けて、カラフルカフェはどのように変化していくのでしょうか?

松中さんは、都内に「プライドハウス東京」というLGBTや性の多様性、家族の多様性を発信する情報拠点を設ける取組も推進していて、葉山にもサテライト会場をつくりたいと仰っていました。

このような思いで立ち上げ、8年間続いているカラフルカフェ。

今回は、学生ボランティアのお二人に参加に至ったきっかけをお伺いしました。

⑤ボランティアスタッフのお二人

(左:左から、らぎさんと筆者 右:左から、筆者と真美さん)

『私ってLGBTを知らない、もしかしたら今までに誰か傷つけていたのかもしれない。』

真美さんは、「誰かを傷つけたくない。」と思い、LGBTスタディに参加するためLAに留学。帰国後、LGBT関連のインターンに参加し、そこでカラフルカフェを知り、ボランティアに参加したいと思われたとのことでした。

『大学生として、活動に参加できるのはとっても貴重な体験。』 

らぎさんは、日本で行われているLGBT関連の活動に関わりたいという思いから、参加されたそうで、今年で2年目の大ベテラン!みなさんに、とっても慕われていました。

このように、カラフルカフェでは、学生さんも入り混じり、交流できる仕組みがあります。

今年は台風でホワイトドレスパーティーが中止になるなど、天候に左右されることもありました。そのようなアクシデントにも臨機応変に対応してきたボランティアのみなさん、「この夏大きく成長できた。」そして、「来年も。」とボランティアも引き継がれていきます。

 

『こんなに良いところが、日本にもあったのだ。』

取材を通して、立ち上げた人の気持ち、働くスタッフの気持ち、地元の人の気持ちを受け取り、カラフルカフェの素晴らしさをこの身で体験しました。

オレンジのドレスコードに身を包み、豪華なジャズの生演奏の中、海の家「UMIGOYA」を訪ねてきたお客さんも近くに歩み寄り、ともにリズムに体をゆだねました。

⑥オレンジ

(ドレスコードのオレンジに因み…帰りにプレゼントされました!)

私は、直前にドレスコードであるオレンジアイテムの手ぬぐいを入手したのですが…みなさんのオレンジがとっても鮮やかなこともあり、よく見ると私のてぬぐいはイエロー!

そして、レモンのデザインだったのです!(笑)

「それ黄色だよー!」と言いながらも、仲間にいれてくれたみなさん。「黄色でも仲間になりたい!」と思う私を、自然に迎え入れてくれるインクルージョンな空間であると再確認した瞬間でした。

 

「あなたの周りにLGBTの方はいますか?」

これまでにも述べましたが、LGBTは当事者であることが、目に見えにくいと言われます。

LGBTの方がそこにいるかもしれないという前提に立つことで、誰もが心地よい世界が見えてくるのではないでしょうか。

目の前の人達に対し、「この女性2人組は友達だ」と決めつけるのではなく、「友達かもしれないし恋人かもしれない」という考え方の中で、お互いが気持ちの良いコミュニケーションが取れることが望ましいと感じています。併せて、カラフルカフェのように誰もが快適に利用でき、多様性を受け止める環境がある重要性も感じました。

LGBTもそうじゃない人も、誰もが笑顔溢れるカラフルカフェは、来年も葉山の海辺にオープンする予定です。これから1年間、私もカラフルカフェに思いをはせ、来年も足を運びたいと思います。

⑦サンセット

カラフルカフェon the beach Facebookページ

 

注1:認定NPO法人グッド・エイジング・エールズとは
「LGBTと、いろんな人が、いっしょに楽しめる未来へ」をコンセプトに掲げ、カフェ、シェアハウス、職場づくり、イベント開催などを通して、LGBTもそうでない人も楽しめる場づくりを行うNPO団体。

取材・文: 河合はるか
Reporting and Statement: haruka

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