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Dec.

2024

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16 Nov. 2022

高校生たちの間で子宮頸がんについて、もっと話したくなるアイデアを考えよう!~第2回高校生アイデアフェス#仲間と一緒に考える子宮頸がん~

國富友希愛
コミュニケーション・プランナー
國富友希愛

本記事は、「第2回高校生アイデアフェス#仲間と一緒に考える子宮頸がん」の中のインプットセッションから、ご登壇者のお話を抜粋したレポート記事です。子宮頸がん・子宮体がんをご経験されたタレントの原千晶さんと、「みんパピ!(みんなで知ろうHPVプロジェクト)」行動科学チームの一宮恵さんがご登壇され、参加者の高校生へ子宮頸がん予防についてのインプットセッションが行われました。

■生理痛は我慢するものだと思っていた

原さん:私からのインプットでは、子宮頸がんに罹患し治療をした経緯や、体験談を高校生の皆様にお話します。私は今年48歳ですが、最初に子宮頸がんになったのは、30歳のことでした。当時は子宮頸がんを予防するワクチンを受けることができませんでした。子宮頸がんが発覚する以前から生理痛がひどく、婦人科系のトラブルが多いタイプでしたが、生理痛には鎮痛剤で向き合っていました。「生理で具合が悪い=病気ではない」という認識をしており、自分で痛みを緩和しながら、我慢するしかないという意識の中で生理と向き合ってきたからです。子宮頸がんが発覚する3カ月前に、生理痛の悪化を感じたものの「30代になったから体質が変わったのかな」と見過ごしてしまいました。相変わらず生理が重く、不正出血がおき、おりものの異常も感じているのに、病院に足が向きませんでしたが、痛みが強くなり、友人の勧めで病院に行くことにしました。

■「原さん、子宮の入り口にできもののようなものがみえます」

原さん:検査の結果、医師に1.3mmの腫瘍があることを知らされました。そこでの治療では「円錐切除」といって、子宮頸がんの治療として、レーザーメスを膣からいれて、円錐状にくりぬいて摘出するという手術です。病理の結果、ステージ1~2の子宮頸がんであることが判明しました。医師には「進行が速いがんかもしれないので、子宮をすべて摘出したほうが安心なのではないか」と説明を受けましたが、悩んだ結果私は、子宮の温存を選択し、一か月に一回、病院に通って経過観察をすることになりました。

■経過観察の重要性

原さん:「子どもを産みたい」という期待があり、子宮を残し、2年間、病院に通っていたのですが、途中から自己判断で2年間、病院に行くのをやめてしまいました。そして、円錐手術を受けて5年になるときに、また体調が悪くなり始めてしまいました。腰の痛みやおりものの異常を感じ、病院に行ったところ、私は子宮体がんになっていました。腹部のリンパ節まで転移をしていることがわかり、抗がん剤治療が始まりました。

■2回のがんを経験して

原さん:1回目のがんののち、子宮摘出をすすめられたのにしなかったことと、2回目のがんになる前に、経過観察を怠ってしまったこと、当時の自分には子宮頸がんに関する知識が少なかったことは、今なお悔やまれます。今では、HPVウイルスのことや子宮頸がんになる経緯を理解していますが、当時は今のように情報が十分ではありませんでした。そのため、取るべきでない選択をしてしまいまったと思います。この経験を通して、自分の身体と向き合うことがいかに大事かに気がつきました。

■「よつばの会」

原さん:現在、女性特有のがんの経験者が集う「よつばの会」を主宰しています。命にかかわるがんと向き合い、何より女性が自分の身体を守ることが大切です。健康な身体を維持することで、妊娠・出産などのライフステージの選択肢も広がるかもしれません。子宮頸がんという病気は、予防できるがんだと言われています。どうすれば、子宮頸がんを減らせるのか。高校生の方々のアイデアをとても楽しみにしています。

よつばの会

 

■HPVワクチンの日本と海外の接種状況

一宮さん:私は「みんパピ!」の活動の傍ら、アメリカで研究をしています。今日は世界のHPVワクチンの接種状況などについてお話をし、子宮頸がんを防ぐアイデアのヒントをご提供できればと思います。

みんパピ!

一宮さん:HPVワクチンは、現在アメリカでは61%、韓国は72%、イギリス、ノルウェー、オーストラリアでは85%の人が接種しています。このワクチンは、子宮頸がん以外にも、咽頭がんや肛門がんを防ぐこともでき、すでに20か国以上の国で、男性への接種も推奨されています。なんと、ワクチン接種と検診の普及したオーストラリアでは2028年、子宮頸がんは撲滅するという推計もでています。人類史上初めて、なくすことができるがんになりつつあるという状況ですが、日本での接種率は1%を切っています。国内では、子宮頸がんで一日8人が亡くなっている状況です。一般的にがんは、高齢者がかかりやすいといわれる病気ですが、子宮頸がんは20代から、30代の患者が最も多く、若くても発症する病気です。

■海外の動向

一宮さん:デンマークやスウェーデンでも、HPVワクチンの接種率が一時的に低下するという事例はありますが、その後、メディアと研究者、政府が連携して情報提供することで、SNSやインターネットを駆使して、正しい情報が提供されるような取り組みが増えています。できるだけ多くの方に情報が届くように、海外では見やすく・伝わりやすい・信頼できる情報提供を、若い人に届けることによって、接種率が回復しています。日本では、そもそも子宮頸がんを予防できるワクチンの存在を知らない人が約半数です。知らないという現状を変えることが、子宮頚がん予防の第一歩になると考えています。

 

子宮頸がんについての情報をインプットすることは、自分の身体を守ることになるのではと感じました。少子高齢化が進む日本の中では、高校生たち若い人が知識をインプットする環境が整うだけではなく、大人やあらゆる世代の人にも新しい情報が浸透することが必要かもしれません。情報を知ることは、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)として、世界で保障されている個人の自由と法的権利の一つであり、すべての人の人生と切り離すことができない重要なことです。次回、体験者からの話を聞き公衆衛生について学んだ高校生が、アイデアを披露する「第2回高校生アイデアフェス#仲間と一緒に考える子宮頸がん」アイデアセッションパートに続きます。

取材・文: 國富友希愛
Reporting and Statement: yukiekunitomi

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