こども×地域性 ~ジェンダーバイアスとインターセクショナリティ
- コミュニケーション・プランナー
- 國富友希愛
電通と「こどもりびんぐ」が共同発表した、子どもに対する「女の子らしさ」「男の子らしさ」意識調査に伴い、「子どもにまつわるジェンダーバイアス」をさまざまな視点で紐解くリレーコラム。
第1回のコラムテーマは「こども×地域性」。インターセクショナリティとジェンダーバイアスについて書かせていただきます。
インターとは、高速道路で使われているその名の通り、「~間」「交差点」という意味をもち、インターセクショナリティとは、人種、ジェンダー、階級、セクシュアリティ、障害、国籍、年齢など、さまざまな要素が交差する権力関係と社会的立場の複雑性や交差性を捉える概念のことだそうです。子どものジェンダーバイアスについて考えるときには、男性か女性か、大人か子どもか、という性別と年齢の交差性がまず挙げられると思いますが、今回着目したい“交差性”は地方と都会という地域属性です。
SNSが普及し、情報の格差が無くなったとはいえ、都会で感じるジェンダーギャップと、地方で感じるジェンダーギャップには差がありそうです。例えば、一次産業の従事者が多い地方において、一次産業の世界には、男性の仕事と女性の仕事、という役割分業のはっきりしたジェンダーが存在している気がします。
世界男女格差指数120位の日本ですが、さらに地域ではどのような状況があるのかを『都道府県版ジェンダー・ギャップ指数』(©2022 Kyodo News. All Rights Reserved)からは読みとれます。どの分野においても「東京」は全国的にみると、男女差が少ない場所です。男女の働き方や生活の地域差には、性別役割分担意識が影響している可能性を示唆しています。
私は、とある地方で子ども時代を過ごし、その後東京や大阪で生活をし、現在は子ども時代を過ごした地方に戻って生活をしています。子どものころは、「女の子だからしっかりしている」「女の子だから弁が立つ」「女の子だから身の回りのことをきちんとできる」という生活態度に対するジェンダーバイアスを感じながら育ちました。一方で、年齢が上がると「女の子が四年制大学に行くのはもったいない」「女なのに数学が好きなのはオタクだね」といった学業についてのジェンダーバイアスがあることを知りました。「きちんとしていて、しっかりしている女の子だからこそ、数学が好きなのだ」と考える大人は居ません。ここには、女性は身の回りの生活の無償労働を無邪気に担い、知性や計算高さを職業で発揮する存在ではない、という伏線があったのではないか、と思っています。都市部の大学に進学させてもらって(やたらと恩義を感じているのもジェンダーバイアスを内面化しているからだと思います)どうやら、その伏線以外の選択肢があることを知りました。
最近では、男女の習い事にジェンダーギャップはなくなっているというニュースを目にすることがありますが、地方ではまだまだ男児だけのスポーツチームや部活動、男性だけのスポーツ指導者、女児だけのダンスチーム、女児だけのクラブ活動も多い印象を受けます。
筆者の息子は、乳児期には、ピンクの服を好んで着ていたのに、幼児になって社会性を身に着け始めた段階で「ピンクは女の子の色だから着ない」と言うようになりました。聞き覚えがある。平成の30年間で、日本のこどもに対するジェンダーバイアスはあまり変わらなかったのだと思います。そして今なお令和に一部受け継がれている。今を昭和97年にしないために、子どもたちには「ピンクはかわいいし、かっこいい。誰にでも似合う素敵な色だ」と伝えたいです。
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