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10

Jul.

2020

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10 Mar. 2020

がんが抱える多様な課題に向き合うCancerX

石田温香
デジタルプランナー
石田温香

2月4日の「WORLD CANCER DAY」を前に、2月2日東京にてがんの抱える課題を共有・解決していくための意見交換を行う催し『CancerX Summit 2020』が開催され、約500名の医療者・研究者・がん経験者とその家族・民間事業者・行政といった多様な立場の人々が参加しました。本サミットを主催している一般社団法人CancerXは、2018年に始動し、「Collaborate/Change/Cross out」の3つのワードを軸に、立場や分野を越えて、がんと関わっていくことでがんに関する情報や経験を共有し、解決していくことを掲げています。

cococolor編集部では、昨年より『医療とダイバーシティ』というプロジェクトを創設し、ここまでがん経験者や医療者の方に「がん」という病気と多様性の関係を取材して参りました。「がん」と二文字で表現される病気ですが、がん種、症状、治療、経過などは人さまざまであること、そして、がん当事者及びその人を囲む周囲の価値観が多様であることに注目し、本サミットを取材しに伺いました。

本サミットは昨年のサミットに続き、2度目の開催。
イベントコンセプトに”Break the limits”を掲げ、オープニングと分科会も合わせると14のセッションが開催されました。”Break the limits”は、これまで触れてこなかった、触れにくかった話題も取り上げて人々の交わりによってあらゆる課題を解決していこうという狙いがあると言います。それを象徴する「情報の確かさ」と「死に向き合う」セッションが実施されていました。
オープニングではCancerXによる「がんに対する社会意識調査2020(調査対象:全国1000名)」が発表され、がんに関する問題意識の共有が進んでいないという課題が改めて明らかにされました。

メインセッションでは、社会・経済をはじめあらゆる角度からがんの課題を考察、意見交換が行われました。
社会経済の課題、研究開発の課題等6つのテーマの中で、cococolorは『CancerX スペシャル いのち ~生きるとは?~』にフォーカスした記事を別途掲載を予定しております。

 

サミットの後半に行われた分科会セッションは、参加者がそれぞれ関心の高いテーマの分科会に参加しました。
具体的には「AI」「VR」「働く」「いのち」「ゲノム」「モビリティ」「アピアランス」の7つに分かれて実施され、筆者は、「がん患者とその家族の移動課題を解決する」ことを目的とした「モビリティ」に参加しました。

医師、モビリティ業界の方々のトークセッションの後に行われたグループワークでは「がんであることをどう証明するか?」というテーマでディスカッション。私の参加したグループは、トークセッションのスピーカーでもあり、国立がんセンター骨軟部腫瘍・リハビリテーション科 医長 中谷文彦さんや、実際に普段の生活のなかでヘルプマークをかばんにつけて利用している方を含む4名でした。
ヘルプマークを利用している方の経験談をもとに、「どうやって気付いてもらうか」「気づいた場合にどうやってサポートできるか」「ヘルプマークの存在を広く知らせることと、がんに特化したマークなどを作ることどちらがいいのか」等の議論をしました。怪我をしている人や妊婦さんと異なり、ヘルプマークを使用する方は見た目では判断のつかない場合が多く、ヘルプマークの認知も低い状況のため、周囲の人も「(公共交通機関で)席を譲りましょうか」等、お手伝いの一言が中々出ないように感じました。駅などの公共の施設ではバリアフリーが進んでいるように見えますが、実際にヘルプマークを利用している方からは、混雑状況や乗り換えの距離によってはまだまだ不安を感じる時が多いと伺いました。周囲の人が気づいてお手伝いできる環境はもちろん、がん患者などヘルプマーク利用者が自分自身で危険を回避できるような仕組みやサービスの普及も重要だと思いました。



1日を通じて、がん経験者・医療従事者・自治体・企業等、異なる立場の人々ががんについて話し合い、気付きを得る貴重な機会でした。私自身、お話を伺う前はがんの怖くて辛い部分ばかりを考えがちでしたが、がんとの向き合い方を事前に知っておくことで、がんとの向き合い方が少し変わったように感じます。備えあれば憂いなしと言いますが、がんは2人に1人がかかるとも言われる病気です。「自分には関係ない」と思っている人、そうとすら思っていない人が暮らしの中で自然とがんに関する情報をインプットできるような社会作りの必要性を感じました。

取材・文: 石田温香
Reporting and Statement: harukaishida

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