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29

Apr.

2024

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17 May. 2022

子どもにまつわるジェンダーバイアス意識調査で見えてきたリアル

「電通ダイバーシティ・ラボ」は、株式会社こどもりびんぐと共同で2022年3月に小学生以下の子どもをもつ681名に対し子どもにまつわるジェンダーバイアスに関する意識調査を、「子どもに対する『女の子らしさ』『男の子らしさ』意識調査」として実施しました。

 この調査の目的は、SDGs17のひとつとして「ジェンダー平等の実現」についても掲げられる中、子どもに対する「女の子らしさ」「男の子らしさ」の意識を明らかにし、子どもたちの個性が尊重される社会に必要な視点や取り組みを紐解くことにあります。未来を担う子どもたちの保護者はどのように考えているのか、その結果を紹介します。

 

 

未来を生きる子どものために、ジェンダーについてもっと知りたい。ちゃんと知りたい。

 

「『ジェンダーバイアス』という言葉を聞いたことがあるか」という質問に対し、60.2%がジェンダーバイアスを「聞いたことがない」または「聞いたことはあるが、意味までは理解していない」と回答。

一方で、ジェンダーバイアスの意味を説明した上で、「幼稚園・保育園・小学校で『ジェンダー平等』について教わる機会があるとよいか」という質問に対しては、88.5%の保護者が「とてもそう思う/ややそう思う」と回答しました。

現時点ではジェンダーバイアスの意味を知らなくても、子どもたちには教育を受けてほしいという意向が見られ、子どもと一緒にジェンダーバイアスについて考える機会が求められています。

 

【図表1】Q.SDGsの目標5に「ジェンダー平等を実現しよう」が掲げられていますが、「ジェンダーバイアス」という言葉を聞いたことがありますか?(単位:%)

 

 

【図表2】Q.「ジェンダーバイアス」とは 「『女の子らしさ』『男の子らしさ』など男女の役割に関する固定的な観念や、それに基づく差別・偏見・行動など」を意味しますが、幼稚園・保育園・小学校で「ジェンダー平等」について子どもたちが教わる機会があるとよいと思いますか?(単位:%)

 

 

男の子らしさ、女の子らしさより、その子らしさを尊重したい。

 

子どもと接する際にジェンダーバイアスを意識している保護者は49.6%と約半数。その理由として、「子どもの意見を尊重したい」(63.3%)「世の中の価値観が変わってきていると感じる」(61.2%)が多い結果になりました。

子育てに対して「女の子らしさ」「男の子らしさ」より、「その子らしさを尊重したい」という意識がみられます。

 

【図表3】Q.自分の子どもと接するときにジェンダーバイアスを意識していますか?(単位:%)

 

【図表4】Q.その理由を教えてください。(複数回答可、N=338人)(単位:%)

 

 

ジェンダーバイアスは個人の問題ではなく、社会の問題? 

 

子どもが欲しがった商品を「女の子(男の子)だからふさわしくない」という理由で購入しなかった経験がある保護者は24.5%。売り場が男女で区別されている「玩具」(53.3%)と「衣類」(45.5%)が上位となりました。

性別ごとに売り場が分かれていることにより、「提示されている性別から選ぶべき」というバイアスにとらわれる傾向が。固定化されたジェンダーの区別をなくすなど、企業や社会が変わることは、子どもの個性が尊重される世の中へ向かうひとつの手段になると考えられます。

 

【図表5】Q.子どもが欲しがった商品を、「女の子(男の子)だからふさわしくない」という理由で買わなかったことはありますか?(単位:%)

 

【図表6】Q.それはどのような商品でしたか?(複数回答可、N=167人)(単位:%)

 

 

ジェンダーバイアスに対する意識のギャップに戸惑うことも。

 

「女の子なのに」「男の子なのに」と、自身の子どもが他人に言われてモヤモヤしたことがある保護者は37.9%。そのように言った相手の60.9%は、子どもの祖父母。

ジェンダーバイアスは生きてきた時代背景や環境の違いが深く影響すると考えられます。

 

【図表7】Q.「女の子なのに」「男の子なのに」と、子どもが他人に言われてモヤモヤしたことがありますか?(単位:%)

 

【図表8】Q.それは誰に言われましたか?(複数回答可、N=258人)(単位:%)

 

私たちは次世代にジェンダーバイアスを引き継がない! 

 

調査結果からは、自分の考えや発言にジェンダーバイアスを感じている一方で、学校において子どもたちがジェンダー平等について知る機会を求めていることがわかりました。ジェンダーバイアスを次世代に引き継がないために、子育てにおいてもジェンダー平等について知識を得て、子どもと一緒に考える機会が必要とされているようです。

 また、4人に1人が子どもの欲しがったものを「女の子(男の子)だからふさわしくない」と否定した経験があり、特におもちゃや洋服でその傾向が強くみられました。子どもが使うもの、身に着けるものは男女で売り場が区別されていることが多く、提示されている性別から選ぶべきというバイアスにとらわれやすいのかもしれません。多様な選択肢を用意し、それを自由に選べること、そしてジェンダーにとらわれない社会に変わっていくことが今求められているのではないでしょうか。

 

 

【調査概要】

・タイトル:子どもに対する「女の子らしさ」「男の子らしさ」意識調査

・調査方法:インターネット調査

・調査対象者:子育て情報サイト「あんふぁんWeb」「ぎゅってWeb」のWeb会員(全国)のうち、0歳から小学6年生の子どもをもつ保護者

・調査時期:2022年2月16日~3月6日

・回答数:681名

・調査実施:株式会社こどもりびんぐ(シルミル研究所)

・出典:こどもりびんぐ「シルミル研究所」、電通ダイバーシティ・ラボ

 

Special thanks to Nao Hirano (Illustrator).

企画・執筆 こどもといきるせかいプロジェクト

取材・文: cococolor編集部
Reporting and Statement: cococolor

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