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Apr.

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18 May. 2022

言葉から性と生を考える。TRP2022の電通グループ出展ブースのウラ側

秋田ゆかり
ビジネスプロデューサー
秋田ゆかり

電通グループは、多様性を尊重し、誰もが自分らしさを発揮できる企業と社会をめざすことの表明として、東京レインボープライド2022に出展いたしました。過去、電通ダイバーシティ・ラボや電通(単体)での出展はありましたが、電通グループとしては2022年が初めての出展となります。

コロナ禍で2020~2021年はオンラインのみでの開催だった東京レインボープライド(以下、TRP)でしたが、2022年は代々木公園近辺で4月22日~24日にプライドパレード&プライドフェスティバルが実施されました。リアルイベントはじつに3年ぶり。66,000人以上がTRPに参加しました。

電通グループは、プライドフェスティバルにて『Rainbow Gallery of Words 言葉のレインボーギャラリー』(以下、『RGW』)をブース出展。『RGW』にご来場いただいた2,208人ものみなさまのおかげで、好評にて無事終了いたしました。

本記事では、『RGW』クリエイティブチームのプランナー/コピーライター・福居亜耶(電通関西支社)とプロデューサー・河合はるか(電通ライブ)から話を聞きながら、『RGW』のウラ側をご紹介します!

 

3つのコーナー紹介

まずは、ギャラリー内の3つのコーナー紹介から。1つめは、LGBTQ+の権利獲得にかかわる名言を紹介する「レインボー名言」

        

1960年代の「GAY IS GOOD」から2021年の「同性婚が認められないことは違憲」まで、差別や不平等などの抑圧に対して闘ってきたLGBTQ+当事者やアライにまつわる言葉が時系列で並べられていました。

福居「言葉の紹介にとどまらず、LGBTQ+の歴史の流れをおさらいできるようにしました。また、同性愛者の権利に関わる言葉だけでなく、トランスジェンダーやクイアなどあらゆる人たちにも“自分たちの言葉であり歴史だ”と感じてもらえることも心がけました。」

なるべく多くの人に“自分たちのもの”と思ってもらえるように、細やかな注釈も。

 

2つめは、言葉の中に潜む「性・ジェンダーの偏りを可視化する「言葉の天秤」

言葉のブロックが並ぶ壁と、一方に人形が置かれた天秤。この人形の性別はわかりません。

男性を表す「夫」のブロックを天秤に置くと、言葉側に(性別が)片寄ってしまいます。

性別を限定しない「配偶者」という言葉を置くと、天秤は片寄りません。

性・ジェンダーが偏っている言葉を置くと天秤が大きく片寄る仕掛けになっています。どちらにもかたよらないニュートラルな言葉について考えてもらうきっかけづくりを提供したかったとのこと。

河合「言葉選びにあたっては、cococolorの編集部にも協力してもらって、さまざまな視点から、ニュートラルなもの/そうでないものをたくさん集めました。その中から、設営の関係で18の言葉に厳選しました。」

福居「企画制作中の個人的な学びとしては「きょうだい」(ひらがな)という言葉。コピーライターとして、これから積極的に使っていこうと思います。」

言葉のブロックのウラ側には解説も。

 

3つめは、SNSでも大きな反響を呼んだ「うっプンすっきりペーパー」。知らず知らずのうちに、差別や偏見が潜み、誰かにつらい思いをさせているかもしれない“うっプン”フレーズをトイレットペーパーで紹介。

福居「これらのフレーズのポイントは、差別語を使っているわけではないということ。けれども、差別や偏見が潜んでいます。どんな思い込みや誤解があるのか、改めてじっくり考えていただけたらと思い企画しました。そして、こんなフレーズがなくなることを願って、読んだ後はトイレに流せるというオマケつきです。」

また、当日のブースでは、企画側で事前に用意した“うっプン”フレーズの展示に加え、来場者がその場で自由に言葉をトイレットペーパーに印字できるシステムを導入。このシステムは、電通グループ内の新入社員・転局社員向けの研修で開発されたものです。

河合「来場者に、自身が言われた/言ってしまったかもしれない、“うっプン”フレーズをふり返ってもらいました。印刷されるフレーズを見ることで、私たちスタッフも学ぶことが多かったです。」

 

企画ポイント①:誰もが関わりのあるテーマ

クリエイティブチームの話を聞いていくうちに、それぞれのコーナーに共通するポイントが2つ見えてきました。まずは、誰もが関わりのあるテーマであること。

福居「TRPには、LGBTQ+当事者もそうでない方もいらっしゃいます。また、年齢層もバラバラで、外国の方など使用言語もさまざま。カップルで、ひとりで、家族と、友達と、同僚と、など誰と来るかも人それぞれ。だからこそ、どんな立場の人も“自分に関わりがあることだ”と思ってもらえるようにしました。そういった意味で、言葉をテーマにしたのはよかったと思います。あまり電通グループらしさを企画に盛り込もうとは考えなかったのですが(笑)、結果として、コミュニケーションの企業らしいものになったかなと。」

実際に、電通グループブースには、さまざまな年齢層や外国人の方も多く訪れていました。子どもたちが目をキラキラ輝かせながら体験し、楽しみながら学ぶ姿も。

多言語対応できるボランティアスタッフも大活躍。

 

企画ポイント②:双方向性の体験型

そして、もうひとつのポイントは、3年ぶりのリアルイベントならではのものでした。

河合「実際に触れて体験することで記憶に残す双方向性を大切にしました。体験型にするからには、感染対策も徹底。多くの来場者に楽しんでもらえました。体験型だと自然とスタッフとの交流も生まれ、私たちも学ぶことが多かった気がします。」

ともすれば、一方的な情報発信となってしまうブース出展。出展する側も学びを得ようとする姿勢が、ブース出展成功のカギかもしれません。

福居「ボランティアスタッフが来場者とたくさん交流してくれたおかげで、よい反応はもちろんのこと、反省点や課題も見えてきました。来年以降に活かしていければと思います。」

記事中のすべての写真は関係者から使用許可をいただいています。

 

まだまだ続くTRP2022!オンラインブースも!

電通グループの『RGW』出展は終了しましたが、TRP2022は続きます!6月のプライド月間には、プライドカンファレンス(3日)やオンラインで実施するプライドトークライブ(25~26日)が開催予定。

さらに、電通グループのオンラインブース「電通のこれまでとこれから展」も出展中です。2022年9月30日までWEBで公開しているので、ぜひアクセスください。

「電通のこれまでとこれから展」はこちら。

 

「Rainbow Gallery of Words 言葉のレインボーギャラリー」

クリエイティブスタッフリスト

CD:木下舞耶(電通)

AD:矢部翔太(電通)

C:福居亜耶(電通関西支社)

P:河合はるか(電通ライブ)

取材・文: 秋田ゆかり
Reporting and Statement: yukariakita

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